仮想通貨をめぐる法的なポイント

第3回 仮想通貨交換業者の登録開始、事業会社による仮想通貨を利用したFinTechビジネスの展開と金融法規制 クラウドファンディング、ソーシャルレンディング等の規制

IT・情報セキュリティ
猿倉 健司弁護士

はじめに

改正資金決済法の施行とガイドライン・パブリックコメント等の公表

 平成28年5月に、「資金決済に関する法律」(以下「資金決済法」といいます)等を改正して仮想通貨に関する規制を行うこと等を内容とする法律案(情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律)が成立し、「仮想通貨」に関する規制がなされることになりました(以下、改正された資金決済法を「改正資金決済法」といいます)。

 同法は、平成29年4月に施行され、改正資金決済法施行のための細目などを定めた「仮想通貨交換業者に関する内閣府令」、および「事務ガイドライン(仮想通貨交換業者関係)」(以下、それぞれ「内閣府令」「事務ガイドライン」といいます)に従って運用が始まっています(平成29年10月2日現在、11社が仮想通貨交換業者として登録されています(金融庁ウェブサイト「仮想通貨交換業者登録一覧」))。

 また、平成29年3月25日には、金融庁から、パブリックコメント「コメントの概要及びそれに対する金融庁の考え方」(以下「パブリックコメント」といいます)も公表されています。

 平成29年4月に施行された仮想通貨交換業者に対する法的規制(資金決済法)や、仮想通貨取引における権利関係等・トラブルが生じた場合の法的問題点については、下記リンクをご参照ください。

仮想通貨を利用したビジネスの展開と金融法規制(参入規制)

 このような中、世界的にいわゆるFinTechビジネスが盛んになっていますが、日本でもいくつかの分野でスタートアップ企業が出てきています。たとえば、インターネット上のプラットフォームを利用したクラウドファンディングソーシャルレンディング(P2Pレンディング)等のビジネス展開が検討され、報道等においても大きく取り扱われています。このような、FinTechビジネスにおいては、ビットコインその他の仮想通貨を利用したビジネスモデルも検討されており、すでにビジネスとしてスタートしているものもありますが、さまざまな金融法との関係でどのような規制がなされるのかについては、必ずしも明らかではありません。

 以下、事業会社による仮想通貨を利用したFinTechビジネスで、金融法規制とくに参入規制(業法上の登録等)についてどのような点が問題となるのかを説明します。

【図:集団投資スキームのイメージ】

集団投資スキームのイメージ

仮想通貨を利用した投資ファンド組成に関する規制 (図のAの問題)

集団投資スキーム・クラウドファンディングのファンド規制

(1)集団投資スキーム・クラウドファンディングとは

①集団投資スキーム

 集団投資スキームとは、他者から金銭などの出資・拠出を集め、その金銭を用いて事業・投資を行い、事業から生じる収益等を出資者に分配するような仕組み(いわゆるファンド)のことをいいます。集団投資スキームに関する権利(集団投資スキーム持分)については、金融商品取引法(以下「金商法」といいます)の規制対象である「有価証券」とみなされます。

 金商法では、いわゆる集団投資スキーム(ファンド)持分の自己募集や出資・拠出を受けた財産の自己運用(有価証券等投資)を業としている者に対して、金融商品取引業(自己募集については「第二種金融商品取引業」、自己運用については「投資運用業」に該当します)の登録を受けることを義務付けています(金融庁ウェブサイト「いわゆるファンド形態での販売・勧誘等業務について」参照)。

 集団投資スキームにおいてファンドを組成する際に用いることができる形態には複数の選択肢がありますが(民法上の組合(民法667条)、匿名組合(商法535条)、投資事業有限責任組合(投資事業有限責任組合契約に関する法律3条1項)、有限責任事業組合(有限責任事業組合契約に関する法律3条1項)等)、匿名組合によるスキームが用いられることが一般的であると思われます。

②クラウドファンディング

 また、近時急速に広まっている「クラウドファンディング」は、インターネットを通じて不特定多数の者から資金を調達する手法であり、資金調達を考えている者が特定の事業を行うことを目的としてファンドを組成し、投資家がそのファンドに出資を行うものです。ファンドの事業による収益(金銭に限りません)は、投資家に対して分配されることになります。

 クラウドファンディングにはさまざまなタイプのものがありますが(下記参照)、本稿においては、集団投資スキームを利用したいわゆるファンド型クラウドファンディングについて説明します。

【クラウドファンディングの種類】

類型 種類 概要
非投資型 寄付型 災害発生の際の寄付募集等、リターンのないもの
購入型(報酬型) プロジェクト等に資金を提供するもので、金銭的リターンではなく、プロジェクトに関わる製品やサービスのリターンを受けるもの
投資型 ファンド型 プロジェクト等に資金を提供するもので、当該プロジェクトで得た収益をリターンとして受けるもの
貸付型(融資型) プロジェクト等に資金を融資するもので、金利と融資元本のリターンを受けるもの
株式投資型 ベンチャー企業等の非上場株式に投資するもので、上場益等のリターンを受けるもの

 クラウドファンディングに際して、第二種金融商品取引業(集団投資スキーム)その他の要件を満たす場合には、金商法上の規制の対象となります。

(2)第二種金融商品取引業の登録(集団投資スキーム)

 上記のとおり、ファンド(集団投資スキーム持分)の「募集又は私募」(自己募集)を行う場合には、原則として第二種金融商品取引業の登録が必要となります(金商法2条8項7号、28条2項1号、29条)。他の業者が組成したファンドの販売(募集又は私募の取り扱い等)についても同様です(金商法2条8項9号)。

※ 平成26年の金商法の改正により、発行総額等が一定の範囲(募集総額1億円未満、1人当たり投資額50万円以下)にとどまる非上場のファンド持分を対象とするクラウドファンディング業務(プラットフォームの提供)のみを行う業者(第二種少額電子募集取扱業者)については、登録に必要な最低資本金基準を引き下げる(第二種では500万円)などの緩和が図られています(金商法29条の4の2、29条の4の3)。


※ 適格機関投資家(証券会社その他の「有価証券に対する投資に係る専門的知識および経験を有する者として内閣府令で定める者」(金商法2条3項1号))および49名以下の非適格機関投資家にのみファンドを販売する場合(適格機関投資家等特例業者)には、登録の必要がなく「届出」をすれば足りることになります(金商法63条)。もっとも、この特例が悪用されたこともあり、平成28年3月1日以降は、適格機関投資家以外の出資者の範囲を原則として国・地方公共団体、金融商品取引業者、上場会社等に限定し、一般個人の出資が禁止されるなど(なお、個人であっても、投資性金融資産(有価証券等)の合計額が1億円以上であり、かつ証券口座開設後1年を経過している者などは、出資者の範囲に含まれる)、規制が厳格化されています。

出資・利益分配に仮想通貨を利用する投資ファンドの場合

 投資ファンドが、投資家から仮想通貨による出資を募集して資金調達を行ったうえで、特定の事業に対する投資を行い、当該投資による利益を投資家に対して分配するという投資ファンドが考えられます。実際に、すでにこのようなファンドがスタートしているようです。

 匿名組合は「金銭その他の財産」による出資が可能であるため(商法536条2項)、匿名組合契約によって組成したファンドにおいて、仮想通貨による出資・分配を行うことができると考えられます。

 また、金商法上の規制の対象となる集団投資スキームは、「金銭(これに類するものとして政令で定めるものを含む。)」(金商法2条2項5号)により出資または拠出をするものとされていますが、現時点においては、仮想通貨は政令による指定の対象にもなっていないことからすれば、金融商品取引業者としての登録が不要であると考えられます。

新規仮想通貨公開(ICO)

 なお、クラウドファンディングと類似した制度として、ICO(Initial Coin Offering:新規仮想通貨公開)が世界的に広がっており、日本でも例が出ています。ICOは、一般的には、投資家から仮想通貨(ビットコイン等)で資金調達を行い、その対価として投資家に対して独自の仮想通貨(トークン)を交付するものです。

 購入型クラウドファンディングでは、投資家は対価としてプロジェクトに関わる製品やサービスを受け取ることになりますが、ICOでは、投資家は仮想通貨(トークン)を受け取ることになるため、当該仮想通貨(トークン)を利用して製品やサービスを手に入れるという選択肢のほか、当該仮想通貨(トークン)を第三者に譲渡(他の仮想通貨と交換)するなどの選択肢が得られます。

 ICOに対しても本稿で説明する規制を受けることがありますが、本稿では詳細は割愛します。

仮想通貨を利用した投資ファンドの運営業務(投資対象・内容)による規制(図のBの問題)

 以上のように、投資家から資金を集めてファンドを組成する場合に一定の規制が課されることがありますが、これとは別に、当該ファンドを運営するうえで投資対象・内容等によって、別途の業規制(参入規制)が問題とされる可能性があるため留意が必要です。

 以下、具体的なファンドの形態ごとに、留意すべき業規制(とくに参入規制)のいくつかについてその内容を説明します。

仮想通貨を対象とする投資ファンド

(1)投資運用業の登録

 クラウドファンディング等によって集めた資金をもって有価証券やデリバティブに対して投資を行う場合には、原則として、投資運用業の登録が必要となります(金商法2条8項15号、28条4項3号)。

(金融商品取引法28条)

4 この章において「投資運用業」とは、金融商品取引業のうち、次に掲げる行為のいずれかを業として行うことをいい、銀行、協同組織金融機関その他政令で定める金融機関が、当該行為のいずれかを業として行うことを含むものとする。

三  第二条第八項第十五号に掲げる行為


(金融商品取引法2条)

8 この法律において「金融商品取引業」とは、次に掲げる行為(略)のいずれかを業として行うことをいう。

十五 金融商品の価値等の分析に基づく投資判断に基づいて主として有価証券又はデリバティブ取引に係る権利に対する投資として、次に掲げる権利その他政令で定める権利を有する者から出資又は拠出を受けた金銭その他の財産の運用を行うこと(略)。

※ 一定の要件のもとでクラウドファンディング業務のみを行う業者については登録に必要な最低資本金基準を引き下げるなどの緩和が図られていること、また、適格機関投資家等特例業者については登録の必要がなく「届出」をすれば足りることについては、上記2(2-1(2))で説明したとおりです。

(2)仮想通貨を投資対象とする投資ファンド

 投資運用業の登録が必要になるのは、「金融商品の価値等の分析に基づく投資判断に基づいて主として有価証券又はデリバティブ取引に係る権利に対する投資」を行う場合(金商法2条8項15号)ですが、現時点において、仮想通貨に対する投資は「有価証券又はデリバティブ取引に係る権利に対する投資」に該当しないことからすれば、もっぱら仮想通貨を投資対象とするファンドは、基本的に投資運用業の登録が不要であると考えられます。

※ 仮想通貨を投資対象とする信託について、信託法上の「受益証券発行信託」にあたる場合には、当該受益証券が「有価証券」(金商法2条1項14号)にあたることになります。


※ 投資ファンドによる運用において行なわれる仮想通貨の売買等が仮想通貨交換業の登録を要するものかどうかは、別途検討が必要となります。

仮想通貨を原資産とするデリバティブ投資ファンド

(1)仮想通貨を原資産とするデリバティブを対象とする投資ファンド

 現在、仮想通貨を利用した投資サービスとして、ビットコイン等の仮想通貨を対象とする投資のほか、現物の仮想通貨の交換を伴わないデリバティブ取引(先物取引等)、証拠金を用いた取引が行われているようです。

 仮想通貨は、デリバティブ取引の原資産である「金融商品」には該当しないと考えられています(金商法2条24項各号参照)。
 つまり、現時点において、仮想通貨は、「金融商品」について定めた金商法2条24項4号であげられている「有価証券」「預金契約に基づく債権その他の権利」「通貨」「商品」「同一の種類のものが多数存在し、価格の変動が著しい資産であって、当該資産に係るデリバティブ取引(デリバティブ取引に類似する取引を含む)について投資者の保護を確保することが必要と認められるものとして政令で定めるもの」の、いずれにもあたらないと考えられます。

(金融商品取引法2条24項(抜粋))
 この法律において「金融商品」とは、次に掲げるものをいう。

一   有価証券

二   預金契約に基づく債権その他の権利(略)

三   通貨

三の二 商品(略)

四   前各号に掲げるもののほか、同一の種類のものが多数存在し、価格の変動が著しい資産であって、当該資産に係るデリバティブ取引について投資者の保護を確保することが必要と認められるものとして政令で定めるもの(略)


(金融商品取引法2条25項)
 この法律において「金融指標」とは、次に掲げるものをいう。

一   金融商品の価格又は金融商品(略)の利率等

二   気象庁その他の者が発表する気象の観測の成果に係る数値

三   その変動に影響を及ぼすことが不可能若しくは著しく困難であって、事業者の事業活動に重大な影響を与える指標(前号に掲げるものを除く。)又は社会経済の状況に関する統計の数値であって、これらの指標又は数値に係るデリバティブ取引(デリバティブ取引に類似する取引を含む。)について投資者の保護を確保することが必要と認められるものとして政令で定めるもの(商品先物取引法第2条第2項に規定する商品指数であって、商品以外の同条第1項に規定する商品の価格に基づいて算出されたものを除く。)

四   前三号に掲げるものに基づいて算出した数値

 また、同様に、仮想通貨の価格を指標としてデリバティブ取引をしたとしても、現時点では基本的に、仮想通貨の価格は「金融商品の価格」にも該当せず、「金融指標」(金商法2条25項1号)にあたらないと考えられます。なお、仮想通貨は、商品先物取引法に定める「商品」(商品先物取引法2条1項)および「商品指数」(同法2条2項)にも該当しないと考えられます。

 このような考え方によれば、現時点では、もっぱら仮想通貨を原資とするデリバティブ取引を行う投資ファンドにおいては、金商法上の投資運用業の登録を受ける必要がないということになります。

 もっとも、仮想通貨のデリバティブ取引は、「同一の種類のものが多数存在し、価格の変動が著しい資産であって、当該資産に係るデリバティブ取引(デリバティブ取引に類似する取引を含む)」といえる可能性があることから、今後、「投資者の保護を確保することが必要」であると認められて政令指定がなされることにより、同法の規制対象になる可能性は否定できません。

(2)差金決済取引に関する事務ガイドラインの見解

 また、上記に関し、投資運用において行う仮想通貨の「売買」や「交換」が、「業として行う」行為であれば、仮想通貨交換業の登録が必要になることがあります(資金決済法2条7項)。仮想通貨の現物をもって決済を行う取引については、仮想通貨の「売買」ないし「交換」に該当するものとして、仮想通貨交換業としての登録をすることが求められる可能性があり、注意が必要です。

 事務ガイドラインにおいて、仮想通貨を用いた差金決済取引(当該取引の目的となっている仮想通貨の現物の受渡を行わず、反対売買等を行うことにより、金銭又は当該取引において決済手段とされている仮想通貨の授受のみによって決済することができる取引)について、仮想通貨の現物の受渡しを予定していないのであれば、資金決済法の適用がないことを明らかにしています。

事務ガイドラインI-1-2)
仮想通貨を用いた先物取引等の取引においては、決済時に取引の目的となっている仮想通貨の現物の受渡を行う取引と、当該取引の目的となっている仮想通貨の現物の受渡を行わず、反対売買等を行うことにより、金銭又は当該取引において決済手段とされている仮想通貨の授受のみによって決済することができる取引(以下「差金決済取引」という。)が存在する。これらの取引のうち、差金決済取引については、法の適用を受ける「仮想通貨の交換等」には該当しない。このため、法の適用を受ける取引かどうかについては、個別具体的に取引の内容を確認する必要がある。

(3)仮想通貨のデリバティブ取引が刑法上(刑法35条)許されるか

 一般に、デリバティブ取引を行う場合(またはデリバティブ取引の場を提供する場合)は、基本的には賭博に関する罪(刑法185条、186条)の構成要件に該当すると考えられている一方で、少なくとも金商法上の「デリバティブ取引」として規制を遵守して行われるものについては、刑法35条(正当行為)に基づき違法性が阻却されることになると考えられています。

 他方、金商法上規制されていない仮想通貨に関するデリバティブ取引については、上記のいずれにも該当しないため、「正当な業務による行為」(刑法35条)として違法性が阻却されるといえるかが問題となり得ます

仮想通貨を利用したソーシャルレンディング(ローン・ファンド)

(1)ソーシャルレンディング(ローン・ファンド)とは

 ソーシャルレンディングとは、資金の需要者(借り手)と資金の供給者(貸し手)を、オンライン上で直接マッチングして融資を行う手法で、いわば貸付型のクラウドファンディングといえます。P2P(peer to peer)レンディングなどとも呼ばれることもあります。

 一般的には、運営会社(オンライン・プラットフォーム業者)が貸金業登録を行ったうえで、一般から匿名組合出資を募り、匿名組合の営業者として集めた資金を原資に、資金需要者に融資(貸付け)を行うというものです。

 ソーシャルレンディングでは、匿名組合出資を募る際に、投資家に対して融資先(借入人)の匿名性が確保されていること、また、一つの募集案件で複数の融資先(借入人)に融資することが求められています。そのような対応が行われない場合には、投資家が融資先(借入人)に対して直接貸付けを実施するものと評価され、投資家にも貸金業登録(詳細は後述)が必要となる場合があり得ます。

(2)仮想通貨の融資(貸付)を行うソーシャルレンディング(ローン・ファンド)

 ソーシャルレンディングにおいては、個々の投資家ではなく、融資を行うローン・ファンド(オンライン・プラットフォーム業者等)が貸付けを行うことになるため、原則として当該ファンドによる貸金業の登録が必要となります。

 ソーシャルレンディングにおいて、仮想通貨の融資(貸付)を行うということも考えられますが、貸金業法の対象となるのは「金銭」の貸付けまたは貸借の媒介であることからすれば(貸金業法2条1項)、仮想通貨の貸付けおよびその弁済を仮想通貨で行う場合には、貸金業登録の必要がないとも考えられます。

※ なお、このような考えを前提とした場合には、投資家が融資先(借入人)に対して直接仮想通貨の融資(貸付け)を行うことも可能になると考えられます。


 もっとも、仮想通貨は交換所・取引所等で容易に法定通貨と交換できることから、形式的に仮想通貨の融資(貸付け)を行いながら、資金需要者(融資先)において即時に法定通貨に換金することを目的としているような場合には、実質的に法定通貨(金銭)の融資を行っている(実質的に貸金業を営んでいる)ものと評価されるおそれもあると考えられます。
 そのため、貸金業登録の要否については、個々の事案に即して具体的に検討していくことが必要になると思われます。

(3)仮想通貨の貸付に関する事務ガイドライン・パブリックコメント

 事務ガイドラインにおいては、仮想通貨を用いた信用取引(顧客に対する金銭の貸付け)を行う場合について、貸金業の登録が必要になることが明らかにされています。

事務ガイドラインI-1-2(注5))
仮想通貨を用いた信用取引等を行うに際して、仮想通貨交換業者が利用者に対する金銭の貸付けを行うときは、当該仮想通貨交換業者は貸金業の登録を受ける必要があることに留意する。

 また、平成29年3月に公表されたパブリックコメントにおいて、①「仮想通貨の貸付け」は、資金決済法2条7項に規定する仮想通貨交換業には該当せず、仮想通貨交換業者の登録は不要であること、および、②「貸金業」の該当性については、貸金業法2条1項に規定する「貸付け」の定義に照らし、個別事例ごとに取引の実態に即して実質的に判断されるべきことが明らかにされています。

パブリックコメント「資金決済に関する法律(仮想通貨)関係」79番(43頁))

「仮想通貨の貸付けのみを業として行う場合、仮想通貨交換業の登録は必要か。また、仮想通貨交換業の登録が必要でない場合でも、貸金業の登録は別途必要になるか。」

「前段のご質問にある「仮想通貨の貸付け」は、資金決済法第2条第7項に規定する仮想通貨交換業には該当せず、仮想通貨交換業者の登録は不要と考えられます。後段のご質問にある「貸金業」の該当性については、貸金業法第2条第1項に規定する「貸付け」の定義に照らし、個別事例ごとに取引の実態に即して実質的に判断されるべきものと考えられます。」

 なお、ローン・ファンドが融資先(借入人)に対する貸付金や事業上の経費等に充てるために、投資家から出資を受けた仮想通貨を法定通貨に換金する行為については、仮想通貨交換業の登録を要するものかは、必ずしも明らかではありません。

さいごに

 以上のとおり、仮想通貨を利用したビジネス、特に投資ファンドについてはさまざまな金融法規制が存在するため、事業を行うにあたっては、その適用や登録の要否について慎重に検討する必要があります(上記の説明で、必要なすべての規制を網羅したものではないことについては、ご留意ください。たとえば、ファンド型クラウドファンディングの場合、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(以下「出資法」といいます)の規制も受ける場合がありますが、この場合、出資の払いもどしとして出資金の全額またはこれを超える金額に相当する金銭を支払うことを示して出資を受け入れると、出資法違反となりますので注意が必要です(出資法1条、8条3項1号))。

 また、このような前例がない分野におけるスタートアップについては、日々積み重ねられていく運用を追いかけていくことも重要になります。仮想通貨交換業の登録は約30社が申請したとされていますが、審査が厳格であり、上記のとおり、平成29年10月2日現在、仮想通貨交換業者として登録されているのは11社のみにとどまっている一方で、登録条件をクリアできずに取引所を閉じた業者も12社に上ったことが報道されています(日本経済新聞「仮想通貨、透明化へ一歩 金融庁が11社を取引所登録」(平成29年9月29日))。また、登録された11社のうちの1社で、登録初日にシステム障害を起こしたことが大きく報道されています。
 ビジネスが、規制とその運用との関係でどの程度現実的なのかを見極めることも求められているといえるでしょう。

 その他のFinTechビジネスに参入する際の法的課題については、下記リンクもご参照ください。

 なお、上記はいずれも現時点における法令・ガイドライン等を踏まえた一般論を述べたものであり、具体的な法的アドバイスを提供するものではありません。上記ビジネスを行うにあたっては、その時点の法令やガイドライン等の解釈を踏まえて、個別具体的なビジネスの内容に即した検討を行うことが必要不可欠となります。

関連する特集

無料会員登録で
リサーチ業務を効率化

90秒で登録完了

無料で会員登録する