最低賃金の計算方法について(月給制の場合)

人事労務

 東京で小売業を営んでいます。月給の社員から、「うちの会社は最低賃金違反だ、差額を振り込んで欲しい」と言われました。都道府県から出されている最低賃金は時間額なのですが、月給制の場合、最低賃金はどのように考えれば良いでしょうか?
 毎月、交通費も含めて178,000円支払っており悪くない水準と思っています。
 ちなみに、入社以来給与は変更していません。

 月給制の場合、給与を1か月の平均労働時間で割り、算出された単価を最低賃金と比較します。  給与は固定的な賃金から皆勤手当、家族手当、通勤手当を除き、算出します。地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合、罰則もあります。地域別最低賃金額は毎年10月1日前後に改訂されますので、見直しをした方がよいでしょう。

解説

最低賃金とはどのような制度か

 最低賃金は都道府県別に決められており、一部業種別に決まっている最低賃金(特定最低賃金)もありますが、小売業であれば、都道府県別の最低賃金があてはまります。

 毎年、10月1日前後に最低賃金は改定、発表されます。平成27年10月1日からは、東京都は1時間907円となり、全国的にも上昇傾向となっています。
 最低賃金を下回った賃金で使用した場合、50万円以下の罰金とされています(最低賃金法40条)。最近の労働基準監督署の調査では、「最低賃金に抵触していないか」もチェックのポイントの1つになっているので、注意しましょう。

 なお、最低賃金は労働者が働く場所ごとに適用されます。本社の所在地は関係ありません。派遣労働者の場合は、派遣先の所在地の最低賃金が適用されます。

最低賃金との比較方法 月給制の場合

計算方法

 時間給で賃金を支払っている場合、そのまま時給が最低賃金以上か判断すればよいのですが、月給の場合は一手間かけて算出します。

  1. 固定的な賃金から皆勤手当、家族手当、通勤手当を除き、給与額を算出します。
  2. 給与を1か月の平均労働時間で割り込み1時間あたりの単価を算出します。
  3. 1か月の平均労働時間は、就業規則に定めてある場合はその時間を、無い場合には、平均労働時間を確定しましょう。10人以上労働する小売業なのであれば、1か月168時間程度が目安です。

 上記の条件を元に計算し、時間あたりの単価を最低賃金と比較します。

具体的な例

 以下では、設問の「月給178,000円」という金額が、東京都の最低賃金である「時間額907円」(平成28年3月現在)を上回るケース、下回るケースの2つを比較します。
 なお、月平均時間は168時間としています。

例1 最低賃金を上回るケース
基本給与額 16,000円
職務手当 8,000円
通勤手当 10,000円
総額 178,000円
*だけが、比較の対象になる
168,000円 ÷ 月平均労働時間(168時間)= 1,000円
時給単価あたり1,000円となり、最低賃金を上回る

例2 最低賃金を下回るケース
基本給与額 14,000円
職務手当 8,000円
皆勤手当 20,000円
通勤手当 10,000円
総額 178,000円
*だけが、比較の対象になる
148,000円 ÷ 月平均労働時間(168時間)= 880.95円
同じ月額給与であっても、例2は、東京都では最低賃金違反となってしまいます。

最低賃金を下回った場合

 最低賃金違反となった場合、下回った分を計算して支払うこととなります。また、在職期間の中で、毎年の最低賃金と比較し、下回っている分については、遡って支払う必要があります。

最低賃金減額の特例許可申請

 この最低賃金は、原則正社員、パート、派遣労働者などの勤務形態にかかわらず、すべての労働者に適用されます。
 しかし、障がいのある方などに、最低賃金を一律に適用するとかえって雇用機会を狭めるおそれなどがあるため、特定の労働者については、個別に最低賃金の減額の特例が認められています。これは、使用者が最低賃金の減額の特例許可申請書を提出し、労働局長の許可を受けることを条件としています。
 なお、許可申請書は、事業場の所在地を管轄する労働基準監督署に提出する必要があります。  

まとめ

  • 月給制の場合、給与を1か月の平均労働時間で割り、算出された単価を最低賃金と比較する
  • 給与は固定的な賃金から皆勤手当、家族手当、通勤手当を除き、算出する
  • 地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合、不足した分を支払う必要があるうえに、50万円以下の罰金もある
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