平成29年3月31日施行、有価証券上場規程が一部改正 決算短信・四半期決算短信の様式に関する自由度が向上

コーポレート・M&A

※本記事は、三菱UFJ信託銀行が発行している「証券代行ニュース No.137」の「特集」の内容を転載したものです。

有価証券上場規程の改正

 平成29年2月10日、東京証券取引所は、決算短信・四半期決算短信の様式に関する自由度を向上させることを目的とした有価証券上場規程の一部改正を公表しました。
 本号では、同改正の概要等をご案内いたします。

改正の趣旨

 平成28年4月18日付の金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」報告を踏まえ、決算短信・四半期決算短信の様式について使用強制をとりやめることで自由度を高めるものです。

【(ご参考)金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」報告の抜粋】

II.2.(2) 具体的な見直しの方向性
① 決算短信及び四半期決算短信
i、ii (略)
iii 要請事項の限定等による自由度の向上
 決算短信及び四半期決算短信による情報開示の意義が速報性にあることに鑑みれば、その内容については可能な限り自由度を高めることが必要である。このため、証券取引所が決算短信及び四半期決算短信への記載を要請する事項をサマリー情報、経営成績・財政状態・今後の見通しの概況(決算短信のみ)並びに連結財務諸表(四半期決算短信については、四半期連結財務諸表。(略))及び主な注記に限定する。また、その他は企業が任意に記載できることとするなど、義務的な記載事項及び記載を要請する事項を可能な限り減らすことにより、それぞれの企業の状況に応じた開示を可能とする。
 (略)

改正内容

改正の概要

 取引所が定める短信の様式のうち、本体である短信のサマリー情報について、上場会社に対して課している使用義務を撤廃するものです。

新旧対照表(主要な箇所のみ)

(決算短信等)
第404条 上場会社は、事業年度若しくは四半期累計期間又は連結会計年度若しくは四半期連結累計期間に係る決算の内容が定まった場合は、直ちにその内容を開示しなければならない。
(決算短信等)
第404条 上場会社は、事業年度若しくは四半期累計期間又は連結会計年度若しくは四半期連結累計期間に係る決算の内容が定まった場合は、当取引所所定の「決算短信(サマリー情報)」又は「四半期決算短信(サマリー情報)」により、直ちにその内容を開示しなければならない。

施行日

 平成29年3月31日から施行されます。同日以後、最初に終了する事業年度・四半期累計期間または連結会計年度・四半期連結累計期間に係る決算の内容が定まった場合の開示から適用されます。

決算短信等の作成要領の改訂

 有価証券上場規程の改正等に関連して、「決算短信・四半期決算短信作成要領等」が改訂されていますので、その概要をご案内いたします。なお、詳細は以下をご参照ください。

参考:東京証券取引所「決算短信作成要領・四半期決算短信作成要領

見直し内容

項番 項目 具体的内容
1 「サマリー情報」の様式および記載事項の見直し 開示の自由度を高める観点から、決算短信等の「サマリー情報」について、使用強制を取りやめることとし、今後は参考様式として位置付けて、その使用を要請することとする。
2 速報性に着目した記載事項の整理 決算短信等で記載を要請する事項は、原則として、速報性が求められる情報のみとし、具体的には、決算短信においては「サマリー情報」、「経営成績等の概況」、「連結財務諸表及び主な注記」の三つに、四半期決算短信においては「サマリー情報」、「四半期連結財務諸表及び主な注記」の二つに限定することとする。
(1) 「連結財務諸表及び主な注記」または「四半期連結財務諸表及び主な注記」の開示時期 「サマリー情報」との同時開示を要請しているが、投資判断を誤らせるおそれのない場合に、決算短信等の開示を早期化するため「サマリー情報」および「経営成績等の概況」を先行して開示するときは、準備が整い次第直ちに「連結財務諸表及びその注記」または「四半期連結財務諸表及びその注記」を開示することとする。
この場合には、各社の状況に応じて、「サマリー情報」および「経営成績等の概況」の開示と同時に、企業の状態を適切に理解するために有用な数値情報など、投資者が必要とする財務情報について開示する。
(2) 「経営方針」、「投資判断に有用な追加情報」の記載要請のとりやめ 「経営方針」や「投資判断に有用な追加情報」など、必ずしも速報性が求められない情報については、記載の要請を取り止める。
3 監査および四半期レビューが不要であることの明確化 決算情報の開示について、上場規則においては、「決算の内容が定まった場合」に直ちにその内容を開示することを求めており、監査や四半期レビューの手続きの終了は開示の要件とはされていない。もっとも、監査等の終了後に決算短信等を開示している会社も少なくないことを踏まえて、決算短信等を開示する場合に、監査および四半期レビューが不要であることを改めて明確化する。
4 業績予想について多様かつ柔軟な開示が可能であることの明確化 業績予想について多様化が進む実際の記載例をできるだけ多く例示することで、多様かつ柔軟な開示が可能なことをより明確にする。

実施時期

 2017年3月末日以後に終了する連結会計年度または四半期連結累計期間の決算または四半期決算に係る決算短信または四半期決算短信から適用します(早期適用はできません。)。

【連結会計年度末ごとの初回適用時期】

連結会計年度末 初回適用時期
通期決算 四半期決算
3月 平成29年3月期決算(※1) 平成30年3月期第1四半期決算
4月 平成29年4月期決算 平成30年4月期第1四半期決算
5月 平成29年5月期決算 平成30年5月期第1四半期決算
6月 平成29年6月期決算 平成29年6月期第3四半期決算(※2)
7月 平成29年7月期決算 平成29年7月期第3四半期決算
8月 平成29年8月期決算 平成29年8月期第3四半期決算
9月 平成29年9月期決算 平成29年9月期第2四半期決算(※3)
10月 平成29年10月期決算 平成29年10月期第2四半期決算
11月 平成29年11月期決算 平成29年11月期第2四半期決算
12月 平成29年12月期決算 平成29年12月期第1四半期決算(※4)
1月 平成30年1月期決算 平成30年1月期第1四半期決算
2月 平成30年2月期決算 平成30年2月期第1四半期決算
※1 3月末日以外を連結会計年度末とする場合は、平成30年3月期決算から適用
※2 6月末日以外を連結会計年度末とする場合は、平成30年6月期第1四半期決算から適用
※3 9月末日以外を連結会計年度末とする場合は、平成29年9月期第3四半期決算から適用
※4 12月末日以外を連結会計年度末とする場合は、平成29年12月期第2四半期決算から適用
問い合わせ先

三菱UFJ信託銀行
法人コンサルティング部 会社法務コンサルティング室
03-6250-4354
  • facebook
  • Twitter
コンテンツの更新情報、法改正、重要判例をもう見逃さない!メールマガジン配信中!無料会員登録はこちらから

関連する特集

コーポレート・M&Aの人気特集

  1. インサイダー取引規制における「知る前契約・計画」の要件と活用方法
  2. 株主総会資料の新たな電子提供制度とは
  3. これからのインセンティブプランの形 第2回 有償ストック・オプションにおけるインセンティブについて
  4. グローバルで勝ち残る企業に必要な競争力とは