介護休業の取得にあたって企業として知っておきたいポイント

人事労務

 従業員から介護休業を取得したいという申し出があったのですが、利用するケースが初めてです。介護休業の取得にあたって、企業として気をつけるべきポイントを教えてください。

 取得可能期間や取得要件のほか、雇用保険からの給付・不利益取扱いの禁止などについて把握しておく必要があります。

解説

 以下、介護休業の取得にあたって、企業として気をつけておきたいポイントを7つ説明します。

ポイント①:社内規程の有無には関係なく取得可能

 介護休業の取得は、育児・介護休業法に基づく法律上の権利です(育児・介護休業法2条2号、11条、12条)。よって、従業員は、仮にいわゆる「介護休業規程」が社内で作成されていなくても、育児・介護休業法が認める範囲で介護休業を取得することができます
 なお、いわゆる「介護休業規程」が作成されている場合でも、育児・介護休業法の定めより従業員に不利な定めは無効となると解されます。

ポイント②:対象の家族と取得回数、日数

 介護休業は、対象家族1名につき3回まで取得可能です。そして、対象家族1名についての通算休業日数は93日までとなっています(育児・介護休業法11条2項)。

 対象家族は、以下のとおりです(育児・介護休業法2条4号、育児・介護休業法施行規則3条)。

  • 配偶者(内縁を含む)
  • 父母
  • 配偶者の父母
  • 祖父母
  • 兄弟姉妹

ポイント③:取得できる従業員

 要介護状態にある対象家族を介護する従業員が取得可能となります。
 要介護状態とは、負傷、疾病または身体上・精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態をいいます(育児・介護休業法2条3号、育児・介護休業法施行規則2条)。厚生労働省により認定基準が定められており、これにしたがって判断されることになります。

 参照:厚生労働省「仕事と介護の両立 ~介護離職を防ぐために~ よくあるお問い合わせ(事業主の方へ)

 認定基準は以下のとおりです。

「常時介護を必要とする状態」とは、以下の【1】または【2】のいずれかに該当する場合であること。

【1】介護保険制度の要介護状態区分において要介護2以上であること。
【2】状態(1)~(12)のうち、2が2つ以上または3が1つ以上該当し、かつ、その状態が継続すると認められること。
項目\状態 1
(注1)
2
(注2)
3

(1)座位保持
(10分間一人で座っていることができる)

自分で可 支えてもらえればできる
(注3)
できない

(2)歩行
(立ち止まらず、座り込まずに5m程度歩くことができる)

つかまらないでできる 何かにつかまればできる できない

(3)移乗
(ベッドと車いす、車いすと便座の間を移るなどの乗り移りの動作)

自分で可 一部介助、見守り等が必要 全面的介助が必要

(4)水分・食事摂取
(注4)

自分で可 一部介助、見守り等が必要 全面的介助が必要

(5)排泄

自分で可 一部介助、見守り等が必要 全面的介助が必要

(6)衣類の着脱

自分で可 一部介助、見守り等が必要 全面的介助が必要

(7)意思の伝達

できる ときどきできない できない

(8)外出すると戻れない

ない ときどきある ほとんど毎回ある

(9)物を壊したり衣類を破くことがある

ない ときどきある ほとんど毎回ある
(注5)

(10)周囲の者が何らかの対応をとらなければならないほどの物忘れがある

ない ときどきある ほとんど毎回ある

(11)薬の内服

自分で可 一部介助、見守り等が必要 全面的介助が必要

(12)日常の意思決定
(注6)

できる 本人に関する重要な意思決定はできない
(注7)
ほとんどできない
  • (注1)各項目の1の状態中、「自分で可」には、福祉用具を使ったり、自分の手で支えて自分でできる場合も含む。

  • (注2)各項目の2の状態中、「見守り等」とは、常時の付き添いの必要がある「見守り」や、認知症高齢者等の場合に必要な行為の「確認」、「指示」、「声かけ」等のことである。

  • (注3)「(1)座位保持」の「支えてもらえればできる」には背もたれがあれば一人で座っていることができる場合も含む。

  • (注4)「(4)水分・食事摂取」の「見守り等」には動作を見守ることや、摂取する量の過小・過多の判断を支援する声かけを含む。

  • (注5) (9)3の状態(「物を壊したり衣類を破くことがほとんど毎日ある」)には「自分や他人を傷つけることがときどきある」状態を含む。

  • (注6)「(12)日常の意思決定」とは毎日の暮らしにおける活動に関して意思決定ができる能力をいう。

  • (注7)慣れ親しんだ日常生活に関する事項(見たいテレビ番組やその日の献立等)に関する意思決定はできるが、本人に関する重要な決定への合意等(ケアプランの作成への参加、治療方針への合意等)には、指示や支援を必要とすることをいう。

一定の従業員は取得できない

 以下の従業員は、介護休業を取得できません。なお、会社が介護休業の取得を認めることは、可能です(ただし、この場合に雇用保険の介護休業給付の対象となるかは別途確認が必要です)。

(1)日々雇用される者(育児・介護休業法2条1号)
(2)以下のいずれかに該当する有期雇用者

①休業申し出時点で、引き続き1年以上雇用されていない(育児・介護休業法11条1項1号)

②休業申し出時点で、取得予定日から起算して93日経過する日から6か月を経過する日までの間に、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らか(育児・介護休業法11条1項2号)

(3)労使協定で定められた以下のいずれかに該当する者

①休業申し出時点で、引き続き1年以上雇用されていない(育児・介護休業法12条2項において準用する育児・介護休業法6条1項1号)

②休業申し出の日から93日以内に雇用関係が終了することが明らか(育児・介護休業法12条2項において準用する育児・介護休業法6条1項2号、育児・介護休業法施行規則24条1号)

③1週間の所定労働日数が2日以下(育児・介護休業法12条2項において準用する育児・介護休業法6条1項2号、育児・介護休業法施行規則24条2号、育児・介護休業法施行規則8条2号、平成23年3月18日厚生労働省告示58号)

ポイント⑤:育児休業と異なり、社会保険料の免除制度がない

 介護休業期間中に賃金を支払うことは法律上義務付けられていません。
 しかし、介護休業については社会保険料の免除制度がないため、無給となった場合でも、社会保険料は発生し続けます。場合によっては、会社による立替納付などが必要となります。
 なお、雇用保険料にも被保険者(従業員)負担がありますが、雇用保険料は、社会保険料と異なり標準報酬という考え方をとっておらず、無給であれば発生しません。

ポイント⑥:雇用保険から介護休業給付の支給を受けることができる

 受給には、原則として、介護休業開始日の前2年間に被保険者期間が12か月以上必要とされています。その他受給資格については、ハローワーク等と確認することが必要です。

ポイント⑦:不利益取扱いの禁止と、介護休業取得に関するハラスメントの防止措置

 介護休業の申し出をしたことや、介護休業の取得を理由として、従業員に対して解雇その他不利益な取り扱いをすることは禁止されています(育児・介護休業法16条において準用する育児・介護休業法10条)。また、会社は、職場において、上司または同僚による介護休業制度の申し出や利用に関する言動により就業環境が害されることを防止するための措置を講じなければなりません。


 介護離職の防止は今後労使双方にとって重要課題であり続けると思われます。介護休業制度はその基本ともいえる制度であり、適切な運用が求められます。

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