株主総会議事録作成に当たっての実務上の留意点

コーポレート・M&A

 本日、無事に株主総会を終えましたが、議事録はいつまでに作成する必要があるのでしょうか。なお、議事録は当社総務部の職員である私が作成するのですが、「議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名」は、どのように記載すればよいでしょうか。また、議事録には署名や押印は必要ないのでしょうか。

 法律上、議事録の作成期限はありませんが、株主総会終了後、可能な限り速やかに作成すべきです。
 「議事録の作成に係る職務を行った取締役」は、議事録の作成に関して責任を有する取締役の氏名を記載すべきと考えられます。
 議事録には原則として署名や押印は必要ありませんが、定款にその旨の定めがないかどうかは確認すべきです。また、一定の例外的な場合には、登記申請に際して実印の押印が必要となることがあります。

解説

株主総会議事録の意義

 株主総会議事録は、株主総会における決定事項や議事の経過を記録化したものであり、その運営の適切性を確保する役割を果たすとともに、後日、様々な場面で、株主総会の議事や運営に関して客観的な事実を示す証拠となり、また、利害関係人に対して必要な情報を提供するという機能も有しています。株主総会議事録を作成するにあたっては、これらの意義を意識する必要があります。

株主総会議事録の作成期限

 株主総会議事録の作成期限については、特に会社法上の定めはありません。この点、議事録は商業登記申請の際の添付書類として用いられる場合がありますが、商業登記は、原則として、登記事項に変更が生じたときから2週間以内にしなければならないと定められていますので(会社法915条1項)、株主総会の終了後2週間以内というのが1つの目安になるという考え方もあります。

 もっとも、上述の株主総会議事録の意義に鑑みれば、上記の考え方にとらわれず、株主総会議事録は、株主総会の終了後、可能な限り速やかに作成すべきであると言えます。実際、2015年の株主総会白書(商事法務第2085号)によれば、上場会社において株主総会議事録を作成した日は、株主総会当日が23.8%、翌日が20.3%、翌々日が16.8%とされており、株主総会から2日以内に作成する会社が6割以上を占めています

「議事録の作成に係る職務を行った取締役」とは

 株主総会議事録を作成するにあたっては、「議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名」を記載しなければならないこととされています(会社法施行規則72条3項6号)。 

 ここでいう「議事録の作成に係る職務を行った取締役」の解釈ですが、実際に議事録の作成事務に関与した取締役に限るものではありません。
 実際上、取締役自身は議事録の作成事務に直接関与しないという会社も少なくないと思われます。むしろ、ここで「議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名」を記載することの意味は、議事録の作成責任者(である取締役)を明らかにすることにあると考えられますので、議事録の作成に関して責任を有する取締役の氏名を記載すべきと考えられます。

 そのため、実務上は、実際に議事録の作成に関与したか否かを問わず、代表取締役の氏名を記載する場合が多いと思われます。その他、株主総会実務を所管する担当取締役(総務担当取締役等)の氏名を記載することも多いようです。

署名・押印について

 旧商法では、出席した取締役の署名または記名押印が必要とされていましたが、現行の会社法ではそのような規定はありませんので、出席取締役の署名や押印は必ずしも必要ではありません

 もっとも、実務上は、議事録内容の真実性・信頼性を担保する意味で、上述の「議事録の作成に係る職務を行った取締役」については、氏名の印字(記名)だけでなく、その右側に押印もするという会社も少なくありません。
 さらに、会社によっては、現在も旧商法下の実務を事実上継続し、株主総会に出席した役員全員から署名または記名押印を取得するという手続がとられている場合もあります。
 なお、議事録に出席役員の署名または記名押印を必要とする旨が会社の定款に定められている場合には、会社法の定めにかかわらず出席役員の署名または記名押印が必要となりますので、注意が必要です。

議事録の作成に不備があった場合

 議事録を作成した後になって、その内容に誤記や記載漏れ等の不備があることが判明した場合には、可能な限り速やかに訂正すべきです。特に、その不備によって更正登記が必要になる場合には、訂正した議事録が必要となります。
 また、登記とは関係がない場合であっても、上述した議事録の意義からすれば、不備があれば速やかに訂正すべきでしょう。なお、議事録の作成懈怠、法定記載事項の不記載、虚偽記載は、法律上、過料の対象とされています(会社法976条7号)。

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