資本等取引とはどういう取引か

税務

 資本等取引とは、どういう取引をいうのでしょうか。

 資本等取引とは、①募集株式の発行等による増資など、「資本金等の額」の増加または減少を生ずる取引、および②剰余金の配当など、剰余金の分配および残余財産の分配をいいます。資本等取引は、原則として、法人税の課税の対象にはなりませんが、デット・エクイティ・スワップなど資本等取引でありながら、損益取引としての性格も有する取引もあるので、注意が必要です。

解説

資本等取引とは

 資本等取引とは、①法人の「資本金等の額」の増加または減少を生ずる取引②法人が行う利益または剰余金の分配および残余財産の分配をいいます(法人税法22条5項)。①の例としては、募集株式の発行等による増資、自己株式の取得、②の例として、剰余金の配当などがあります。

 資本等取引の特徴は、所得金額に影響を及ぼさないという点にあります(法人税法22条2項)。「もうけ」ではなく、「元手」なので、法人税が課されないわけです。したがって、会社が、第三者割当増資を実行して、払込みを受けたとしても、会社の所得金額が増加するわけではありません。また、会社が、剰余金の配当を行ったとしても、会社の所得金額が減少するわけではありません。

 注意が必要なのは、取引当事者ごとに資本等取引に該当するかを判断するという点です。第三者割当増資も、発行会社にとってみれば資本等取引となりますが、引受人にとってみれば資本等取引ではありません。株式を引き受けても、「資本金等の額」は増えないからです。  

資本等取引とは

資本金等の額

 このように、所得金額に影響を及ぼすか否かに直結するので、資本等取引の範囲を理解しておくことは非常に重要です。そして、そのためには、「資本金等の額」というものを理解しておく必要があります。

 「資本金等の額」とは、ひとことで言ってしまうと、株主等から出資を受けた金額です。ただ、この「資本金等の額」は、会社法でいう資本金の額と同義ではないことに注意が必要です(会社法445条1項)。法人税法2条16号は、「資本金等の額」とは、「法人(略)が株主等から出資を受けた金額として政令で定める金額」をいうとしています。そして、法人税法施行令8条は、「資本金の額」(会社法と同義)を基礎としつつも、様々な加算・減算を行っています。たとえば、第三者割当増資を実行して、その払込金額の2分の1を資本金ではなく、資本準備金として計上した場合には、資本準備金として計上した金額も「資本金等の額」を計算する際には加算されます(法人税法施行令8条1項1号)。

 このように、法人税法上の「資本金等の額」は、会社法上の「資本金の額」と同義ではないことから、法人税法上の「資本金等の額」の異動状況を記録しておく必要があります。このような役割を担うのが、申告書の別表五(一)です。いわば、申告書の別表五(一)は税務上の貸借対照表といえます(申告書別表四が税務上の損益計算書となります)。

資本等取引と損益取引、両方の性質を持つ取引(混合取引)

 注意が必要なのは、資本等取引でありながら、損益取引の要素を含むものもあるという点です。たとえば、会社が、配当財産を金銭以外のものとする剰余金の配当(いわゆる現物配当。会社法454条1項1号、4項参照)を実行した場合、この取引は剰余金の配当として資本等取引となるはずですが、配当財産の含み益に対しては課税が行われると解されています(金子宏『租税法(第21版)』319頁(弘文堂、2016)参照)。

 また、DES(Debt Equity Swap デット・エクイティ・スワップ)についても、現物出資の一種である以上、資本等取引となるはずですが、発行会社の債務超過となっているなど現物出資の対象となる債務の簿価が時価とかい離している場合には、債務消滅益が生じ、これに対して課税が行われることになります(法人税法59条1項1号等)。近時、DESを行ったところ、発行会社において債務消滅益が認識され、多額の法人税が生じた事例も生じているので、注意が必要なところです。

コンテンツの更新情報、法改正、重要判例をもう見逃さない!メールマガジン配信中!無料会員登録はこちらから
  • facebook
  • Twitter

関連する実務Q&A

関連する特集

税務の人気実務Q&A

  1. 役員報酬を支給する際に留意すべき役員の範囲
  2. 法人税における無償取引の取扱い
  3. 資本等取引とはどういう取引か