製造業者として製造物責任を負うのはどのような場合か

取引・契約・債権回収
村松 頼信弁護士

 当社はメーカーとOEM供給契約を締結し、メーカーから仕入れた商品のパッケージに当社のブランドを表示して小売店に卸していますが、この商品を購入した消費者から、「不具合が原因でケガをしたので当社に対して製造物責任に基づく損害賠償請求を求める」との連絡がありました。当社はこの商品の製造に一切関与していませんが、製造物責任を負うのでしょうか。

 「製造業者等」には、実際に製造物を製造または加工した業者や日本に輸入した業者のほか、製造物やその包装、取扱説明書などに製造業者として表示した者、製造・加工・輸入・販売の形態から製造物に実質的な製造業者と認められる表示をした者が該当します。
 実際には製造を行っていない場合でも、製造物やその包装、取扱説明書などに製造業者として表示していた場合には「製造業者等」として製造物責任を問われるおそれがあります。
 実際に製造を行っていない場合に、今後「製造業者等」に該当しないようにするには、製造物の包装や製造物自体に実際の製造者を製造業者と明示して表示するとともに、販売者である自社は販売者であることを明示して表示するといった対応策を講じることが考えられます。

製造業者として製造物責任を負う場合

解説

「製造業者等」とは何か?

 「製造業者等」とは、以下の者をいいます(製造物責任法2条3項各号)。

  1. 製造物を業として製造、加工または輸入した者
  2. 製造物に製造業者として商号などを表示した者
  3. 製造物に製造業者と誤認される商号などを表示した者
  4. 製造物の製造、加工、輸入または販売の形態等から、製造物にその実質的な製造業者と認められる商号などを表示した者

 このうち、1の「輸入した者」とは、自己の名義で、あるいは自己の計算で製造物を業として輸入した者を指し、「輸入」とは外国にあった物を実質的に国内に搬入すること(陸揚げまたは荷揚げすること)を意味します。
 その他、2~4に該当する場合については、以下で詳しく説明します。

製造物に製造業者として商号などを表示したとして製造物責任を問われるのはどのような場合か?

 製造業者として一般的に認識できるような表現で表示している場合であり、典型例としては「製造者 ○○株式会社」「製造元 ○○製造所」「株式会社○○ 謹製」「○○作」などと表示している場合が該当します。
 表示される場所としては、製造物自体のほか、製造物と物理的に一体の関係にある容器または包装なども含まれるのに対し、販売用チラシにのみ表示した場合には要件を満たしません

製造物に製造業者と誤認される商号などを表示したとして製造物責任を問われるのはどのような場合か?

 製造物に製造業者と誤認される商号などを表示する行為は自ら行う必要があり、他人が無断で商号等を製造物に表示しても、製造業者等には含まれません。ただし、他人が製造物にした表示を容認していたと認められる場合には、自ら表示したのと同様に扱われ、製造業者等に含まれます
 また、個々の消費者を現に誤認させなくとも、その表示そのものが一般の消費者を誤認させるものであれば足ります。
 典型例としては、半導体チップのような小さな電子部品に、その業者のロゴ・マークだけで構成される図形の商標が印刷されている場合があげられます。
 裁判例では、製造物に印刷されているロゴ・マークが販売者を表示するものであって、機械本体、外箱、取扱説明書および保証書には輸入者や現実の製造者の名称は一切使用されておらず、販売者の社名やロゴしか使用されていないことを考慮して、製造業者と誤認されるような会社名等の表示をしたものと判断されています(大阪地裁平成25年3月21日判決・判例集未搭載)。

製造物の製造、加工、輸入または販売の形態等から、製造物にその実質的な製造業者と認められる商号などを表示したとして製造物責任を問われるのはどのような場合か?

 典型例としては、その業者が製造物の企画を行い、製造上の指示を行い、使用上の注意を作成し、その製造物の一手販売を行うなど、実質的に相当程度その製造物の製造販売に関与し、消費者もそうした実態を踏まえて実際上やその販売者を信用してその製造物を購入している場合が該当します。

おわりに ~製造物の製造に関与していない場合に製造物責任を回避するうえで留意すべき点~

 製造物の製造に実際には関与していない場合であれば、上記3の「製造物に製造業者と誤認される商号などを表示した」場合に該当しないように留意する必要があります。
 具体的には、製造物の包装や製造物自体に、「製造者○○」といったように実際の製造者を製造業者と明示して表示するとともに、販売者である自社は「販売元○○」といったように販売者であることを明示して表示することが考えられます。
 ただ、そうした措置を講じたとしても、販売者が製造物の企画を行い、製造上の指示を行い、使用上の注意を作成し、その製造物の一手販売を行うなど、実質的に相当程度その製造物の製造販売に関与し、消費者もそうした実態を踏まえて実際上やその販売者を信用してその製造物を購入しているといった実態がある場合には、上記4の「製造物の製造、加工、輸入または販売の形態等から、製造物にその実質的な製造業者と認められる商号などを表示した」場合にあたり、製造業者等として判断されるリスクは残ることになります。

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