動産売買先取特権とは?制度活用のポイントと回収の手法

取引・契約・債権回収
下西 祥平弁護士

 弊社の取引先が破産しました。弊社は取引先に対して商品を既に引き渡しており、取引先は既にその商品を転売しているとのことですが、弊社への支払いは未了です。取引先に対する売掛金はもはや回収不能でしょうか。

 動産売買先取特権に基づく物上代位により、取引先が転売先に対して有する売買代金債権を差押え、転売先から直接取立てを行うことで債権回収を図る方法が考えられます。動産売買先取特権は、当事者間の特別の合意なく、法律上認められる担保権なので、事前の準備なく危機時に優先回収を得る方法になります。ただし、実行時には緊急に多岐にわたる準備を行い裁判所に申立を行う必要があります。

解説

目次

  1. 動産売買先取特権とは
  2. 債権回収の方策 - 物上代位 -
  3. 取引先の危機時における動産売買先取特権に基づく物上代位の行使
  4. 債権差押時の留意点
  5. まとめ

動産売買先取特権とは

 動産の売買を原因として債権を取得した者は、債務者の特定の動産について先取特権を有します(民法311条5号)。
 先取特権とは、債務者との合意なく、特定の財産に対して法律上優先的に債権回収をする権利を指します。つまり、商品の売主である債権者は、取引先が代金の支払いをしない場合、取引先に対して販売した商品から優先的に債権回収を図ることが法律上当然に認められることとなります。

債権回収の方策 - 物上代位 -

 動産から優先して債権回収を図るというと、債務者の動産を競売により換価して代金回収を図る方法がまず考えられます。これを動産競売といいます。

 しかしながら、多くのケースでは、既に商品は転売されており、債務者(取引先)の手元にないばかりか所有権自体も既に移転しており、動産競売を行うことができません。そこで、債務者(取引先)が商品を転売した代金を動産そのものの代わりに差押えて、債権回収を行います。これが、「動産売買先取特権に基づく物上代位」といわれる方法です(民法304条1項)。

動産競売 債務者の動産を競売により換価して代金回収を図る方法
動産売買先取特権に基づく物上代位 債務者(取引先)が商品を転売した代金を動産そのものの代わりに差押えて、債権回収を図る方法

債権回収の方策(物上代位)

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