外国人留学生を正社員として採用する際の留意点

人事労務

 当社では、海外進出を見据えて、外国人留学生を採用しようと考えています。その際の留意点等はありますか。労働条件、採用面接の際に確認しておくべき点も踏まえて教えてください。

 外国人留学生を採用したいと考える場合、外国人留学生のみを対象として求人することはできず、また、外国人留学生のみ労働条件を厚遇することもできません。採用が決定した場合には、勤務開始日までに「留学」の在留資格を就労系のものに変更してもらい、雇用開始後には外国人雇用状況届出を行うことが必要です。

解説

募集・面接時の留意点等

募集時の留意点

 事業主が外国人留学生に限定して採用したいと考える場合であっても、職業安定法3条が「何人も、人種、国籍、信条…等を理由として、職業紹介、職業指導等について、差別的取扱を受けることがない。」と定めているほか、平成11年11月17日労働省告示第141号の第二の一においても職業紹介事業者および派遣元事業主に対してかかる差別的取扱を禁止していることから、職業紹介による求人募集の際に外国人のみを対象とすることはできません

 そこで、たとえば、海外取引相手国の文化、事情に精通している人材を採用したい場合には、「◯◯人に限る、日本人は応募不可」などとはせずに、「◯◯語ネイティブレベル、日本語能力検定1級(N1)、TOEIC800点以上」などの募集条件とすることが考えられます。

 また、職業紹介による求人募集の際には、業務の内容および賃金、労働時間その他の労働条件を明示する必要がありますが(職業安定法5条の3)、労働基準法3条が「使用者は、労働者の国籍…を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。」と定めていることから、留学生という理由だけで労働条件を厚遇することはできません

面接時の留意点

 外国人留学生を面接する際、有効な在留資格や在留期限等であることについて確認しておくことが望ましいものの、職業安定法5条の4第1項において「(求職者等の個人情報)を収集し、保管し、又は利用するに当たっては、その業務の目的の達成に必要な範囲内で求職者等の個人情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない。」とし、上記告示の第四の一(一)イで「人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項」の収集を禁止していることに照らせば、外国人留学生の「国籍」について質問することはできないと考えられます。

 この点、厚生労働省が公表している「公正な採用選考の基本」においても、採用については、応募者の適正・能力とは関係ない事項で採否を決定しないよう求めています。

 また、「国籍」について質問できないことと関連して、国籍が記載されている「在留カード」等の提示を面接時に求めることも適当ではないと考えられます。

採用決定後の留意点等

在留資格の変更

 事業主において外国人留学生を採用することを決定した場合、それまでの「留学」との在留資格を入社日時点で該当する就労系の在留資格に変更してもらう必要があります出入国管理及び難民認定法(入管法)20条)。

 参考:入国管理局「在留資格一覧表

 在留資格の変更手続きには、以下の書類などが必要となり、各地の入国管理局で行うことが可能です。

  1. 在留資格変更許可申請書
  2. 旅券および在留カード
  3. 申請人の活動内容(雇用契約書等)、学歴等を証明する書類(卒業証明書等)
  4. 企業の事業内容を証明する書類(登記事項証明書、貸借対照表、損益計算書等)

 万一、入社日時点で在留資格が変更されていないまま就労させた場合には、不法就労助長罪に該当し、雇用主が3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金に処され、またはこれを併科されることとなりますので(入管法73条の2)、十分な余裕をもって手続きを行うようにしてください。

外国人雇用状況届の提出

 事業主は、新たに外国人留学生を雇い入れた場合、ハローワークに外国人雇用状況の届出が必要とされています(雇用対策法28条)。届出の方法は、事業所の所在地を管轄するハローワークの窓口で届出を行うか、外国人雇用状況届出システムを利用することとなります。

 ハローワークの窓口で届出を行う場合、新たに雇い入れる外国人留学生は雇用保険の被保険者となることから、雇用保険被保険者資格取得届の備考欄に在留資格、在留期間、国籍及び資格外活動許可の有無を記載して提出することとなります(雇用対策法施行規則10条2項)。なお、届出期限は、雇用保険被保険者資格取得届の提出期限と同様、雇入れの翌月10日までとなります。

 事業主においては、上記2-1で在留資格を変更した後の在留カードにて届出事項の確認を行うようにしてください。なお、事業主が外国人雇用状況届の提出を怠った場合は、30万円以下の罰金に処せられますので、注意が必要です(雇用対策法40条1項2号)。

 参考:法務省入国管理局「就労資格の在留諸申請に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)

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