REITの仕組み

不動産

 REITとは、どのようなものでしょうか。

 投資信託及び投資法人に関する法律(以下「投信法」といいます。)に基づき設立される投資法人が投資ビークルとなり、投資口、投資法人債の発行または借入れにより資金調達したうえで、主として不動産または不動産信託受益権などを取得・運用し、投資家に利益を分配する仕組みです。

解説

REITとは

 REITとは、Real Estate Investment Trust(不動産投資信託)を略したもので、投信法に基づき設立される投資法人を投資ビークルとして用い、不動産および不動産信託受益権を主たる投資対象として投資家の資金を運用するファンドをいいます。

REIT

 投信法に基づき組成される投資信託を利用することも可能ですが、日本国内のREITにおいては、実務上、投資法人を投資ビークルとすることが一般的であるため、ここでは投資法人を投資ビークルとして用いることを前提に説明します。

REITの設立等

 投資法人は、設立企画人による規約の作成、設立の届出、設立時募集投資口の募集・払込などを経て、設立登記をすることにより成立します。
 その後、投信法187条の登録を受けることにより資産の運用を行うことができるようになります
 なお、設立企画人には資格要件があるため(投信法66条3項・4項)、設立後の投資法人の資産運用会社となる予定の者が設立企画人となることが実務上多くなっています。

機関設計

 投資法人には、以下の機関が設置され、これらの機関により運営されることになります。

投資主総会

 株式会社の株主総会に相当しますが、その決議事項は、投信法および規約で定めた事項に限られます
 投資法人の社員の地位である投資口を有する投資主が投資主総会における議決権を有し(投信法77条2項3号)、議決権の制限をすることはできません(投信法77条3項)。
 規約によってみなし賛成制度(投資主が投資主総会に出席せず、かつ議決権を行使しないときは提出された議案について賛成したものとみなされる制度)を導入することができます(投信法93条)。
 投資法人においては計算書類などについて投資主総会の承認を受ける必要はない(役員会の承認で足りる)ため、投資主総会は、通常、執行役員の任期(投信法99条)に合わせて2年に1回の頻度で開催されます。

執行役員

 執行役員は、投資主総会の決議で選任されます。
 執行役員が投資法人の業務を執行しますが、後述のとおり、投資法人が行う業務は資産運用会社等に委託することが義務づけられているため、執行役員が実際に行うことは、主に資産運用会社の監督等になります。

監督役員

 監督役員は、投資主総会の決議で選任されます。
 監督役員は執行役員の職務の執行を監督することを職務としており、かかる監督の実効性を担保するために、監督役員の人数は執行役員の人数よりも多くなければならないものとされ(投信法95条2号)、また、監督役員については厳格な資格要件が定められており(投信法100条)、さらに、資産運用会社との関係でも利害関係を有しないことが必要とされています(投信法200条)。
 また、監督役員は、執行役員のほか、資産運用会社、資産保管会社および一般事務受託者に対しても報告を求め、調査をする権限が与えられています(投信法111条2項)。

役員会

 全ての執行役員および監督役員で構成されます。
 執行役員は、投信法で定める場合のほか、重要な職務を執行しようとするときは、役員会の承認を受ける必要があります(投信法109条2項)。

会計監査人

 会計監査人は、投資主総会の決議で選任されます。
 会計監査人は、投資法人の計算書類等の監査を行うことを職務としており、かかる監査の実効性を担保するため、厳格な資格要件が定められ(投信法102条3項)、その職務にあたって利益相反のおそれがある者を使用してはならないと定められています(投信法115条の2第3項)。

業務の委託

業務の外部委託

 投資法人は、資産の運用に係る業務を資産運用会社に(投信法198条1項)、資産の保管に係る業務を資産保管会社に(投信法208条1項)、投資口・投資法人債の募集等に関する事務、投資主原簿等に関する事務、投資証券等の発行に関する事務、機関運営に関する事務、計算に関する事務など(以下「一般事務」といいます)を一般事務受託者に(投信法117条)、それぞれ委託しなければなりません。
 したがって、投資法人の業務は、これらの委託先により行われることになり、投資法人自らは投資ビークルとして「箱」としての機能を担うものと位置づけられます。

資産運用会社

 不動産等を主たる投資対象とする投資法人(REIT)から資産の運用に係る業務の委託を受ける資産運用会社は、以下の資格を有していることが必要になります。

  1. 投資運用業の登録(投信法2条21項、11項)
     なお、REITの資産運用会社が不動産等に対する投資として金銭その他の財産を運用する行為は「特定投資運用行為」として内閣総理大臣の承認を受けなければ投資運用業者が行うことができない承認業務(金融商品取引法35条4項)とされ、投資運用業の登録を受ける際にその審査を受けることになります(投信法223条の3参照)。

  2. 宅地建物取引業法の免許(投信法199条1号)

  3. 取引一任代理等の認可(投信法199条2号)

資産保管会社

 資産保管会社となる者は、信託銀行、有価証券等管理業務(金融商品取引法28条5項)を行う金融商品取引業者など一定の範囲の者に限定されており、信託銀行が行う場合が多くなっています。

一般事務受託者

 一般事務受託者について資格要件はなく、その事務の内容に応じて、証券会社、信託銀行などが分担して受託することが行われています。

一般事務受託者

資金調達

 投資法人の資金調達は、以下の方法により行われます。

投資口の発行

 株式会社の株式に相当します。
 新投資口予約権の発行も認められています。

投資法人債の発行

 株式会社の社債に相当します。
 投資法人債は、投資主の請求により投資口の払戻しをしない旨の規約の定めがある投資法人(いわゆるクローズドエンド型)に限り、発行することができます(投信法139条の2第1項)。
 規約に定める限度額の範囲内で発行することができます。
 なお、投資法人債を発行する場合、原則として投資法人債管理者を設置しなければなりませんが、各投資法人債の金額が1億円以上である場合等には投資法人債管理者の設置は義務づけられません(投信法139条の8)。
 投資法人債に担保を付する場合には、担保付社債信託法の適用を受けることになります(投信法139条の11)。

借入れ

 規約に定める限度額の範囲内で借入れを行うことができます
 投資法人の借入れ先について投信法上資格要件はありませんが、後述のペイスルー課税の適用を受けるために借入先は租税法上の機関投資家に限定されることになります。

導管性(ペイスルー課税)

 投資法人においては、事業年度終了時において発行済投資口が50人以上の者によって所有されているまたは租税法上の機関投資家のみによって所有されていること等、投資口について国内募集要件を充足すること、配当可能利益の90%超を配当として支払うこと、租税法上の機関投資家以外の者から借入れを行っていないこと、その他一定の要件を充足することにより、支払利益配当を損金算入することにより、実質的にREIT段階と投資家段階での二重課税を回避することができますペイスルー課税、租税特別措置法67条の15)。
 なお、前述の「機関投資家」の範囲は、金融商品取引法に定める「適格機関投資家」の範囲と異なる点について注意すべきです。

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