株式併合を行う場合に決議すべき事項と株式併合を行うことを必要とする理由の説明・開示について

コーポレート・M&A
小林 隆彦弁護士

 株式併合を行う場合に決議すべき事項を教えてください。
 また、株式の併合を行うことを必要とする理由の説明・開示について教えてください。

 株式併合を行う場合には、株主総会の特別決議によって、①併合の割合、②株式の併合がその効力を生ずる日(効力発生日)、③(種類株式発行会社である場合は、)併合する株式の種類および④効力発生日における発行可能株式総数(ただし、公開会社では、効力発生日における発行済株式総数の4倍を超えることはできません)を定めなければなりません。
 株式の併合を行うことを必要とする理由について、取締役は、上記の株主総会において説明しなければなりません。また、上場会社である場合には、適時開示事項(「併合の目的」)として開示することが必要となり、さらに、有価証券報告書提出会社であって、かつ、一定の場合には、臨時報告書の開示事項(「併合の目的」)として開示することが必要となります。

解説

株式併合とは

 株式併合とは、数個の株式を合わせてより少数の株式とする会社の行為をいいます。
 株式併合は、会社財産・資本金額を変動させずに発行済株式総数を減少させるため、1株あたりの経済的価値を引き上げる意義を有します。
 なお、株式併合によっても1株毎の株式の権利の内容に変更はありません。

株式併合を行う場合に決議すべき事項について

 株式併合を行う場合には、株主総会の特別決議会社法309条2項4号)によって、以下の事項を定めなければなりません会社法180条2項1号~4号)。

  1. 併合の割合
  2. 株式の併合がその効力を生ずる日(効力発生日)
  3. (種類株式発行会社である場合)併合する株式の種類
  4. 効力発生日における発行可能株式総数
① 併合の割合とは

 ①併合の割合とは、併合後の発行済株式総数の併合前の発行済株式総数に対する割合をいいます。たとえば、10株を1株に併合する場合には、併合の割合は10分の1となりますが、株主総会決議においては、10株を1株に併合すると定めることで足ります。

② 株式の併合がその効力を生ずる日とは

 ②株式の併合がその効力を生ずる日とは、株式併合の効力発生日を意味します。株主は、効力発生日に、効力発生日の前日に有する株式の数に併合の割合を乗じて得た数の株式の株主となります(会社法182条1項)。

③ 併合する株式の種類

 種類株式発行会社会社法2条13号)においては、③併合する株式の種類を定めることとされており、種類ごとに株式の併合が行われることが明確にされています。そのため、特定の種類の株式のみを対象として株式併合を行うことができますが、他方で、異なる種類株式の株式併合はできません(相澤哲ほか「論点解説 新・会社法」184頁、商事法務、2006)。
 なお、種類株式発行会社における株式の併合が、ある種類株式の株主に損害を及ぼすおそれがある場合には、定款で決議を要しないと定めた場合(会社法322条2項。なお、この場合の反対株主の株式買取請求権につき、同法116条1項3号イ)を除き、上記の株主総会の特別決議に加えて、当該種類株主総会の特別決議がなければ株式併合は効力を生じません(会社法322条1項2号、同条2項、324条2項4号)。

④ 効力発生日における発行可能株式総数

 ④効力発生日における発行可能株式総数を定めることにより、株式併合の効力発生日において、当該発行可能株式総数に係る定款の変更をしたものとみなされます会社法182条2項)。したがって、別途、定款変更(会社法466条309条2項11号)を行う必要はありません。
 もっとも、公開会社会社法2条5号)では、効力発生日における発行可能株式総数は、効力発生日における発行済株式総数の4倍を超えて定めることはできないことに留意が必要です(会社法180条3項)。

株式の併合を行うことを必要とする理由の説明・開示について

 取締役は、株式併合を決議する株主総会において、株式の併合を行うことを必要とする理由を説明しなければなりません会社法180条4項)。
 また、上場会社が株式併合を行うことを決定した場合、適時開示を行う必要があり(東京証券取引所有価証券上場規程402条1号g)、適時開示においては、以下の事項を記載することが必要であるところ、①併合の目的において、株式の併合を行うことを必要とする理由を記載することになります(株式会社東京証券取引所「東京証券取引所 会社情報適時開示ガイドブック(2015年6月版)」149頁、株式会社東京証券取引所、2015)。

  1. 併合の目的
  2. 併合の内容
  3. 併合の日程
  4. 1株未満の端数が生じる場合の処理方法等
  5. 株式併合の条件等

 さらに、有価証券報告書提出会社の業務を執行する機関が、株式併合を目的とする株主総会を招集することを決定した場合であって、当該株式の併合により株主数が25名未満となることが見込まれている場合には、以下の事項を記載した臨時報告書を提出する必要があります(金融商品取引法24条の5第4項、企業内容等の開示に関する内閣府令19条2項4号の4)。

  1. 併合の目的
  2. 併合の割合
  3. 会社法234条の規定により1に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額および当該額の算定根拠
  4. 株式併合の効力発生日

おわりに

 紙幅の関係上、本稿では触れていませんが、平成26年会社法改正により、株式併合により端数となる株式を有する株主の利益の保護が図られました
 すなわち、単元株式数を定めていない場合または単元未満株式会社法189条1項)以外にも1株未満の端数が生じる場合には、①情報開示として、事前備置書類および事後備置書類の備置会社法182条の2第1項、182条の6第1項、2項、会社法施行規則33条の933条の10)が求められることになったほか、②株主による株式併合の差止請求会社法182条の3)および③反対株主による株式買取請求の制度会社法182条の4)が新設されました。
 そして、①③が新たに設けられ、株主の利益に配慮がなされたことにより、株式併合をスクイーズ・アウトの手法として用いることが実務上定着しつつあります。

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