異なる種類の会社間での組織再編が行える場合、行えない場合

コーポレート・M&A

 株式会社と合同会社の間での合併、株式会社と合名会社の間での会社分割など、異なる種類の会社間で組織再編を行うことは可能でしょうか。

 異なる種類の会社間の場合、組織再編を行える場合と行えない場合があります。また、会社法施行前に設立された有限会社(特例有限会社)についても、組織再編の当事会社になれるケースとなれないケースがあります。

解説

会社法上の会社の種類

 会社法上の「会社」には、株式会社合名会社合資会社合同会社の4種類が存在します(会社法2条1号)。また、会社法施行前に設立された有限会社は、会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(以下「会社法整備法」といいます)により、「特例有限会社」として基本的に株式会社の規律が適用されるものの、組織再編では株式会社と異なる取り扱いを受けます。

異なる種類の会社間の合併

吸収合併の場合

 吸収合併の場合、特例有限会社が存続会社になることは認められないものの、これ以外の場合であれば、存続会社・消滅会社がそれぞれどの種類の会社であっても、実施することが可能です(会社法2条27号、748条会社法整備法37条)。
 よって、たとえば、株式会社を存続会社、合名会社を消滅会社とする吸収合併も可能ですし、合同会社を存続会社、株式会社を消滅会社とする吸収合併も可能です。

存続会社 消滅会社
株式会社
合名会社
合資会社
合同会社
特例有限会社 ×

 消滅会社が株式会社(公開会社か非公開会社かは問いません)で、存続会社が持分会社(合名会社・合資会社・合同会社)であり、消滅会社の株主に交付される合併対価の全部または一部が持分会社の持分であるとき、吸収合併契約について、消滅会社の総株主の同意を得る必要があります(会社法783条2項)。また、消滅会社が種類株式を発行する株式会社である場合は、持分の割当てを受ける種類の株主全員の同意が必要です(会社法783条4項)。

 これは、合名会社の持分や、合資会社の無限責任社員持分が合併対価として交付される場合、有限責任(=出資の価額の限度で責任を負い、株主個人の財産は会社債務の引当てにならない)であった消滅会社の株主の責任が、無限責任(=会社が債務を完済できない場合等には、株主個人の財産が会社債務の引当てになる)になり、責任が重くなることによります。また、合資会社の有限責任社員持分、合同会社の社員持分が合併対価として交付される場合、有限責任であることは吸収合併の前後で変わらないものの、法的地位は質的に変化するため、総株主の同意が必要とされています。

 また、特例有限会社は、吸収合併の存続会社になることができません(会社法整備法37条)。有限会社は特例として例外的に存続していることから、他社を合併し規模を拡大することは期待されていないためと考えられます。

新設合併の場合

 新設合併を行う会社(消滅会社)の種類は問われず、特例有限会社を消滅会社とする新設合併も可能です(会社法2条28号)。また、新設合併により特例有限会社を設立することはできませんが、その他の会社の種類は問われません
 よって、たとえば、株式会社と株式会社が新設合併して合名会社を設立すること、株式会社と合同会社が新設合併して合資会社を設立すること、合名会社と合資会社が新設合併して株式会社を設立することなども可能です。

新設合併により設立される会社 消滅会社
株式会社
合名会社
合資会社
合同会社
特例有限会社 ×

 なお、吸収合併と同様に、株式会社を消滅会社、持分会社を設立される会社とする新設合併を行う際には、総株主の同意が必要です(会社法804条2項)。また、持分会社が消滅会社となる場合には、定款に別段の定めがある場合を除き、総社員の同意を得る必要があります(会社法813条1項1号)。

異なる種類の会社間の会社分割

吸収分割の場合

 吸収分割の分割会社は、株式会社または合同会社に限定されています(会社法2条29号、757条)。一方、吸収分割の承継会社(いわゆる受皿会社)は、会社の種類を問いません会社法2条29号、757条)。ただし、特例有限会社は、分割会社になれる一方、承継会社(受皿会社)になることはできません

分割会社 承継会社
株式会社
合名会社 ×
合資会社 ×
合同会社
特例有限会社 ×

 合名会社・合資会社が分割会社になれないのは、会社の債務が株式会社・合同会社に承継された場合に、承継会社の財産しか債権の引当てにならない場合(承継会社が株式会社・合同会社の場合)が生じるためと解されます。

 もっとも、合名会社・合資会社が、定款変更により合同会社になったうえで吸収分割を行い、吸収分割後に合名会社・合資会社に定款変更で戻るなどの方法により、合名会社・合資会社が分割会社となる吸収分割を実施したことと同様の効果を得られることが指摘されています(相澤哲=葉玉匡美=郡谷大輔編著「論点解説 新・会社法」668頁(商事法務、2006)参照)。

新設分割の場合

 新設分割の分割会社は、吸収分割と同様に、株式会社または合同会社に限られます会社法2条30号、762条)。分割により設立する会社の種類は問われませんが、特例有限会社を設立することはできません
 よって、たとえば、株式会社が新設分割を行い、合名会社を設立するといった新設分割も可能です。

分割会社 新設分割により設立される会社
株式会社
合名会社 ×
合資会社 ×
合同会社
特例有限会社 ×

 なお、合同会社が分割会社であり、事業に関して有する権利義務の全部を他の会社に承継する場合、定款に別段の定めがある場合を除き、総社員の同意が必要です(会社法813条1項2号)。

異なる種類の会社間の株式交換

 株式交換において、完全親会社になる会社は株式会社または合同会社、完全子会社になる会社は株式会社のみです(会社法2条31号)。特例有限会社は完全親会社にも完全子会社にもなれません会社法整備法38条)。

完全親会社 完全子会社
株式会社
合名会社 × ×
合資会社 × ×
合同会社 ×
特例有限会社 × ×

 株式交換は、発行済株式を完全親会社となる会社に移転する制度であることから、完全子会社となる会社は株式会社に限定されます。また、合名会社・合資会社は、株式交換を行う実益に乏しいことから、完全親会社になることができないと解されます。

異なる種類の会社間の株式移転

 株式移転を行える会社(完全子会社となる会社)は株式会社のみであり、株式移転により新たに設立する会社(完全親会社となる会社)も株式会社に限られます会社法2条32号、772条)。また、特例有限会社は、株式移転の当事会社になれません会社法整備法38条)。

完全親会社(設立される会社) 完全子会社
株式会社
合名会社 × ×
合資会社 × ×
合同会社 × ×
特例有限会社 × ×
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