種類株主総会はどのように運営すればよいか

コーポレート・M&A

 当社では、種類株式を発行しているのですが、この度、合併を行うにあたって、種類株主総会を開催する必要があります。できるだけコストをかけたくないのですが、どのように種類株主総会を運営すればよいでしょうか。

 種類株主総会には、通常の株主総会に関する規定が広範に準用されていますので、基本的に通常の株主総会の運営とパラレルに準備をすれば足ります。
 ただし、通常の株主総会と種類株主総会を同時に開催する場合には、招集通知は1通にまとめてよいのか、議事運営も並列的に行ってよいのか、株主総会議事録は1通にまとめてよいのかといった問題が生じます。

解説

種類株主総会の運営に準用される会社法の規定

 種類株主総会の手続については、以下の事項などについて、基本的に、株主総会に関する規定が準用されています(会社法325条)。

準用される規定
会社法298条 株主総会の招集決定
会社法300条 招集手続の省略
会社法301条302条 株主総会参考書類および議決権行使書面
会社法303条305条 株主総会前の株主の議題提案権や議案提案権
会社法306条 総会検査役
会社法310条 議決権の代理行使
会社法314条 取締役等の説明義務
会社法315条 議長の権限
会社法318条 株主総会議事録

 そのため、種類株主総会を開催・運営する場合には、招集手続、株主総会参考書類や議決権行使書面の作成から当日の運営、総会後の議事録の作成まで、基本的に通常の株主総会と同様に考えて準備すればよいことになります。

 ただし、以下の規定については、株主総会の規定は準用されません

内容 準用されない理由
会社法296条1項、2項 定時株主総会および臨時株主総会の招集に関する規定 種類株主総会には、定時種類株主総会および臨時株主総会という概念はないため
会社法309条 株主総会の決議要件に関する規定 種類株主総会の決議要件については、会社法324条で独自に規定がされているため

 なお、種類株式を発行している会社の場合、定款において、株主総会の議長の規定などを種類株主総会に準用する規定を置いていることもありますので、その点もチェックする必要があります。

 このように、種類株主総会の手続は、通常の株主総会とほぼ同じですので、両者を同時期に開催する場合、コスト削減の観点から、両者を一括して準備・運営したいというニーズが生じます。そこで、このような一括した並列的な準備・運営がどこまで許されるのかが、ポイントになります。

種類株主総会の招集手続

 種類株主総会と通常の株主総会を同時に開催する場合、両者の招集通知を1通の招集通知で兼ねることは、許されるでしょうか。

 この点、議題および議案が両総会ごとに区分して明示され、両総会の招集通知として記載事項が網羅されている限り、株主が両総会の議題などを混同したりするおそれもありませんので、問題はないと解されます(岩原紳作『会社法コンメンタール 第7巻 機関(1)』〔山下友信〕376頁(商事法務、2013))。

種類株主総会の議事運営

 種類株主総会の議事運営についても、通常の株主総会の規定が広く準用されます。

 通常の株主総会と種類株主総会を同時に開催する場合、両者の審議および表決を分離して行う分離方式であれば、特段問題は生じませんが、両者の審議および表決を並行して行う並列方式を採用することは、許されるでしょうか。

 一般的に、株主総会に議決権を有しない者が参加し、この者の質問・発言や出席自体によって、議決権を有する株主の質問・発言や議決権行使に不当な影響が及んだ場合には、決議取消しのリスクが生じます最高裁昭和30年10月20日判決・民集9巻11号1657頁等)。

 そのため、通常の株主総会と種類株主総会は、両者の株主が異なるのであれば、審議および表決を分離する分離方式によることが原則として望ましいといえます。
 もっとも、両者で、議決権を行使できる株主が完全に重複する場合には、上記問題は生じませんから、並列方式によることができます。

 また、通常の株主総会と種類株主総会の審議を同時並行で行い、表決の際に種類株主総会の構成員以外の者を退席させ、種類株主総会で議決権を行使できる者に対し、すでに行われた議案の説明内容等に異議がないかどうかを確認のうえ、異議がなければ表決し、異議があればその事項について再審議をするという方法であれば、種類株主総会の非構成員からの不当な影響は相対化されるため、許容されるものと解されます(前掲・岩原〔山下友信〕378頁)。  

種類株主総会の議事録

 分離方式の場合はもちろんのこと、並列方式により、通常の株主総会と種類株主総会を並列的に開催した場合であっても、両総会は別個の総会ですから、議事録も別々に作成するのが原則です。

 ただし、並列方式の場合、ある株主らの発言や質問が、いずれの株主総会について行われたものであるか判然としないこともあり得ます。そのため、両総会について一つの議事録にまとめて作成することも許容されるものと解されます(中村直人『株主総会ハンドブック 第4版』648頁(商事法務、2016))。

コンテンツの更新情報、法改正、重要判例をもう見逃さない!メールマガジン配信中!無料会員登録はこちらから
  • facebook
  • Twitter

関連する特集