民法改正(債権法改正)と不動産取引への影響

第2回 不動産売買契約の留意点(契約不適合責任)

取引・契約・債権回収
猿倉 健司弁護士

民法(債権法)の改正に伴う不動産売買契約の注意点

 本年5月26日に、民法(債権法)の改正法案(以下「改正民法」といいます)が成立し、6月2日に公布されました。公布から3年以内に施行されることになります。
 不動産取引その他のビジネスにおいて用いられている契約書は、現行の民法を前提に作成されていますが、改正民法には、現行民法とは大きく異なる規定が多数存在しています。そのため、改正民法下において、できる限り紛争を予防し、不測の損害を被る事態を防ぐためには、現在使用している契約書の各条項について、改正民法の内容を踏まえて適切な見直しをしておくことが必要不可欠となります。

 本稿においては、民法改正による不動産取引への影響および不動産売買契約の注意点について、土壌汚染や地中障害物の存在が疑われる土地の売買契約を中心に説明します。なお、本稿では、改正民法の詳細について説明を省略している箇所もありますので、『第1回 売買契約に関連する民法改正のポイント』での説明もあわせてご参照ください。

参考:民法改正を踏まえた不動産取引の実務対応ガイド・売買契約書のサンプル付き

不動産売買契約における契約不適合責任に関する留意点

 改正民法では、売買対象物に不具合や欠陥があった場合の売主の責任について、現行民法における「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」に変更されます(『第1回 売買契約に関連する民法改正のポイント』参照)。
 現行民法下では、対象物の個性に着目して売買される特定物(不動産は通常、特定物にあたります)とそれ以外を分け、法的性質や法的効果が異なるとされてきましたが、改正民法下では特定物か否かにかかわらず、債務不履行責任として統一的に取り扱われることになります。

契約不適合責任の成立要件に関して留意すべきポイント

(1)「契約の内容」に関する契約条項

 契約不適合責任で問題となる「契約の内容」とは、「合意の内容や契約書の記載内容だけでなく、契約の性質(有償か無償かを含む。)、当事者が契約をした目的、契約締結に至る経緯を始めとする契約をめぐる一切の事情に基づき、取引通念を考慮して評価判断されるべきものである」とされています(「民法(債権関係)の改正に関する中間試案の補足説明」(平成25年7月4日補訂)(以下「補足説明」といいます)・第8「債権の目的」(89~90頁)参照)。
 この点に関しては、現行法下の裁判例で「瑕疵」(現行民法570条)にあたるか否かが問題となってきた地中障害物、土壌汚染、軟弱地盤、液状化、日照、騒音・振動、近隣関係等(これらに限りません)は、それが契約の内容になっていて、売買対象物の状況がそれと異なっていれば「契約不適合」にもあたりうると考えられます。

契約の内容

 しかし、改正民法下においては、「契約の内容」とは何かが必ずしも明らかではないため、その解釈を巡って争いになる事態が予想されます。また、改正民法下では、裁判所が、現行法下での「瑕疵」の解釈と異なる解釈を採る可能性もあります。後の紛争をできる限り予防し、不測の損害を被る事態を避けるためには、売買契約書において、契約をした動機・目的や契約締結に至る経緯等をできるかぎり明確にすることが重要です。これらは、契約解釈の指針として、これまで以上に重視されるものとなると考えられます。
 また、特に問題が生じやすい土地の売買契約においては、売買契約書や重要事項説明書、物件概要書その他の関連資料等に具体的に契約の内容(利用目的や目的物の仕様等)等を記載することも重要となります。場合によっては、具体的に懸念される土壌汚染や地中障害物が存在しない土地の引渡しを目的とすることを明記しておくとよいでしょう。

【留意すべきポイント】
  • 「契約の内容」を明確にするために、契約をした動機・目的、契約締結に至る経緯が明確になっているか?
  • 「契約の内容」として、利用目的や目的物の仕様等が明確になっているか?

(2)売主の地中調査・対策義務に関する契約条項

地中調査・対策義務

 現行民法下の瑕疵担保責任における「瑕疵」かどうかの判断時期については、法定責任説の立場から、“契約締結時点までに生じた瑕疵”に限られ、また、“たとえ目的物に欠陥があっても売主に欠陥のないものを引渡す義務はなく、債務不履行責任は生じない”と解釈されていました(『第1回 売買契約に関連する民法改正のポイント』)。
 そのため、現行民法下での土地の売買契約において、売主に対して土地引渡までの土壌汚染・地中障害物の調査・対策義務を負わせる場合には、その旨の特約をすることが必要でした(井上治「不動産再開発の法務」84頁等(商事法務、2017))。
 これに対し、改正民法では、「契約の内容に適合」する物を引き渡すことが売主の義務とされ、当該義務を果たしているかどうかは対象物の引渡し時において判断されるため、この考え方によれば、当事者間で特約を設けなくても、売主に“契約内容として求められている状態にまで土壌汚染・地中障害物の対策処理を行ったうえで土地を引き渡す義務”が認められる可能性もありえます。

 しかし、買主が購入した土地上に建築物を建て、第三者への売却や事業を行うようなプロジェクトを計画しているような場合、土地の引渡しまでに十分な地中調査や対策がなされないと、後に発見された土壌汚染や地中障害物によりプロジェクト計画自体が遅れ、その結果として多大な損害(工期延長による追加コスト、事業開始遅延による機会損失等)を被るほか、プロジェクト自体が頓挫してしまう可能性も否定できません。
 そのため、売買契約書において、土地引渡時までに地中調査・対策を実施する義務を明記することにより、売主によって確実にその義務が履行されることを促すことが考えられます。

地中調査・対策義務

【留意すべきポイント】
  • 売主の義務として土地の引渡し時までに地中調査・対策義務を負うことが、明確になっているか?
地中調査・対策の方法、効果

 売主に地中調査・対策義務を負わせたとしても、それだけでは買主にとって十分な調査・対策がなされるとは限りません。そこで、売主によって買主が求める内容(水準)の地中調査・対策が実施されるように、売買契約書等において、調査・対策の対象物質、基準値、実施範囲、深度および分析方法等を明記するか、これらを買主が指示することができる旨を明記することが考えられます(前掲井上・84頁等)。
 また、売主による土壌汚染調査や対策措置が不十分であると考えられる場合の追加調査や、義務違反の効果(契約の解除、損害賠償、売買代金支払いの一部留保等)についても、売買契約書に明記することが考えられます。具体的な契約条項の内容については、対象地の状況や各当事者の事情等を踏まえた適切な内容とする必要があります(前掲井上・88頁等)。

【留意すべきポイント】
  • 地中調査・対策の対象や方法等が明確になっているか?
  • 地中調査・対策が不十分な場合の追加調査の実施や、地中調査・対策義務の違反があった場合の効果が明確になっているか?

契約不適合責任に基づく買主の救済手段に関して留意すべきポイント

(1)追完請求に関する契約条項

 改正民法では、売主が契約の内容に適合しない目的物等を引き渡した場合には、追完が不能である場合等を除き、買主に追完請求権(代替物または不足分の引渡請求権および修補請求権)が認められます(改正民法562条1項)。
 追完請求のうち、履行の方法が複数ある場合には買主に選択権がありますが、「買主に不相当な負担を課すものではないとき」は、売主は買主の請求とは異なる方法での履行の追完をすることが可能とされています。

追完の方法選択

 ここで問題となるのが、不動産売買の対象地から土壌汚染が発見されたようなケースです。売買契約の内容として土壌汚染のない土地の引渡しが求められている場合に、買主は汚染土壌の掘削除去による追完(完全な汚染除去)を求める一方で、売主は覆土(盛土)による追完(相対的にコストの安価な必要最低限の対策)を主張することで、争いとなることが想定されます。

 実際、現行民法下においても、売主に土壌汚染対策義務が規定されているような事案で、土壌汚染対策方法を巡って紛争となった裁判例があります。ここでは売買契約の予定する内容として、「土壌汚染が一切存在しない土地」である必要があるのか、「汚染土壌による健康等のおそれのない土地」であれば足りるのかによって、結論が変わることになります。
 後の紛争をできる限り避けるためには、売買契約書において、追完方法をあらかじめ具体的に規定しておくか、もしくは、買主(または売主)のみが追完内容を指定できることを明確にしておくことなどが考えられます。

【留意すべきポイント】
  • 追完の内容として求める目的物の性状・状態が明確になっているか?
  • 追完方法や、追完方法の選択権者は明確になっているか?
追完不能の判断基準

 また、目的物の修補(土地に土壌汚染がある場合であれば汚染対策等)に過大の費用を要する場合、履行の追完をすることが不能と判断され、代金減額、契約解除、損害賠償などによって対応することを求められる場合もあります。しかし、どのような場合であれば(どの程度の状況となれば)追完不能とされるのかは必ずしも明らかではありません。
 そこで、後の紛争をできる限り避けるためには、売買契約書において、修補に過大の費用を要する場合(たとえば、「○円を超える場合」、「売買代金額の○割を超える場合」)には修補を行わず、他の救済措置で対応する旨を明記することも考えられます。

【留意すべきポイント】
  • どのような場合に契約の追完(修補)が不能となるかが明確になっているか?

(2)代金減額請求に関する契約条項

 改正民法では、売主が契約の内容に適合しない目的物等を引き渡した場合には、買主の責めに帰すべき場合を除き、代金減額請求権が認められます(改正民法563条1項、2項)。

催告なしの代金減額請求

 代金減額請求は、履行の追完を催告したにもかかわらずこれがない場合に、「不適合の程度に応じて」代金の減額を請求することができるものです。
 そのため、このような追完の催告を要せずにただちに代金減額請求ができるようにしたいという場合には、売買契約書において、その旨を明記することが必要となります。

【留意すべきポイント】
  • 追完の催告を要せずに代金減額請求ができる条項となっているか?
代金減額の算定方法

 また、実務上問題となりそうなのが代金減額の算定方法です。この点については、改正民法では「不適合の程度に応じて」代金の減額を請求できると規定されているのみで、具体的な算定方法は明らかではありません。
 そのため、算定方法に疑義が生じないようにするために、売買契約書において、代金減額請求の算定方法や算定基準時等について定めておくことが考えられます。たとえば、(契約締結時または引渡し時の)“適合物であれば有する価値”“実際に引き渡された不適合物の価値”の差額を減額することなどが考えられます。

【留意すべきポイント】
  • 代金減額請求の算定方法や算定基準時が明確になっているか?

(3)損害賠償請求の要件に関する契約条項

 改正民法においては、契約不適合があっても、「債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるとき」は、損害賠償請求をすることはできません(改正民法415条1項ただし書)。

債務者の帰責事由がない場合の損害賠償請求

 そのため、現行民法の瑕疵担保責任(現行民法570条)のように、売主に無過失責任を負わせたいという場合には、売買契約書においてその旨を明記することが考えられます。

【留意すべきポイント】
  • 契約不適合責任に基づく損害賠償請求について、売主に無過失責任を負わせる特約が規定されているか?
帰責事由の考慮要素・判断基準

 また、「債務者の責めに帰することができない事由によるものである」かどうか(債務者の帰責事由)については、「契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして」判断されることとなりますが、その考慮要素や判断基準については必ずしも明らかではありません。そのため、後の紛争をできる限り避けるためには、売買契約書において、帰責事由の考慮要素・判断基準を明確にしておくことが考えられます。
 その際、土地の売主が売買対象地における土壌汚染の浄化を第三者の業者に委託した場合などに、委託先業者の行為についても債務者が責任を負うことを明確にしておくことも考えられます。このことは、上記2-1(2)の地中調査・対策義務に関する条項でも同様です。

【留意すべきポイント】
  • 契約不適合責任に基づく損害賠償請求について、売主の帰責事由の考慮要素・判断基準が明確になっているか?
  • 土壌汚染浄化を委託した業者の過失について誰が責任を負うか明確になっているか?
帰責事由の立証責任

 契約不適合責任に基づく損害賠償請求において、「債務者の責めに帰することができない事由によるものである」かどうか(債務者の帰責事由)の立証責任は、債務者側にあります。そのため、土地の売主(債務者)が、帰責事由の立証責任を買主に負わせたい場合(立証責任を転換したい場合)には、売買契約書において、その旨を明記することが考えられます。

【留意すべきポイント】
  • 契約不適合責任に基づく損害賠償請求について、帰責事由の立証責任が債権者に転換されているか?

(4)損害賠償請求の賠償対象・範囲に関する契約条項

 現行民法の瑕疵担保責任に基づく損害賠償の範囲は、信頼利益に係る損害(その契約が有効であると信じたために発生した実費等の損害)であるといわれていますが、これに対し、改正民法の契約不適合責任に基づく損害賠償は、債務不履行一般と同様、損害の範囲に履行利益(その契約が履行されていれば、その利用や転売などにより発生したであろう利益)についての損害を含むことになると考えられます(『第1回 売買契約に関連する民法改正のポイント』参照)。

損害賠償の対象・範囲設定

 しかし、実際の紛争において認められる損害賠償の対象や範囲は必ずしも明確とはいえないので、後の紛争を避けるためにも、売買契約書において、以下のように損害賠償の対象や範囲を明記しておくことが例として考えられます。この場合、買主としては損害賠償の範囲をできる限り広くすることを希望し、他方で、売主としてはできる限り限定することを希望するものと考えらます。
 下記は、それぞれの立場から希望することが考えられるいくつかの例となります。

契約書に明記する損害賠償の対象や範囲
買主 被った一切の損害を賠償範囲に含める
売主 通常かつ直接の損害に限定する(間接損害や予見すべき特別事情による損害を排除する)
売主 損害賠償額の上限を設定する
売主 損害賠償額を固定額とする(損害賠償額の予定)

 なお、売買契約において賠償額の予定をする場合には、当該条項が無効と判断されないように公序良俗や宅地建物取引業法、消費者契約法、その他の法令等に留意して適切な金額とすることを検討する必要があります。

【留意すべきポイント】
  • 損害賠償の対象・範囲について明確になっているか?
    1. 被った一切の損害を賠償範囲に含めたい場合
    2. 通常かつ直接の損害に限定したい場合(間接損害や予見すべき特別事情による損害を排除したい場合)
    3. 損害賠償額の上限を設定したい場合
    4. 損害賠償額を固定額としたい場合(損害賠償額の予定)
損害賠償費用の項目

 また、後の紛争をできる限り避けるためには、これまでの裁判例において損害賠償の対象として認められるかどうかが争いとなった費用項目のうち、売買目的となる対象地で具体的に懸念される費用については、売買契約書において、売主(または買主)が負担すべき損害の項目として明記することも考えられます。
 たとえば、土壌汚染対策費用等に加え、土壌汚染調査費用、工事遅延による損害、突貫工事が必要となったために要した増額費用、間接経費・人件費、借入金利息、火災保険、転売先に対する解約違約金、固定資産税・都市計画税、弁護士費用、土地の減価相当額、信用の毀損による損害等の費用などを売主(または買主)が負担することを明記することが考えられます(前掲井上・98頁等)。

【留意すべきポイント】
  • 契約不適合責任に基づく損害賠償請求について、売主または買主が負担すべき費用・損害項目が明確となっているか?

(5)契約の解除に関する契約条項

 現行民法では、履行不能を理由とする解除の要件として、「債務の不履行が債務者の責めに帰することができない事由による」(現行民法543条ただし書)事情の存在が必要であるとされていましたが、改正民法における契約不適合責任に基づく解除の要件としては、このような要件は必要とされていません。

債務者の帰責事由がない場合の契約解除

 このことは、買主にとっては契約を解除しやすくなることを意味しますが、逆に売主として解除される事態を限定したいということであれば、売買契約等において手当てすることが必要となります。たとえば、契約不適合を理由とする契約解除の要件として売主の帰責事由を要件としたい場合には、売買契約書において、その旨を明記する必要があります。

【留意すべきポイント】
  • 相手方に帰責事由がある場合にのみ契約解除ができる契約条項となっているか?
契約解除するための要件

 また、改正民法下において催告による契約解除を行う場合、債務の不履行が「契約及び取引上の社会通念に照らして軽微である場合」には契約解除ができないこととされています(改正民法541条ただし書)。ここにいう「軽微である場合」の内容は必ずしも明確ではなく、現行民法にいう「契約をした目的を達成することができない場合」(現行民法570条)と必ずしも同一の場合を指すものであるとは限らないため、注意が必要です。たとえば、“契約目的は達成できる”が“軽微とは言えない”欠陥が存在した場合、現行民法では契約解除できなかったものが、改正民法では契約解除できることになりうるということです。

 このことも、買主にとっては契約を解除しやすくなることを意味しますが、逆に売主として解除される事態を限定したいということであれば、売買契約書において「売買目的を達成することができない」場合に限り契約解除を認めること、または、契約解除が認められない場合の条件を明記するなど、契約解除することができる場合を明確にしておくことなども考えられます。

【留意すべきポイント】
  • 契約解除が認められない場合(債務不履行が「軽微である」場合)がどのような場合か明確になっているか?
  • 「売買目的を達成することができない」場合、債務不履行が「軽微である」場合のいずれの場合に契約解除ができるのか明確になっているか?
契約解除が認められない事由の立証責任・判断権者

 改正民法では、債務不履行の程度が「軽微である」ことについては、契約解除を主張される売主(債務者)側で主張立証しなければならないことになります。そのため、売主として、立証責任を買主に負わせたい場合(立証責任を転換したい場合)には、売買契約書において、その旨を明記することが考えられます。
 また、債務の不履行が「軽微である」かどうかは必ずしも明確ではなく紛争となる可能性があります。買主として、この点についての解釈を巡った紛争を予防するためには、売買契約書において、買主が「軽微である」と合理的に判断した場合には契約を解除することができることなどを明記しておくということが考えられます(前掲井上・78頁等)。

【留意すべきポイント】
  • 契約解除する場合について、債務の不履行が「軽微である」ことの立証責任が債権者に転換されているか?
  • 契約解除する場合について、債務の不履行が「軽微である」ことの判断権者が明確になっているか?

 その他、契約の解除については、民法改正に伴って変わった危険負担(改正民法534条~536条等)の制度との関係についても考慮のうえで、契約上どのような規定とすべきかを検討する必要があります。

権利行使のための通知期間制限に関して留意すべきポイント

 改正民法では、「種類又は品質」に関する契約不適合を認識したにもかかわらず1年間売主に対してその旨の「通知」をしない場合に、買主が失権することとされました(改正民法566条)(『第1回 売買契約に関連する民法改正のポイント』参照)。
 消滅時効の完成を防ぐための権利の行使は、改正民法566条においては、不適合についての「通知」を行うことで足りることとされました。

商法526条の適用

 これに対し、商法526条においては、買主の検査・通知義務が課されるため、目的物の引渡し時から6か月以内に「瑕疵」について発見し、その後ただちに通知しなければ権利が保存されないとされています。
 不動産取引に商法526条の適用があるかどうかについては現行民法において争いがありますが(裁判例も数多く見られます)、少なくとも同条の適用の可能性がある以上は、後の紛争をできる限り避けるために、売買契約書において、同条の適用の有無について明記しておくことが考えられます。たとえば、買主として、商法526条の適用を排除したければ、その旨、明記しておくべきと考えられます(前掲井上・97頁等)。

【留意すべきポイント】
  • 商法 526 条の適用があるかどうかが明確になっているか?

 なお、民法の改正に伴い、関連法令について、『民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律』が制定されています。
 ここでは、商法526条についても改正がなされていますので注意が必要です。

【商法の一部改正】
第526条第2項を、次のように改める。

「2 前項に規定する場合において、買主は、同項の規定による検査により売買の目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないことを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その不適合を理由とする履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。売買の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないことを直ちに発見することができない場合において、買主が六箇月以内にその不適合を発見したときも、同様とする。」

第526条第3項中、以下を改める。

「売主がその瑕疵又は数量の不足につき」を「売買の目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないことにつき売主が」に改める。


【商法の一部改正に伴う経過措置】
第4条第8項

施行日前に締結された売買契約に係る買主による目的物の検査及び通知については、新商法第526条第2項及び第3項の規定にかかわらず、なお従前の例による。

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