派遣先の過半数労働組合等の意見聴取

人事労務

 派遣先は、同一の事業所で3年を超えて派遣労働者を受け入れる場合には、延長の手続が必要とのことですが、具体的にどのような手続が必要なのでしょうか。また、手続に際して留意すべき事項はありますか。

 同一の事業所にて3年を超えて派遣労働者を受け入れる際には、派遣可能期間が終了する日の1か月前までの間に、過半数労働組合等から意見を聴取する必要があります(労働者派遣法40条の2第3項、第4項)。これは、1か月前までに、過半数労働組合等に対して単に意見を尋ねればよいということではなく、さらに、過半数労働組合等の意見の内容を確認するところまで終わらせる必要があります。また、過半数労働組合等に対して意見を聴くに際しては十分な考慮期間を設ける必要があるとされていますので、延長の手続を行う際には、ある程度時間的な余裕をもって準備をする必要があります。
 また、意見聴取手続を行った場合には、書類の保存や当該事業所の労働者に対する周知、派遣元事業主への通知も必要になります。

解説

※本QAの凡例は以下のとおりです。

  • 労働者派遣法:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律
  • 労働者派遣法施行規則:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則
  • 業務取扱要領:厚生労働省職業安定局「労働者派遣事業関係業務取扱要領」(平成28年7月)
  • 派遣先指針:厚生労働省「派遣先が講ずべき措置に関する指針」

派遣可能期間の延長手続(意見聴取)の概要

 派遣先は、当該派遣先の事業所等の場所ごとの業務について、派遣元事業主から3年を超えて派遣を受け入れてはならないとされています(労働者派遣法40条の2第1項、第2項)。

 ただし、当該派遣先の事業所等の場所ごとの業務に係る派遣労働者の役務の提供が開始された日から3年を経過する日(すなわち、現在の派遣可能期間が終了する日)の1か月前までの間に過半数労働組合、または当該過半数労働組合がない場合には適法に選出された過半数代表者から意見を聴取すると、さらに最長3年間、派遣労働者を受け入れることができますし、以降も同様の方法にて延長ができます(労働者派遣法40条の2第3項、第4項)。

意見聴取の流れ

出典:「平成27年労働者派遣法改正法の概要」(厚生労働省・都道府県労働局)を基に作成

意見聴取の対象者

 意見聴取の対象者は、当該派遣先の事業所に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者(過半数労働組合等)とされています(労働者派遣法40条の2第4項)。過半数を代表する者に関しては、①管理監督者(労働基準法41条2号)ではないこと、②意見を聴取される者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の民主的な方法による手続により選出された者であること、が必要とされています。

 ただし、①に該当する者がいない場合、すなわち管理監督者しかいない場合には、②のみで足ります(労働者派遣法施行規則33条の3第2項)。なお、②については、投票や挙手のほか、労働者の話し合い、持ち回り決議等でもよいとされています(業務取扱要領第8、5(4)二(ロ))。   

意見聴取に際しての情報提供

 意見聴取に際しては、過半数労働組合等に対し、

  1. どの事業所等に関する派遣可能期間を延長するのか
  2. 延長しようとする派遣期間

を書面で通知する必要があります(労働者派遣法施行規則33条の3第1項)。

 また、派遣先の事業所等の業務について、当該業務に係る労働者派遣の役務の提供の開始時から当該業務に従事した派遣労働者の数および期間を定めないで雇用する労働者(正社員)の数の推移に関する資料等、意見聴取の参考となる資料を過半数労働組合等に提供する必要があります。さらに、派遣先は、意見聴取の実効性を高める観点から、過半数労働組合等からの求めに応じ、部署ごとの派遣労働者の数、各々の派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を受けた期間等に係る情報を提供することが望ましいとされています(派遣先指針 第2、15(1))。

意見聴取を行う時期

 意見聴取については、現在の派遣可能期間が終了する日の1か月前までに行う必要があります(労働者派遣法40条の2第3項)。これは、1か月前までに、過半数労働組合等に対して単に意見を尋ねればよいという意味ではありません。意見を尋ねた後、過半数労働組合等の意見の内容を確認するところまで終わらせる必要があります。また、過半数労働組合等に対して意見を聴くに際しては十分な考慮期間を設ける必要があるともされています(派遣先指針 第2、15(2))。
 前記2で述べたように、労働者の過半数を代表する者の選出が必要となる場合もあることも考えると、延長の手続を行う際には、ある程度時間的な余裕をもって準備をする必要があり、したがって、現在の派遣可能期間が終了する日の3~4か月前には手続を開始したほうが無難といえます。

異議があった場合の対応

 仮に、過半数労働組合等が延長につき異議を述べた場合(延長そのものに反対、延長期間を短くすべき、受入派遣労働者数を減らすことを条件に賛成など)、派遣先は、派遣可能期間満了日の前日までに、

  1. 派遣可能期間の延長の理由およびその延長の期間
  2. 当該異議(労働者派遣により労働者の職業生活の全期間にわたるその能力の有効な発揮およびその雇用の安定に資すると認められる雇用慣行が損なわれるおそれがある旨の意見に限る)への対応に関する方針

 を説明しなければなりません(労働者派遣法40条の2第5項、労働者派遣法施行規則33条の4第1項)。
 ただし、異議があったとしても、延長そのものが禁止されるわけではありません

意見聴取後の書類保存・周知、派遣元事業主への通知

 派遣先は、意見聴取手続を実施した場合は、以下の事項を記載した書面を、延長前の派遣可能期間が経過した日から3年間保存するとともに、当該事業所の労働者に対して周知(常時当該事業所等の見やすい場所に掲示し、または備え付ける等)しなければなりません(労働者派遣法施行規則33条の3第3項、第4項、33条の4第2項、第3項)

  1. 意見を聴いた過半数労働組合の名称または過半数代表者の氏名
  2. 意見聴取に際して、過半数労働組合等に対して、情報提供の通知した日、および通知した事項
  3. 過半数労働組合等から意見を聴いた日および当該意見の内容
  4. 意見を聴いて、延長する期間を変更したときは、その変更した期間
  5. 異議があった場合は、過半数労働組合等に対して説明した日および説明した内容

 また、派遣先は、延長後すみやかに、派遣元事業主に対し、延長後の抵触日(事業所単位の派遣可能期間制限に抵触することとなる最初の日)を書面、FAXまたは電子メールで通知する必要があります(労働者派遣法40条の2第7項、労働者派遣法施行規則24条の2)。

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