英文契約にまつわる業務効率化のポイント 英文契約の勘所と自動翻訳による業務革新

取引・契約・債権回収

 ビジネスのグローバル化が加速している昨今、会社を守り、ビジネスを推進させるうえでも、またビジネスパーソン自身のスキルとしても、英文契約はますます重要性を増しています。ところが、英文契約は、その「特殊性」や「敷居の高さ」から、苦手意識を抱かれる傾向にあります。

 このような悩める法務担当者に、英文契約書の効率的な「読みこなし方」、そして交渉をまとめるための「修正の仕方」を伝授する「英文契約の勘所」と題したBUSINESS LAWYERS主催の無料セミナーが、3月22日にTKP品川カンファレンスセンターで行われました。当初設定した定員50名に対し3倍近くの応募があり、多くの参加者が熱心に聞き入る大変充実した2時間半となりました。セミナーでは、「英文契約の勘所」のほか、自動翻訳サービス「T-4OO ver.2」によって効率化できる法務業務の具体的な効果についても示されました。

プログラム1 英文契約の勘所

英文契約を読みこなす~ポイントを絞って効率的に読み込む~

 まず登壇したのは、山下総合法律事務所の所長を務める山下聖志弁護士。山下弁護士は「英語が堪能な法務部員の方であっても、英文契約に苦手意識をお持ちの方は少なくありません。ところが、ポイントをきちんと押さえることで、英文契約を効率的に読み、また修正案の作成をスムーズに行うことが可能となります。この“勘所”をみなさんに習得していただくことが、今回のセミナーの目的の一つです」と語ります。

 そもそも契約とは、両当事者の取引上の「権利」と「義務」を定めるものです。この基本は英文契約でも変わらず重要です。この「権利」と「義務」は表裏一体のものであり、たとえば、“Purchaser shall make its payment to Seller by the end of March, 20XX.”という一文は、PurchaserはSellerに支払いの義務が生じ、SellerはPurchaserに支払いを求める権利を得ることを同時に意味しています。では、支払期の“March”を“May”に変更したらどうなるでしょうか。Purchaserにとっては支払期限が猶予されますが、Sellerにとっては支払いを待つ期間が長くなるということになります。このように、一方にとってある条文が有利になれば、必然的にもう一方にとってその条文は不利となります。

 「まず読み取らなければならないのは「主語」(誰が)と「述語」(何をしなければいけないか/何ができるのか)、そして、“どのような場合”“どのような権利義務”が生じるのかです。これらを正しく読み取り、また不足があれば適切に補う修正を行わなければなりません」(山下弁護士)

 山下弁護士は、英文契約の内容を理解するポイントを以下のように整理します。

  1. 取引の全体像を押さえる
    図示するなどして自社の立場や取引の全体像を把握し、どのような条文が契約書に盛り込まれているのかなどを確認する
  2. 読む順番を工夫してメリハリをつける
    取引条件に関する条項→権利義務・契約期間などに関する条項→一般条項、の順で読むと効率的。定義条項は、適宜参照しながら。
  3. よく出る条文・法律用語・言い回しを覚える

 では、実際に個々の条項を読みこなすにはどうしたらいいのでしょうか。山下弁護士は、保証(Warranty)、秘密保持(Confidentiality)、損失補償(Indemnification)、責任限定(Limitation of Liability)の具体的な条文例をあげ、その条文の「主語」(権利義務の主体)と「述語」(権利義務の内容)を具体的に追いながら、各規定の着眼点を以下のように紹介しました。

  • 保証(Warranty):保証の対象、保証期間、違反の効果、免責条項はどうなっているか
  • 秘密保持(Confidentiality):自社が情報の「出し手」か「受け手」かによる義務の設定範囲、期間はどうなっているか
  • 損失補償(Indemnification):「誰が」「どのような場合に」「何を」保証すべきか(仮に規定そのものがない場合でも、国・地域の法制度によって補償についての定めがある場合もある)
  • 責任限定(Limitation of Liability):免責されるのは「結果損害・不随(偶発)損害・間接損害」か「懲罰的損害」か「詐欺・故意・重過失以外」か、それとも損害額の上限を設定するのか

 山下弁護士は、効率的に契約書を読みこなすための「勘所」を「契約書の内容を予測すること」だと語ります。そのためには、英文契約の類型や用語に慣れるだけでなく、その契約書案に至るまでにどのようなやりとりが両当事者においてなされていたのかを把握しておくことが重要だと指摘します。

 「経緯を知ることで、自社の営業担当者の力点だけでなく、相手方企業の意図を知ることができます。これは、問題や議論になりやすい条項をいち早く抽出し、対策を検討するためにも必要なことです。その意味で、営業担当者と法務担当者の綿密な連携と情報共有は欠かせません」(山下弁護士)

英文契約を修正する~なかなか決着しない条項の交渉をまとめる~

 英文契約では、両当事者による契約条項の修正合戦が最終合意に至るまで繰り返されることになります。とはいえ、契約は一方当事者のみで成立するものではありませんから、やみくもに自社に有利なように修正しても合意に至ることはありません。山下弁護士は、自社・相手方企業の優先順位を分析・明確化し、そのうえで有効と思われるアプローチ(相手の案を「受け入れる」か「押し戻す」か「一部押し戻す」か、など)を選択すべきだと指摘します。

 ここで、山下弁護士は実際の条文の修正例として、保証(Warranty)、損失補償(Indemnification)、紛争解決(Dispute Resolution –Jurisdiction / Arbitration)のそれぞれのPurchaser案を提示し、Sellerにとってリスクの大きい部分はどこか、そして合理的な修正案とはどのようなものかを、実際の修正条項案とともに具体的に紹介しました。

 「重要なのは、“相手に受け入れてもらいやすい修正案を作成すること”です」と、山下弁護士。自社で作成した契約書案が修正箇所で真っ赤になった状態で押し戻されたら、相手はどう思うでしょうか。当然、譲れない修正項目は主張すべきですが、意味するところは変わらないのに表現を変えるといった不要な修正は避けるべきです。相手へのリスペクトは忘れることなく、譲れるところは譲り、譲れないところはしっかりと主張する。このメリハリが交渉をまとめる修正条項案の「勘所」だと、山下弁護士は指摘します。

 なお、クロスボーダー取引は、相手国や相手地域の法令や商習慣などに左右されることも少なくありません。こうした事情は一企業では把握しきれない場合もあり、重大なリスクを見落としてしまうという事態にもなりかねません。「社内で対応可能なのか、外部専門家の協力を得るのか。どのような対応が自社にとって最善の道なのかをご検討いただければと思います」――山下弁護士はこう述べて、講演を締めくくりました。

プログラム2 超高精度AI自動翻訳を活用した法務翻訳の業務革新

 続いて登壇したのは、株式会社ロゼッタ(以下「ロゼッタ」)の川崎哲平氏。ロゼッタは1998年に設立された翻訳会社「GLOVA」(現子会社)を前身とし、オンラインAI自動翻訳の開発・運営をはじめ、IT技術を駆使した革新的な翻訳受託サービスを提供する企業です。川崎氏は、同社の主力商品であり、すでに2,000社もの企業に採用されているAI自動翻訳「T-4OO ver.2」を紹介しました。

 「自動翻訳は、AIが大量のデータを自ら解析し、自己学習を繰り返す“ディープラーニング”が可能となったことによって、今や95%の精度を達成できるようになりました。これはプロの翻訳者の一次訳に匹敵するものです。法務文書の翻訳は、その特殊性から、TOEIC900点レベルの一般的なバイリンガルであっても簡単なものではありません。もはや翻訳の質は、機械の方が圧倒的に高いのです」――自動翻訳業界の現状を、川崎氏はこう指摘します。

 では、自動翻訳を活用することで、法務業務はどれだけ効率化されるのでしょうか。

 人力での翻訳を行った場合、仮に5,000単語(A4判10ページ分)では、外注、内製、それぞれの場合で以下の費用が見込まれます。

外注した場合の概算費用
5,000単語×20円=10万円
(1単語あたりの翻訳単価を20円とする)

内製した場合の概算費用(人件費)
5,000円×10時間=5万円
(1時間あたりの人件費を5,000円、1ページあたりの翻訳時間を1時間とする)

 しかも、人力ゆえの作業期間は、外注であれば2週間程度、内製であったとしてもさまざまな業務と併行して行うことになりますので、そう易々とできるものではありません。さらには、外注の場合は特に、納品されたもののチェックや翻訳会社とのやりとりなど、付随する作業負担を負うことになります。「自動翻訳の活用は、こうした金銭的・時間的負担を大幅に削減してくれるのです」(川崎氏)。

 AI翻訳の精度は、AIに学習させる際の対訳データの質に左右されます。その点、ロゼッタのT-4OO ver.2に蓄積されているのは、GLOVA時代から培った、2,000もの専門分野に対応する翻訳会社ならではの大変質の高いデータです。また、一度翻訳した文章をT-4OO ver.2に登録することにより翻訳傾向が学習されていくため、使えば使うほどに、ユーザー企業に合った自動翻訳へとカスタマイズされていくと、川崎氏は語ります。

 「T-4OO ver.2は、A4判1ページあたりたった1分で翻訳が可能です。自動翻訳の技術と制度は、日々進歩しています。業務の効率化の一つの方法として検討してみてはいかがでしょうか」(川崎氏)。  

BUSINESS LAWYERSでは、企業法務で年々増加傾向の英文契約において、ご担当者の業務効率化を推進すべく、AI自動翻訳「T-4OO ver.2」をご案内しています。

最大翻訳精度95%を誇る「T-4OO ver.2」をご体感いただくために、同製品の特徴、機能、翻訳結果をご紹介する製品デモンストレーションをご用意。後日、トライアル体験版の利用申請も承ります(利用期間1週間)。

資料請求をご希望の方も、以下フォームよりお気軽にお問い合わせください。

(構成:BUSINESS LAWYERS編集部)

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