抽選でAmazonギフト券が当たる! 2018年の企業法務を振り返るアンケート実施中

アラブ首長国連邦(UAE)進出の法務

第2回 労働法の概要と実務上の留意点

国際取引・海外進出

UAEの労働法制にはどのような特徴があるか

 UAEにおける日系企業を含めた外資企業においては、本社より派遣されて駐在している従業員のほか、南アジアや東南アジア出身の労働者を現地で雇用している場合が非常に多くなっており、これらの外国人を含めた雇用管理は重要です。UAEの労働法制は、短期の外国人労働者の存在を前提としているため、日本の労働法制に比べると雇用者側に有利な法制度となっていますが、UAEでビジネスをする場合には、その理解が必須であることは言うまでもありません。

 UAEにおける労務関連の基本的な法律としては、1980年連邦法No.8(以下、UAE連邦労働法といいます)があります。フリーゾーンではないUAE内地だけでなく、日系企業が多く進出するジュベルアリフリーゾーンやドバイエアポートフリーゾーン等のフリーゾーンにおいても、このUAE連邦労働法が適用されます。なお、これらのフリーゾーンには多くの場合独自の労働規制があり、雇用主としてはそれらにも留意する必要がありますが、それらの規制はUAE連邦労働法に反することは認められません。フリーゾーンについては「【連載】アラブ首長国連邦(UAE)進出の法務 第1回 外資規制と進出形態」を参照ください。

 本稿においては、UAE連邦労働法の概要および実務上の留意点について解説をします。ドバイにはドバイインターナショナルファイナンシャルセンター(DIFC)、アブダビにはアブダビグローバルマーケット(ADGM)と呼ばれる特殊なフリーゾーンが存在し、これらのフリーゾーンにおいてはUAE連邦労働法の適用はなく、独自の労働法制が存在しますが、これらについては本稿の対象外とします。

目次
1 UAEの労働法制にはどのような特徴があるか
2 適用される労働者の範囲
3 雇用契約と就業規則
4 就業時間
5 有給休暇
6 給与
7 懲戒手続
8 契約終了
9 退職手当
10 契約終了後の権利制限条項
11 エミラティゼーション
12 労働紛争解決
13 おわりに

適用される労働者の範囲

 UAE連邦労働法は、原則としてUAE国内(DIFC/ADGM以外のフリーゾーン含む)で働くすべての労働者に適用がありますが、以下の者については例外的に適用がありません(UAE連邦労働法3条)。

  • 連邦政府・各首長国政府・各市町村役場・連邦政府/各首長国の公的機関および連邦政府/各首長国のプロジェクトに従事する公務員・労働者・スタッフ

  • 治安部隊の軍隊メンバー

  • 一般家庭で雇用されている家政婦

  • 農業・酪農における労働者、ただし農業製品を生産する農業法人もしくは常時農業用機械の運転および修理を行う農業法人に属する者は除く。

雇用契約と就業規則

労働省所定の書式により作成される雇用契約書

 UAEにおいては、雇用主が労働者を雇用する場合、通常、労働省所定の書式により作成される雇用契約書が締結されます。この所定の書式には、業務内容や給与等の基本的な内容が規定されており、労働省に登録をすることが求められます。この所定の書式は、アラビア語と英語が並記される形式となっています。外国人労働者の場合には、この所定の書式による契約書が作成され労働省に登録されないと労働許可が下りないため、実務的にはこの登録は必須となっています(ドバイ首長国においては、省令764号によって、外国人を雇用する場合には、ビザおよび労働許可の申請の時点で、雇用主から労働者に対する雇用通知(労働者のサインのあるもの)の提出が求められ、その内容は、労働契約書の書式と齟齬がない必要があります)。

別途締結される雇用契約書

 また、この所定の書式による雇用契約書とは別に、雇用主・労働者間で別途の雇用契約書が締結されるのが一般的で、ここには就業時間や労働者の義務、守秘義務条項等のより詳細な事項が規定されます。この契約書は通常英語で作成されます。
 なお、雇用契約においては、2つの言語に齟齬がある場合、アラビア語が優先されることとされているため(UAE連邦労働法2条)、2つの契約書の内容に齟齬がある場合には、労働省に登録された契約書(アラビア語部分)が優先します。

就業規則

 上記の雇用契約書とは別に、従業員が15人以上いる場合は就業規則の策定が義務付けられ、事務所内に掲示をすることが必要です。就業規則には、一日の就業時間、毎週の休日、その他の休日、職務上の負傷や火災を防ぐために必要な措置および留意事項といった事項が規定されます(UAE連邦労働法54条)。

就業時間

就業時間の原則

 就業時間については、原則として、1日8時間、1週48時間までと定められています(UAE連邦労働法65条)。48時間とされているのはイスラム教の安息日である金曜日1日のみが休日として想定されているからです。実際には、金土の2日間が休日という会社が多いですが、金曜日のみ休日という会社も少なくありません。販売業、ホテル、レストラン等の従業員の労働時間については、労働省の決定するところに従い、1日9時間まで労働時間を延長することが可能です。なお、ラマダン期間中の就業時間は1日6時間までとされます(同条)。1日の就労は連続して5時間を超えることは認められておらず、合計1時間以上の休憩時間を与えることが必要です(UAE連邦労働法66条)。

時間外労働

 所定就業時間を超えて就労した労働者に対しては、時間外労働手当の支払いが必要となります。原則的な時間外労働手当は、通常の賃金の25パーセント増ですが、午後9時から午前4時までの時間外労働の場合には、通常の賃金の50パーセント増の賃金を支払う必要があります(UAE連邦労働法67条、68条)。また、1日の時間外労働時間は、重大な損失や深刻な事故を避けるため、もしくは、その影響を減殺するために必要な場合を除き、上限が2時間とされています(UAE連邦労働法69条)。

時間外労働手当のイメージ(8:00始業の場合)

時間外労働手当のイメージ(8:00始業の場合)

時間外労働の規定の適用がない者

 なお、以下の者については、上記の時間外労働の規定の適用はありません(UAE連邦労働法72条)。

  • 経営陣または管理監督者として、他の労働者よりも上位の地位を与えられている者(詳細は労働省が決定する)。

  • その業務の性質上、特別の条件のもとで働く船員および海員。ただし、荷積みおよび関連業務に従事している港湾労働者を除く。

有給休暇

 特定の祝日については、労働者は正式な有給休暇の取得が認められます。祝日は、法律上、年合計10日間規定されています(UAE連邦労働法74条)。なお、実際の祝日は法律上の祝日よりも多く、特にラマダン明けの休暇や犠牲祭の休暇などは、大型連休となるのが一般的です。なお、これらの休暇は、イスラム暦に基づくもので、専門家が月の満ち欠けを確認したうえで決定されるため、直前になるまでいつが祝日であるのかはっきりしません

 雇用開始後一定期間を経過した場合には、労働者は最低限以下の通り有給休暇の取得が認められます。(UAE連邦労働法75条)。

  • 半年以上1年以下:月2日

  • 1年を超える場合:年30日

 日本における有給休暇の取得状況とは異なり、南アジアや東南アジアからの出稼ぎ労働者の場合には、これをまとめて取得し、長期間母国に帰省するというのが一般的となっています。

 有給休暇を未消化のまま労働契約が終了した場合には、労働者はその未消化有給期間の給与相当額の支払いを受けることができます。なお、この場合の給与相当額は、住居手当や通勤手当等の各種手当を含んだ額を基準として算定されます(UAE連邦労働法79条)。

給与

一般論

 給与は、年単位/月単位で支払うこととされている場合には、少なくとも1か月に一度、それ以外の場合には、少なくとも2週間に一度支払われる必要があります(UAE連邦労働法56条)。また、原則として、特定の権利の回復のために労働者の給与から控除することは認められていません。以下はその例外です(UAE連邦労働法60条)。

  • 前払分または超過払分の返還。ただし、1回分の給与支払の10%を超えることはできない。

  • 社会福祉控除や保険控除等、法律上労働者の給与からの控除が認められているもの。

  • 従業員基金控除。

  • 雇用主によって提供され、かつ、労働省に認められた、社会福祉、特典、その他サービス控除。

  • 当該労働者の違反による罰金の控除。

  • 裁判所の判決に基づく債務の控除。ただし、給与の25%を超えることはできない。複数の債務または債権者が存在する場合、最大合計50%の控除が可能であり、上限25%の養育費の支払いを控除した残額をプロラタで控除。

 これ以外にも、労働者が雇用主の機械や設備等を損傷等させた場合、当該労働者の関与の程度や雇用主の指示に対する違反の程度に応じて、当該設備等を元の状態に修復するのに必要な金額分を給与から控除することができます。ただし、この場合の控除は、毎月の給与の5日分が上限です(UAE連邦労働法61条)。

賞与

 賞与については、UAE連邦労働法上特段の規定はありません。雇用契約に基づいて支給の有無が決定されることになります。賞与が支給される場合、雇用契約上、雇用主の裁量あり/なしに分類できます。

 雇用主の裁量には、そもそも賞与を支給するか否か、賞与の計算方法、賞与支給の基準となる会社業績等についての裁量を設定することが考えられますが、大切なのは、雇用主に裁量があることが契約上明確になっているか否かという点です。この点が明確になっていないと、雇用主は裁量があると考えていたとしても、実際には裁量がないと判断される可能性があるため、雇用契約における賞与の規定に関する文言には留意が必要です。また、固定額が支給される賞与の場合には、後述の退職手当の算定基準額に含まれる可能性がありますので、この観点からも留意が必要です。

懲戒手続

 UAE連邦労働法上、懲戒処分の内容は以下の通りです(UAE連邦労働法102条)。

  • 警告
  • 罰金
  • 10日以下の出勤停止
  • 給与の増額制度のある場合、減給もしくは増給の据え置き
  • 昇進制度のある場合、降格もしくは昇進の据え置き
  • 解雇(退職手当あり)
  • 解雇(各種手当の没収あり。ただし、UAE連邦労働法120条規定の事由に基づく場合に限る)

 懲戒手続としては、懲戒対象者に対する書面による通知、反論の機会の提供、反論内容の調査、これらの手続および懲戒内容の個人ファイルへの記録、懲戒対象者が書面で懲戒の種類、程度、理由および対応措置(繰り返しの違反の場合)について通知を受けることが必要とされています(UAE連邦労働法110条)。また、懲戒対象行為発覚から30日以上が経過した場合、および反論内容の調査、証拠の発見から60日以上が経過した場合には、懲戒処分をすることは禁止されています(UAE連邦労働法111条)。

契約終了

 UAE連邦労働法上、雇用契約の終了事由については、雇用主・労働者双方の合意による場合(労働者の書面による同意がある場合に限る)のほか、期間の定めのある雇用契約と期間の定めのない雇用契約によって異なっています。

期間の定めのある雇用契約

 期間の定めがある雇用契約で契約期間(法律に従い、明示黙示の更新がない場合に限る)が終了した場合には、雇用契約が終了します。

 期間の途中で、雇用主がUAE連邦労働法120条の終了事由以外の理由によって雇用契約を終了させた場合、雇用主には労働者に生じた損害を補償する責任が生じます。ただし、雇用契約に別途の定めのない限り、この補償の合計は、3か月分または契約残期間のうち短い方の期間の給与額を超えないものとされています(UAE連邦労働法115条)。すなわち、 期間の定めのある雇用契約において、何ら理由がなくとも、最大3か月分の給与相当額を支払うことによって、雇用主は同契約を終了させることができます。この点は、我が国の労働法制とは大きく異なる点であり、雇用主に有利な規制となっています。

 なお、ドバイ首長国においては、上記に関連して、別途の省令が存在するので留意が必要です。省令765号によれば、期間の定めのある雇用契約に関し、1か月以上3か月以下の通知期間を規定しなければならないとされています。UAE連邦労働法には、期間の定めのある雇用契約に関して通知期間を規定する義務はなく、両者の間には齟齬があるのですが、実務的には、省令に従い、通知期間の規定を定めることが望ましいと考えられます。

期間の定めのない雇用契約

 期間の定めがない雇用契約でいずれかの当事者が契約終了の意思を示した場合、正当な理由があり、少なくとも30日以上前に相手方に書面にて通知を送付した場合に限り、雇用契約が終了します(UAE連邦労働法117条1項)。
 上記省令765号によれば、通知期間は1か月以上3か月以下である必要があり、期間の定めのある雇用契約の場合と同様、実務的には省令に従うことが望ましいと考えられます。

契約終了事由(UAE連邦労働法120条)

 UAE連邦労働法120条においては、雇用主が労働者に対する通知なくして解雇できる場合が以下のとおり規定されています。

  • 労働者が個人の特定情報や国籍を偽ったとき、または、偽造書類/証明書を提出した場合
  • 試用期間終了前に解雇される場合
  • 労働者が雇用主に重大な損失を与えるミスを犯した場合、ただし、このミスを雇用主が知ってから48時間以内に労働当局に通知した場合に限る
  • 労働者が勤務場所についての安全に関する指示に違反した場合、ただし、この指示が目立つ場所に掲示されている場合、労働者が文字を読めない場合には口頭で指示を受けている場合に限る
  • 労働者が契約上の基本的な義務を怠り、正式な調査のうえで、再度の義務違反の場合には解雇の旨の警告を受けたにもかかわらず、違反を継続した場合
  • 労働者が勤務先の秘密情報を漏えいした場合
  • 名誉、信頼および公の秩序を害する罪で、労働者に対する裁判所の確定有罪判決を受けた場合
  • 労働者が勤務時間中に、飲酒または薬物の影響かにあると認められた場合
  • 労働者が勤務中に雇用主、上司および同僚に暴力を加えた場合
  • 労働者が法律上正当な理由なく、1年間に、断続的に21日以上または連続して8日以上休んだ場合

退職手当

 雇用開始後1年間以上経過した場合には、労働者は退職手当の支払いを受ける権利を取得します(UAE連邦労働法132条)。

 最初の5年間については、年間21日分の給与相当額、それ以降については、年間30日分の給与相当額(ただし、2年間分の給与相当額が上限)が退職手当の額となります。たとえば、丸4年で退職した場合には、21×4=84日分の給与相当額が、丸7年で退職した場合には、21×5+30×2=165日分の給与相当額が、退職手当の額となります。

 なお、前述のとおり、支給額の固定されている賞与は、退職手当算定の基準額に含まれる可能性があります。

 一方で、退職手当を算定するにあたっては、退職時点における基本給相当額をその基準として計算し、住宅手当や通勤手当等の各種手当の額はこれに含みません。

 UAE連邦労働法120条規定の事由に基づく懲戒解雇の場合には、前述の懲戒手続を経た上で、退職手当が没収され支払われないことがあります。

契約終了後の権利制限条項

 雇用契約中に、契約終了後の労働者の権利を制限する条項を入れる場合があります。よく見られる例としては、契約終了後の一定期間競合企業への就職を禁止する条項や、自ら競合事業を営むことを禁止する条項が挙げられます(競業避止義務条項)。その他、労働者の引き抜き禁止条項や、雇用主のクライアントとの取引禁止条項等が規定される場合もあります。

 UAE連邦労働法127条は、労働者の業務が雇用主のクライアントとの接触または営業秘密へのアクセスがある場合、雇用主は雇用契約終了後に当該労働者に競業を禁ずるまたは雇用主と利益の競合するビジネスへの関与を禁ずる旨義務付けることができると規定しています。また、1985年連邦法No.5(UAE民法)909条、910条も、同趣旨の内容を規定しています。

 したがって、UAE法上、一定の場合に競業避止義務条項を契約に規定することは有効と解されています。ただし、同条において、場所、時間、業務の性質上、雇用主のビジネス上の利益を害されないために必要な限度において、このような条項が有効とされると規定されており、無制限に認められるわけではありません。

 たとえば、雇用契約終了後6か月間、当該首長国に限り、業務の内容を特定した内容の競業避止義務であれば、有効であると認められる可能性が高いと言えます。また、仮に競業避止義務の範囲が広範に過ぎると判断される場合であっても、その条項全てが無効とされるわけではなく、裁判所が当該条項を合理的な範囲に限定して解釈する可能性もあります。

 競業避止義務違反があった場合の救済方法について、UAEにおいては差止請求が認められていないため、雇用主としては当該労働者に対して金銭賠償を求めるほかありませんが、実際には損害額の立証が困難です。そこで、雇用主としては、競業避止義務違反の場合の損害賠償額の予定条項を盛り込むことが考えられます。これにより、証明責任が転換され、労働者の方で、損害賠償の予定額が実際の額とは異なっていることを証明しなければならなくなります。

エミラティゼーション

 UAEには近隣の中東諸国と同様に、エミラティゼーション(Emiratisation)と呼ばれる、自国民優遇政策があります。外国人労働者がUAEで就労するには労働省の許可が必要であり、かつ、この業務についてUAE人が就労する余地がない場合に限り就労が許されます(UAE連邦労働法9条、10条)。

 近年エミラティゼーションに関連して、いくつかの省令が出されています。2005年の省令No.41,42,43においては、特定の業種において、従業員に占めるUAE人の最低割合が規定されました。具体的には、従業員が50人以上のトレードセクターに該当する会社において2%、銀行において4%、保険会社において5%となっています。また、2008年の省令No.635においては、100人以上の従業員を有する会社は、最低一人のUAE人を雇用する必要があるとされました。

 実際のところは、これらの規定に違反している会社に対して何らかの措置がとられるケースは多くはありませんが、エミラティゼーションの要件を満たしていない保険会社がライセンスの更新を拒絶された事例があるようであり、上記省令の対象となる会社の場合には、留意が必要です。

労働紛争解決

個別労働紛争

 UAEにおける個別労働紛争に関しては、以下の手続によって解決されます。

(1)労働省/フリーゾーン当局における調停

 個別労働紛争については、まずは労働省(フリーゾーンの場合にはそのフリーゾーン当局)に対して調停を申し立てる必要があります。この手続によって紛争が解決に至らない場合には、労働省(またはフリーゾーン当局)は、申し立てから2週間以内に当該事件を労働裁判所に送付しなければなりません。

(2)労働裁判所による裁判

 労働省(またはフリーゾーン当局)から送付されてきた事件につき、労働裁判所は、受領から3日以内に、弁論期日を指定し、呼び出し状を両当事者に送付しなければなりません。労働裁判所における裁判は、すべてアラビア語によって手続が進められます。また、代理人としての資格を有するのは、UAE人もしくは特定のアラブ人の弁護士に限定されています

集団労働紛争

 また、集団労働紛争に関しては、以下のとおり、別途の手続が規定されています。

(1)労働局における調停

a. 労働者は、申立書を雇用主に提出し、同時に写しを労働省に提出します。
b. 雇用主は申立書を受領してから7営業日以内に、申立書に対する反論書を提出し、同時に写しを労働省に提出します。
c. 雇用主が期限内に反論書を提出しない場合、または、上記a,bの手続によっても和解に至らない場合、担当労働局は、自らもしくは当事者の申し立てにより、円満な和解に向けた調停手続を開始しなければなりません。
d. 雇用主が申し立てをする場合、雇用主は、円満な和解に向けた調停手続を開始するための申立書を直接労働局に提出しなければなりません。

(2)調停委員会

a. (1)において、労働局が申立を受理してから10日間以内に紛争が解決しない場合には、労働局はその申立を調停委員会に送付しなければなりません。
b. 調停委員会は、申立を受理してから2週間以内に決定を下さなければなりません。
c. 両当事者が調停委員会の決定を受け入れる旨書面にて合意した場合には、その決定は両当事者を拘束します。

(3)上級仲裁委員会

a. (2)c.の合意に至らない場合には、一方当事者または両当事者は、調停委員会の決定について、上級仲裁委員会に対して、決定後30日以内に不服申立をすることができます。なお、かかる不服申立がなされない場合には、調停委員会の決定は最終かつ執行力を有することとなります。
b. 上級仲裁委員会の判断は、最終かつ確定的なものとなります。

おわりに

 以上、UAEの労働法制についてその概要を解説いたしました。冒頭でも触れた通り、UAEにおける労働法制は、日本のそれと比して雇用主に有利な制度となっています。しかしながら、UAEにおいては、駐在員の雇用はもちろん、様々な国の出身の従業員を雇用する場面が多いと考えられるため、宗教・文化や国民性の違いを理解し、UAEの労働規制を把握したうえで適切な雇用管理を実施することが、円滑なビジネスの遂行に必要であると言えます。

関連する特集

無料会員登録で
リサーチ業務を効率化

90秒で登録完了

無料で会員登録する