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改訂版「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針」の概要

コーポレート・M&A

※本記事は、三菱UFJ信託銀行が発行している「証券代行ニュース No.157」の「特集」の内容を元に編集したものです。


 経済産業省は、9月28日に「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)」(以下、ガイドラインといいます)の改訂版を公表しました。当記事では、改訂の概要をご紹介します。

ガイドラインの位置づけと改訂の概要

ガイドラインの位置づけ

  • コーポレートガバナンス・コードにより示された実効的なコーポレートガバナンスの実現に資する主要な原則を企業が実践するに当たって考えるべき内容をコーポレートガバナンス・コードと整合性を保ちつつ示すことでこれを補完するとともに、「稼ぐ力」を強化するために有意義と考えられる具体的な行動を取りまとめたもの

改訂の概要 〜章立ての変更点〜

改訂前 改訂後
取締役会の在り方 (変更なし)
 取締役会の役割・機能
 各社の経営・取締役会の在り方の整理
 モニタリング機能を重視したガバナンス体制への移行
 を検討する場合の留意点
 (新設) 取締役の指名
 取締役会の運営に関する論点 (変更なし)
社外取締役の活用の在り方 (変更なし)
 社外取締役の活用に対する課題
 社外取締役の活用に向けて
 社外取締役の人材市場の拡充に向けて
経営陣の指名・報酬の在り方 (変更なし)
 経営陣の指名の在り方
 経営陣の報酬の在り方
 指名委員会・報酬委員会の活用
経営陣のリーダーシップ強化の在り方 (変更なし)
 相談役・顧問の在り方
 取締役会長の在り方
【別紙1】取締役会の役割・機能に関する検討の視点 (変更なし)
【別紙2】社外取締役活用の視点
【別紙3】指名委員会・報酬委員会活用の視点(※) (変更なし)
委員会の構成
 社外者と社内者のバランス
 委員会の委員となる社外者
 委員会の委員となる社内者
 (新設)
 (新設)
 (新設)
委員会の構成
 社外役員とそれ以外の委員のバランス
(変更なし)
(削除)
 委員長
 社内者が委員会の議論に関与する場合の留意点
 諮問対象者・諮問事項や企業の置かれた状況に
 応じた委員会の構成・運営の在り方
 (新設)  委員会の実効性評価
 (新設) 【別紙4】社長・CEOの後継者計画の策定・運用の視点

(※)【別紙3】は変更がある項目を中心に記載。また、変更点を分かりやすくするため、ガイドラインの並びとは入れ替えを行っています

改訂の主な内容

社長・CEOの指名と後継者計画

示されている考え方

  1. 経営トップの交代と後継者の指名は重要な意思決定である
  2. 十分な時間と資源をかけて後継者計画に取り組むことを検討すべき
  3. 社長・CEOは、重要な責務として自らリーダーシップを発揮して後継者計画に取り組むことが期待される
  4. 取締役会は後継者計画を監督し、社長・CEOの交代と後継者の指名を客観性と透明性の高い手続で行うことを検討すべき

(※)すべて改訂に際して新規に記載されたもの

コーポレートガバナンス・コード(補充原則4-1③、4-3①、4-3②)で示されている考え方と整合

考えられる取り組みの一例

  1. 後継者計画の監督は、現社長・CEOがこれまでどおり主導的な役割を担うことを前提に、その意見を尊重しつつ、その頭の中にあった思考・判断過程や根拠を言語化・文書化し、社外取締役等にも分かる形で説明して理解を得るプロセスを加える
  2. 後継者計画の策定・運用に取り組むに当たっては、以下の7つのステップに分けて検討することが有益
    ⇒各ステップの検討事項、留意点は新設された「【別紙4】社長・CEOの後継者計画の策定・運用の視点」に詳細がまとめられており、監査役設置会社や指名委員会等設置会社の企業の取組例も複数紹介されています
ステップ 主な内容
1 後継者計画のロードマップの立案
2 「あるべき社長・CEO像」と評価基準の策定
3 後継者候補の選出
4 育成計画の策定・実施
5 後継者候補の評価、絞込み・入換え
6 最終候補者に対する評価と後継者の指名
7 指名後のサポート

(※)すべて改訂に際して新規に記載されたもの

指名委員会・報酬委員会の活用

示されている考え方

  1. 社長・CEOの選解任・後継者計画の監督に関して、法定の指名委員会(指名委員会等設置会社の場合)または任意に設置した指名委員会(指名委員会等設置会社、監査役設置会社または監査等委員会設置会社の場合)を利用することを検討すべき
  2. 社長・CEOの選解任の実効性向上のために、法定の報酬委員会または任意に設置した報酬委員会も併せて利用することを検討すべき

(※)下線部は改訂に際して新規に記載されたもの

コーポレートガバナンス・コード(補充原則4-10①)で示されている考え方と整合

委員会の構成・運営

  1. 社外役員が少なくとも過半数、または社外役員とそれ以外の委員が同数で委員長が社外役員であることを検討すべきとしているが、社外役員の数を十分に確保できていない場合には委員長を社外役員とするなどの工夫をしたうえで、社外役員以外の委員中心で委員会を設置することも考えられる
  2. 社内者が委員会の議論に関与する場合の留意点として、社長・CEOの選解任や報酬を諮問対象とする委員会の委員に社長・CEOが含まれる場合には、社長・CEOのいない場で議論できるような工夫を検討すべき
  3. 社長・CEOら経営陣の指名や報酬決定、後継者計画のプロセスは、会社の事情等に精通している社長・CEO等の社内者が委員に加わったり、議論に積極的に関与することには合理性があると考えられる

(※)下線部は改訂に際して新規に記載されたもの

委員会の実効性評価

  1. 取締役会の実効性評価の一環として、委員会の実効性評価(委員会の構成、諮問対象者・諮問事項、審議・運営の在り方も含めて、取締役会と委員会とが一体として実効的に機能しているかについて評価を行う)を行うことを検討すべき

(※)すべて改訂に際して新規に記載されたもの

取締役会議長

示されている考え方

  1. 自社の取締役会の役割・機能等を踏まえて、誰が取締役会議長を務めることが適切かを検討すべき
    ⇒取締役会の監督機能を重視する場合、社外取締役などの非業務執行取締役が取締役会議長を務めることを検討すべき
  2. 取締役会議長の一般的な役割として、取締役会の議案の選定、招集、議事の主宰(議事進行)、議事録の作成を挙げたうえで、監督を行う立場にある社外取締役などの非業務執行取締役が議長を務める場合のメリットとして以下の点を挙げている
    • 付議基準に従って上程される案件だけでなく、経営戦略に関する議論を充実させること等が行いやすくなる
    • 取締役会の審議が監督側を中心に行われ、監督側に対する十分な説明や情報の提供、十分な審議時間の確保や監督側が議論や問題提起をしやすい雰囲気を作ることが実現されやすい

(※)すべて改訂に際して新規に記載されたもの

社外取締役が議長を務める場合の留意点・工夫する点

取締役会の役割・機能(企業の類型) 留意点・工夫する点
個別の業務執行の決定が少ない(監督機能に特化) 必ずしも社内の事情に精通しているわけではないが、執行側から十分な情報提供を受けることで、取締役会議長として適切に議案選定・議事進行を行うことが十分に可能
個別の業務執行の決定が多い
(個別の意思決定機能も重視)
  • 取締役会の決議事項・報告事項等を改めて整理し、議長を務める社外取締役の十分な時間を確保することが必要
  • 議長を務める社外取締役が自ら経営会議等に出席する等して情報の把握に努める等、特段のコミットメントが求められる

(※)すべて改訂に際して新規に記載されたもの

問い合わせ先

三菱UFJ信託銀行
法人コンサルティング部 会社法務コンサルティング室
03-3212-1211(代表)

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