AIによる自動翻訳で業務を効率化し、新しい付加価値提供を目指す

国際取引・海外進出

人工知能(AI)やRPAなどの技術の発展により、さまざまな業務効率化ツールが普及し始めています。業務効率化に伴い、人間にしかできない付加価値を高める業務に注力していくことが求められています。もちろん企業法務の分野も例外ではありません。今回は、「AI契約書翻訳サービス」を利用することで業務を効率化し、より付加価値の高い業務に取り組んでいる日比谷中田法律事務所の山田広毅弁護士に、これからの弁護士のあり方についてお聞きしました。

日比谷中田法律事務所についてご紹介ください。

過去20年ほどあまり動きのなかったトップティアの企業法務領域に風穴をあけることを目指し、日系・外資系の大手弁護士事務所の出身者が集結した事務所です。世界100カ国以上にわたる複数のグローバル・ネットワークを活用し、各国の提携先法律事務所と密接に協働することで、複数法域が絡む複雑なクロスボーダーM&A案件などに戦略的なアドバイスを提供しています。

山田先生の主な業務内容を教えてください。

私個人の業務は国内外のM&A案件が5割ほどで、残りの5割はその時々によって変わりますが、競争法のほか、クロスボーダーの訴訟やコンプライアンスに関連する案件などを担当しています。英語が必要となる案件は全体の8〜9割くらいで、英語の使用比率は非常に高いと思います。

今回、「AI契約書翻訳サービス」を導入されたとのことですが、導入の経緯についてお聞かせください。

今の時代にあった新しい企業法務のあり方を探っていくためです。現在は「知識」で勝負する時代から「知恵」で勝負する時代へと変わりつつあります。インターネットを介して無料で得られる法務の知識が増えたり、実務ノウハウを盛り込んだ書籍等が増えていくなかで、知識・ノウハウは次第にコモディティ化していきます。こうした状況においては、情報や知識の非対称性を付加価値の源泉とすることが難しくなってきているといえます。したがって、私は旧来型の知識で勝負するビジネスモデルは思い切って捨てて、新しい付加価値を探っていくべきであると考えています。

その新しい付加価値となるのが、知恵ということでしょうか。

そのとおりです。弁護士の観点から見ると、知恵には大きく分けて2種類あると考えています。ひとつはイシューに関わるものです。問題点や論点を特定し、抽出して、それらのソリューションに向けた道筋をつくることやソリューション自体を考えることは、知恵の一番重要なポイントだと思っています。いくらAIの性能が向上したとしても、これらは人間である弁護士にしか提供できない付加価値のひとつとなりえます。

もうひとつの知恵として私たちが捉えているのは、コミュニケーションに関わるものです。依頼者の真のニーズを引き出すためには、そもそも何のためにM&Aをしたいのか、そのためには全く違う戦略もありえるのではないか、などといったところまで掘り下げて依頼者と一緒になって考えなければいけません。そうしたコミュニケーションの場においてはまず、ものを理解する能力、相手の考えを引き出す能力が重要となります。それに加えて、交渉の場において主導権を握り、自分たちにとってベストな結果へと導いていく力は、機械によって代替されるものではないと考えています。

日比谷中田法律事務所  山田広毅 弁護士

日比谷中田法律事務所 山田広毅 弁護士

イシューを発見してそのソリューションを提供すること、そして対人のコミュニケーションによってそれを実現することが、弁護士が今後より力を入れていかなければならない点ということですね。

逆にいえば、知識を得るための作業やアウトソーシングできる作業などはできるだけ減らしたり効率化させたりすることが大切です。頭を使わなければならない業務に集中し、本当の意味での付加価値提供に最大限注力できるような体制を整える必要があります。

そこで私たちの事務所では、AI契約書翻訳サービスの導入を決めました。少なくとも私達にとって、翻訳業務は本質的な付加価値の提供ではなく、作業の性質が強いものです。契約書の英訳や和訳など、翻訳の作業が発生する場面は当然多々ありますが、本来は、その後にある交渉戦略の考案やリスク検討などが私たちの付加価値であるはずです。その前段階である翻訳の仕事は、同サービスを使ってできるだけ効率化していこうというわけです。

AI契約書翻訳サービスは具体的にどういったところで用いられているのですか。

たとえば訴訟書面などは英訳と和訳が必要になることが多いです。また、英語の書面を日本の裁判所に提出する場合には、すべて和訳する必要があります。我々が手がけているようなクロスボーダーの訴訟においては英語書面の証拠が大量にあるため、それらの翻訳作業を行わなければなりません。こうした作業はやはり工数がかかってしまうので、AI契約書翻訳サービスを使って効率化を進めています。

さらに、同サービスを導入したことで、依頼者が作成した社内資料の英訳も行うようになりました。特にM&Aにおいては、依頼者がなぜその案件をやるのか、何を優先するのかといったことや、その前提として自社の事業の説明などを社内資料としてまとめているケースがあります。目の前にある論点とは関係なさそうにみえても、こうした背景事情や文脈も含めて、チームである現地の法律家に伝えておくことは非常に重要です。

今までは要点のみをメールなどで伝えていたのですが、翻訳のコストが減ったことで、大まかな資料を作ってチームに共有することができるようになりました。契約書のように精密な翻訳でなくてよいので、あまりレビュー工数をかけずに作成することができています。本質的なコミュニケーションに注力するための前段階として、コストが安いからこそ、こうした場面で使うことができるのだと考えています。

日比谷中田法律事務所 山田広毅 弁護士

AI契約書翻訳サービスを導入してみていかがですか。

体感ではありますが、一から人手で翻訳作業を行うのと比較して3割から5割程度は工数が減っていると思います。弁護士の稼働単価を考えると、劇的にコストが下がっているといえますね。作業を減らして知恵の創出に集中するという意味でも、非常に良いサービスだと感じています。

AI契約書翻訳サービスをはじめとするリーガルテックに対してはどういう印象をお持ちですか。

今後さまざまなリーガルテックが出てくると思いますが、我々の仕事はそれらにリプレイスされるものであるとは思っていません。むしろリーガルテックを活用することで、自分がしなくてよいことはできるだけアウトソースして、自分がすべきことに集中するという体制をつくっていければ、より強くなれるのではないかと思うのです。なので、AI契約書翻訳サービスを含め、リーガルテックは今後もどんどん発展していってほしいですね。

企業法務に関わる読者の方にメッセージをお願いします。

さまざまな業務効率化のツールが出てきているなかでは、ビジネスパーソンとして自分たちが機械にリプレイスされない部分は何であるのかを突き詰めて考え、そこに向かって進める体制をつくっていく必要があります。今回は弁護士としての観点から知恵が重要だというお話をしましたが、社内法務の方も同じように、自分が提供できる付加価値は何かを考えることが大切だと思います。作業にかけている工数を減らして、本来の付加価値提供を目指すという視点自体は変わりません。

AI契約書翻訳サービスはまさに、無駄に工数がかかっていた、もしくは自分がやる必要のない作業を代替できる良い手段です。こうしたツールを活用することで、自分にどういう付加価値を期待されていてそのために何をしたら良いのかを考え、そこに集中していくことが、どの職業においても共通して重要になるのではないでしょうか。

(取材、構成:BUSINESS LAWYERS編集部)

BUSINESS LAWYERSでは、英文契約などの翻訳業務に関わる全ての方の、翻訳"作業"をツールに代替することで、本来あるべきみなさまの付加価値提供、生産性向上の後押しをしたいと考えております。特に以下のようなお悩みを抱えている方は、ぜひ一度「AI契約書翻訳サービス」サイトをご覧ください。
  • 事業部門から急ぎの翻訳を頼まれる
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  • 翻訳の品質をあげて、二度手間を減らしたい
  • 今後、国際取引、海外進出が増えそうだ

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