TMKスキームの仕組み

不動産

 不動産の証券化(流動化)におけるTMKスキームの仕組みはどのようなものでしょうか。

 資産の流動化に関する法律(以下「資産流動化法」といいます)に基づき設立される特定目的会社(以下「TMK」といいます)を投資ビークルとして用い、優先出資、特定社債などの資産対応証券を発行すること等により投資家から資金調達を行ったうえで、不動産または不動産信託受益権を取得・運用し、その利益を投資家に分配する仕組みです。

解説

「資産の流動化」の定義

 TMKが行う「資産の流動化」とは、一連の行為として、特定目的会社が「資産対応証券の発行または特定借入れにより得られる金銭をもって資産を取得し、これらの資産の管理および処分により得られる金銭をもって、特定社債、特定約束手形または特定借入れに係る債務の履行を行い、また、優先出資に係る利益の配当および消却のための取得または残余財産の分配を行うことをいいます(資産流動化法2条2項参照)。
 「資産対応証券」とは、優先出資、特定社債および特定約束手形をいいます。これらの内容については後述します。
 TMKが「資産の流動化に係る業務として」取得する資産を「特定資産」といいます。

業務開始届出

 TMKが「資産の流動化に係る業務」を行うときには、あらかじめ業務開始届出を提出する必要があります(資産流動化法4条1項)。
 なお、業務開始届出には、資産流動化計画を添付する必要があり、また、特定資産の譲受けに係る契約またはその予約、特定資産の管理処分業務委託契約またはその予約などを添付することが原則的に必要です(資産流動化法4条3項)。

業務開始届出

TMKの資金調達

 不動産証券化(流動化)におけるTMKスキームにおける資金調達の方法/TMKに資金を提供する者は、主に以下のとおりです。

特定出資/特定社員

 特定社員は、特定出資を有する者であり、TMKの社員となり、TMKの社員総会において議決権を有します
 株式会社の普通株主に相当します。

優先出資/優先出資社員

 優先出資社員は、優先出資を有する者であり、TMKの社員となりますが、資産流動化法または定款に別段の定めがない限り、TMKの社員総会における議決権を有しません資産流動化法27条4項)。

 また、優先出資社員の議決権行使については、みなし賛成制度(社員総会に出席せず、かつ議決権を行使しないときは決議事項について賛成したものとみなす制度)が設けられています(資産流動化法62条)。
 TMKの利益配当または残余財産の分配について特定社員に優先し、株式会社の優先株主に相当します。

特定社債/特定社債権者

 特定資産の取得資金にあてるために特定社債を発行することができます
 株式会社における社債に相当するものです。
 転換特定社債、新優先出資引受権付特定社債、特定短期社債を発行することもできます。
 なお、特定社債を発行する場合、原則として特定社債管理者を設置しなければなりませんが、募集される各特定社債の金額が1億円以上である場合等には特定社債管理者の設置は義務づけられません資産流動化法126条)。
 特定社債に担保を付する場合には、担保付社債信託法の適用を受けることになります(資産流動化法130条)。
 特定社債は、一般担保付とすることができます(資産流動化法128条)。

特定約束手形

 特定資産の取得資金または特定約束手形の支払のための資金を調達するために、TMKが資産流動化法205条の規定により発行する約束手形です。

特定借入れ/特定借入れに係る債権者

 特定借入れは、TMKが資産流動化法210条の規定により行う借入れです。
 銀行または金融商品取引法上の適格機関投資家のみから特定借入れを行うことができます(ただし、後述のペイスルー課税の適用を受けるためには、特定借入れの借入先は租税法上の機関投資家でなければならない点に注意が必要です)。
 特定借入れによって調達した資金の使途は制限されていません。

その他借入れ/その他借入れに係る債権者

 その他借入れは、主につなぎ資金を調達するためにTMKが資産流動化法211条の規定により行う借入れです。
 その他借入れについては、資産流動化法211条資産流動化法施行規則94条に定める要件(資金使途、借入期間など)を充足する場合に限って行うことができます。

TMKの機関

 TMKには、社員総会のほか、取締役、監査役を設置することが義務づけられ、また優先出資を発行する場合などには会計監査人の設置も義務づけられます資産流動化法67条)。
 TMKは、これらの機関によって運営されます。

資産流動化計画

資産流動化計画の作成等

 TMKは資産流動化計画に従って業務を行うことになります。
 資産流動化計画においては、計画期間、資産対応証券および借入れに関する事項(総口数の限度額・総額・限度額、その内容など)、特定資産に関する事項(特定資産の内容・取得時期など)、特定資産の管理処分の方法などが記載されます(資産流動化法5条)。

資産流動化計画の変更

 資産流動化計画の変更は、社員総会の決議または利害関係人(特定社員、優先社員、特定社債権者、特定約束手形の所持人、特定借入れに係る債権者をいいます)全員の事前承諾によって行います資産流動化法151条1項、3項2号)。
 もっとも、変更の内容が軽微な内容である場合、確定手続による場合、改定手続による場合には、社員総会決議および利害関係人の全員の事前承諾を受けることなく、資産流動化計画を変更することができることがあります。
 確定手続とは、資産流動化計画においてあらかじめ定められた要件および手続に従い、当初の資産流動化計画において未確定であった事項を確定させる旨の変更を行う手続をいいます。
 改定手続とは、資産流動化計画においてあらかじめ定められた要件および手続に従い、資産流動化計画において確定的に記載された事項の内容を変更する手続をいいます。
 確定手続、改定手続ともに、対象とすることのできる事項はスキームの根幹に関わらない事項であり、法令において定められた事項に限られます。

資産流動化計画に違反した場合

 TMKは、「資産流動化計画に従って」資産の流動化に係る業務(およびその附帯業務)を行わなければならず、資産流動化計画違反の社員総会決議については取消しの訴え資産流動化法64条)が、資産流動化計画違反の取締役の行為については差止め請求資産流動化法82条)を行うことができます。

特定資産の取得

 TMKは、資産流動化計画に記載された資産を特定資産として取得します
 資産流動化計画において記載のない現物不動産(宅地建物取引法上の宅地・建物)を、業務開始届出後に新たに取得すること(追加取得)は、既存の特定資産に係る不動産との地理的な近接性、追加取得しようとする不動産の機能・役割、追加取得に係る経緯等を勘案して、既存の特定資産に係る不動産と密接関連性を有する場合でないと行うことができないと解されていることに注意が必要です。

特定資産の運用

特定資産の管理処分

 特定資産は、原則として信託することが義務づけられていますが、特定資産が信託受益権である場合にはかかる信託義務はなく、また、不動産(および従たる資産)については、信託に代えて、当該特定資産の譲渡人または当該特定資産の管理および処分を適正に遂行するに足りる財産的基礎および人的構成を有する者に委託することも許容されています(資産流動化法200条)。
 不動産の売買または賃貸等に係る業務の委託先については、前述の要件に加えて、不動産特定共同事業法の許可の欠格事由に該当しない者である必要があります(資産流動化法203条)。

アセットマネージャー

 TMKは投資ビークルであることから、アセットマネジメント会社とアセットマネジメント契約を締結し、アセットマネジメント業務(投資判断に関する助言の提供または投資判断の一任等)を委託することがあります
 この点、特定資産が現物不動産である場合には、アセットマネジメント業務について金融商品取引法が適用されることはありませんが、特定資産が不動産信託受益権である場合には、アセットマネジメント契約が金融商品取引法上の「投資顧問契約」または「投資一任契約」に該当し、アセットマネジメント会社が金融商品取引法に基づく投資助言・代理業または投資運用業の登録を受けている者でなければならないことがあります。

税務上の優遇措置等

ペイスルー課税

 TMKにおいては、特定社債または優先出資を租税法上の機関投資家のみに保有させること等、優先出資について国内募集要件を充足すること、配当可能利益の90%超を利益配当として支払うこと、特定借入れを行っている場合にはその借入先が租税法上の機関投資家などであって特定社員でないこと、その他一定の要件を充足することにより、支払利益配当を損金算入することにより、実質的にTMK段階と投資家段階での二重課税を回避することができますペイスルー課税租税特別措置法67条の14)。
 なお、前述の「機関投資家」の範囲は、金融商品取引法に定める「適格機関投資家」の範囲と異なる点について注意すべきです。

不動産流通税の軽減措置

 TMKが現物不動産(宅地建物取引業法上の宅地または建物)を取得する場合、一定の要件を充足することにより、不動産所有権の移転登記に係る登録免許税および不動産取得税の軽減を受けることができます租税特別措置法83条の2地方税法附則11条3項)。
 ただし、これらの軽減措置は時限立法によるため、随時確認が必要です。

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