外国人労働者を雇用する場合に適用される法律

人事労務

 外国人労働者を雇用する場合に適用される法律にはどのようなものがありますか。

 外国人労働者を雇用する場合であっても、原則としては通常の労働関係法規が適用されますが、入管法の在留資格制度のもとで活動内容が規制されるほか、雇用対策法により事業主に外国人雇用状況届が義務付けられています。

解説

出入国管理及び難民認定法(入管法)

 外国人が在留する場合、すべての人の入出国の公正な管理等を目的とする出入国管理及び難民認定法(以下、「入管法」といいます)の適用を受け、同法が定める在留資格を得ることが必要となります(入管法1条、入管法2条の2)。

 在留する外国人の活動内容は、在留資格により以下のように規制されています(入管法別表第1、入管法別表第2)。

(1)就労に関する制約がない在留資格

  • 永住者
  • 日本人の配偶者等
  • 永住者の配偶者等
  • 定住者

(2)在留資格の範囲内での就労が可能な在留資格

  • 外交
  • 公用
  • 教授
  • 芸術
  • 宗教
  • 報道
  • 経営・管理
  • 法律・会計業務
  • 医療
  • 研究
  • 教育
  • 技能
  • 技術・人文知識・国際業務
  • 企業内転勤
  • 興行
  • 技能実習
  • 高度専門職
  • 介護

(3)許可の内容により就労の可否が決まる在留資格

  • 特定活動

(4)就労できない在留資格

  • 文化活動
  • 短期滞在
  • 留学
  • 研修
  • 家族滞在

 原則として、外国人の在留資格が(3)または(4)に該当する場合は就労できませんが、「留学」および「家族滞在」の在留資格を有する者ならびに本邦の大学等を卒業し就職活動を継続するために「 特定活動」の在留資格を有する者については、事前に地方入国管理局長から資格外活動の許可を得ることで、1週につき28時間以内(「留学」の在留資格を有する者は、長期休業期間中には1日8時間以内)でアルバイト等(風俗営業等は除きます)をすることが可能となります(入管法19条2項、入管法施行規則19条5項1号。また、入国管理局のホームページ参照)。なお、「文化活動」の在留資格を有する者については、個別の状況により資格外活動が許可される場合があります(入管法施行規則19条5項2号)。

雇用対策法

外国人雇用状況届

 事業主は、新たに外国人を雇い入れた場合またはその雇用する外国人が離職した場合、ハローワークに外国人雇用状況の届出(外国人雇用状況届)が必要とされています(雇用対策法28条)。事業主としては、記載内容について在留カードで確認のうえ、所定の方法により外国人雇用状況届を行うこととなります。

 万一、事業主が外国人雇用状況届の提出を怠った場合または虚偽の届出を行った場合は、30万円以下の罰金に処せられることとなります(雇用対策法40条1項2号)。

 なお、外国人雇用状況届の詳細については「外国人雇用状況届の届出方法と記載内容」をご参照ください。

外国人労働者の雇用管理改善等に関する事業主の対処指針

 雇用対策法8条は、事業主に対し、外国人がその有する能力を有効に発揮できるよう、職業に適応することを容易にするための措置の実施その他の雇用管理の改善等の努力義務を課しています。

 また、雇用対策法9条は、厚生労働大臣が、事業主が適切に対処するために必要な指針を定めることとしており、これを受けて、「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」が公表されています(同指針にいう「外国人」からは特別永住者ならびに在留資格が「外国」および「公用」の者は除外されます)。

 同指針においては、事業主が講ずべき必要な措置として以下の事項を定めるほか、外国人労働者を常時10人以上雇用するときは「雇用労務責任者」を選任することが定められています(違反に対する罰則規定はありません)。

(1)外国人労働者の募集および採用の適正化

  1. 募集
  2. 採用

(2)適正な労働条件の確保

  1. 均等待遇
  2. 労働条件の明示
  3. 適正な労働時間の管理
  4. 労働基準法等関係法令の周知
  5. 労働者名簿等の調製
  6. 金品の返還等

(3)安全衛生の確保

  1. 安全衛生教育の実施
  2. 労働災害防止のための日本語教育等の実施
  3. 労働災害防止に関する標識、掲示等
  4. 健康診断の実施等
  5. 健康指導、健康相談の実施
  6. 労働安全衛生法等関係法令の周知

(4)雇用保険、労災保険、健康保険および厚生年金保険の適用

  1. 制度の周知および必要な手続きの履行
  2. 保険給付の請求等についての援助

(5)適切な人事管理、教育訓練、福利厚生等

  1. 適切な人事管理
  2. 生活指導等
  3. 教育訓練の実施等
  4. 福利厚生施設
  5. 帰国および在留資格の変更等の援助
  6. 労働者派遣または請負を行う事業

(6)解雇の予防および再就職援助

その他の法律

 労働基準法3条は「使用者は、労働者の国籍…を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。」と定め、国籍等による差別的取扱を禁止しています。

 このような理念のもと、(1)労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法といった労働者保護を目的とした法律、(2)労働契約法、(3)雇用保険法、厚生年金保険法等の社会保障関係の法律については、原則として外国人にも日本人と同様に適用されることとなります。

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