TK-GKスキームの仕組み

不動産

 不動産の証券化(流動化)におけるTK-GKスキームの仕組みはどのようなものでしょうか。

 合同会社(GK)を投資ビークルとして用い、合同会社が投資家から匿名組合(TK)出資を受けること等により資金調達を行ったうえで、不動産信託受益権を取得・運用し、その利益を投資家に分配する仕組みです。

解説

TK-GKスキームとは

 TK-GKスキームとは、合同会社が投資家から匿名組合出資により金銭の出資を受け、金融機関等からの借入れにより調達する資金とあわせて購入代金にあてることで不動産信託受益権を取得し、不動産に対する投資を行う仕組みです。

TK-GKスキーム

 不動産信託受益権の売却または信託受託者に対する現物不動産の売却などの投資判断は、合同会社と投資一任契約を締結した投資運用業者が行うか、または投資顧問契約を締結した投資助言業者の助言を受けて行います。この投資運用業者または投資助言業者は、アセットマネージャーと呼ばれます。
 現物不動産の管理・運営は、不動産信託受託者である信託銀行等がプロパティマネージャーと呼ばれる不動産管理業者などに委託して行います。
 そして、合同会社は、信託受託者が現物不動産を賃貸することで得られる賃料及び現物不動産の売却により得られる売却代金等を原資として信託受託者から受け取る信託配当、不動産信託受益権の売却により得られる売却代金をもって、金融機関等からの借入れを返済し、投資家に対して匿名組合配当等として不動産投資による利益を分配することになります。

匿名組合出資持分の募集または私募(取得勧誘)

 合同会社は、匿名組合出資持分を投資家に対して発行することになりますが、その募集または私募(取得勧誘)を業として行うことは、原則として「第二種金融商品取引業」に該当し、第二種金融商品取引業の登録を受けることなくこれを行うことはできません
 なお、500名以上の者が匿名組合資持分を所有することにならない限り、その取得勧誘は募集ではなく私募に該当します(金融商品取引法2条3項3号、金融商品取引法施行令1条の7の2)。不動産証券化におけるTK-GKスキームに係る匿名組合出資持分の取得勧誘は、多くの場合、私募に該当することになります。

 しかし、TK-GKスキームにおける合同会社は投資ビークルにすぎないため、金融商品取引業の登録を受けることは事実上不可能です。
 そこで、以下のいずれかの方法をとることにより、合同会社が金融商品取引業の登録を受けずに、適法に匿名組合出資持分を発行することが行われます

  1. 匿名組合出資持分の募集または私募(取得勧誘)を第二種金融商品取引業の登録を受けた金融商品取引業者に委託して自らは全く行わない方法(「金融商品取引法制に関する政令案・内閣府令案等」に対するパブリックコメントの結果等について コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方(平成19年7月31日公表))

  2. 「適格機関投資家等特例業務」として私募を行う方法(金融商品取引法63条1項1号)。

自己運用

 合同会社が信託受益権に対する投資として匿名組合出資を受けた金銭を運用することを業として行うことは、原則として「投資運用業」に該当し、投資運用業の登録を受けることなくこれを行うことはできません
 しかし、前記のとおり、TK-GKスキームにおける合同会社は、金融商品取引業の登録を受けることが事実上不可能です。
 そこで、以下のいずれかの方法をとることにより、合同会社が金融商品取引業の登録を受けずに、適法に運用を行うことが行われます

  1. 投資運用業の登録を受けた金融商品取引業者と投資一任契約を締結し、投資運用業者に運用を行う権限の全部を委託する方法(金融商品取引法第2条に規定する定義に関する内閣府令(以下「定義府令」といいます)16条1項10号)
     この方法による場合、匿名組合契約および投資一任契約に規定しなければならない事項があること、匿名組合契約の締結前に所管金融庁長官等(財務局)への届出が必要となる点に注意が必要です。

  2. 「適格機関投資家等特例業務」として自己運用を行う方法(金融商品取引法63条1項2号)

 なお、投資家から匿名組合出資を受けるビークル(親ビークル)と不動産信託受益権を取得するビークル(子ビークル)を別にし、単一の親ビークルから子ビークルに対して匿名組合出資を行うスキームをとる場合には、定義府令16条1項11号の特例により子ビークルとなる合同会社について投資運用業の登録を不要とすることができます。

適格機関投資家等特例業務

 前述のとおり、合同会社が行う匿名組合出資持分の私募(取得勧誘)または自己運用については、「適格機関投資家等特例業務」(以下「特例業務」といいます)の要件を充足し、あらかじめ内閣総理大臣へ届出を行うことにより、第二種金融商品取引業または投資運用業の登録を受けることなく行うことが可能です。
 特例業務に該当するために充足しなければならない要件のうち主なものは以下のとおりであり、投資家の人数および属性等がこれらに該当することを確認する必要があります。

  1. 最低1名以上の適格機関投資家から匿名組合出資を受けること
     この要件については、GKにTK出資をする適格機関投資家の出資額または出資比率が著しく低い場合などには、実質的に匿名組合出資を行っている適格機関投資家が存在しないと判断される可能性がある点に注意が必要です(金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針Ⅸ-1-2(2))。

  2. 適格機関投資家でない投資家(以下「一般投資家」といいます)の人数を49名以下とすること

  3. 私募または私募の取扱いの相手方となる時点において、一般投資家が一定の範囲の者であること(金融商品取引法施行令17条の12第1項各号、金融商品取引業等に関する内閣府令(以下、「業等府令」といいます)233条の2)。
     当該特例業者と密接な関係を有する者(運用委託先や投資助言者など)、他の特例業者、上場会社、資本金の額または純資産の額が5000万円以上の法人、保有する投資性金融資産(有価証券やデリバティブ取引に係る権利など)の合計額が1億円以上と見込まれる法人、保有する投資性金融資産の合計額が1億円以上と見込まれ、かつ証券口座開設後1年を経過した個人などが該当します。
     私募または私募の取扱いの相手方となる時点において一般投資家が前記の要件を充足する者であればよく、その後一般投資家がその要件を充足しなくなっても、合同会社は引き続き特例業務として自己運用を行うことができると解されています(平成27年金融商品取引法改正等に係る政令・内閣府令案等に対するパブリックコメントの結果等について コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方(平成28年2月3日公表))。

  4. 合同会社に匿名組合出資をする者のいずれもが、適格機関投資家以外の者を匿名組合員とする匿名組合の営業者など「適格機関投資家等」から除外される者に該当しないこと(金融商品取引法63条1項1号イないしハ、業等府令235条)。

  5. 特例業務から除外される以下の場合に該当しないこと(業等府令234条の2第1項、2項)。
    1. 当該合同会社に匿名組合出資をする適格機関投資家の全部が投資事業有限責任組合である場合(ただし、投資事業有限責任組合契約に基づき運用を行う金銭その他の財産の総額から借入金の額を控除した金額が5億円以上であると見込まれるものを除きます)
    2. 当該合同会社から運用の委託を受けた者など、当該合同会社と密接な関係を有する者からの出資割合が2分の1以上となる場合

不動産信託受益権を用いること

 TK-GKスキームにおいて、合同会社が取得・運用する対象を不動産信託受益権ではなく現物不動産とすると、合同会社が行う行為は不動産特定共同事業法に定める不動産特定共同事業に該当することになります。
 その場合、SPC(Special Purpose Company;特別目的会社)である合同会社が自ら不動産特定共同事業の許可を取得することは事実上できないため、同法に定める「特例事業」の要件を充足する必要が生じます。
 そこで、かかる不動産特定共同事業法の適用を回避するため、TK-GKスキームにおいては不動産信託受益権の形で取得・運用を行います
 また、現物不動産での売買と比較して不動産信託受益権での売買によった方が移転登記に要する登録免許税その他の物件の移転に係る費用を低く抑えることができることも、不動産信託受益権が選択される理由のひとつとなっています。
 もっとも、投資対象不動産の老朽化が進んでいる等の理由により、信託銀行等による不動産の信託の引受けが難しい場合があり、その場合には現物不動産での取得・運用が可能なTMKスキームや不動産特定共同事業法上の「特例事業」によることが検討されます。

GKの意思決定

 TK-GKスキームにおいて投資家は匿名組合員となりますが、匿名組合員は営業者(合同会社)が行う営業を執行することができません
 アセットマネージャーの関与が助言にとどまり、投資家がその助言を受けて不動産信託受益権の売却等について同意・不同意などの投資判断を行う場合などでは、匿名組合性が否定されるおそれがあり、投資家と合同会社の間の出資契約が民法上の組合と判断される可能性があります。
 そこで、投資家と合同会社の間の出資契約について匿名組合性が否定される可能性を払拭するために、投資判断は外部の投資運用業者に一任し、投資家による投資判断への関与を意見表明にとどめるなどの構成が採られることがあります

パススルー課税

 匿名組合は、法人税法に関して独自の課税主体とならず、匿名組合財産の損益に対する課税は、営業者(合同会社)の段階では行われず、匿名組合員(投資家)の段階で初めて行われることになるため、TK-GKスキームによる不動産投資から生じる収益について二重課税を避けることができます

コンテンツの更新情報、法改正、重要判例をもう見逃さない!メールマガジン配信中!無料会員登録はこちらから
  • facebook
  • Twitter

関連する実務Q&A

関連する特集

不動産の人気実務Q&A

  1. REITの仕組み
  2. TK-GKスキームの仕組み
  3. TMKスキームの仕組み
  4. 不動産の証券化(流動化)における不動産特定共同事業スキームの仕組み