著作権の基本(1)広義と狭義の著作権とは?

知的財産権・エンタメ

 当社の新製品が取り上げられた新聞記事を社内で、また会社の宣伝やプレゼン資料として利用したいのですが、どのような点に注意をしたらよいでしょうか。

 新聞記事は基本的に著作物ですので著作権に気をつける必要があります。著作権(広義)には著作者人格権と著作権(狭義)があります。著作権(狭義)には複製権、上演権・演奏権、上映権、公衆送信権・公の伝達権、口述権、展示権、頒布権、譲渡権、譲渡権、貸与権、翻訳・翻案権等、二次的著作物の利用権という11種類の権利があります。これらの権利はそれぞれ別個独立の権利ですので、利用態様に応じて各々の権利について確認が必要です。

解説

著作権の内容

 著作権(広義)には著作者人格権と著作権(狭義)があり,各々の内容は以下のとおりです。これらの権利はそれぞれが別個独立の権利なので、利用態様に応じて関係するそれぞれの権利ごとに許可を得るもしくは必要な使用料を支払うなどの権利処理をする必要があります。ここでは著作権(狭義)について説明をします。

著作権の内容

 なお,著作権を侵害した場合のペナルティには以下のとおり民事上のものと刑事上のものがあります。

著作権を侵害した場合のペナルティ

複製権とは

 複製権とは、著作物の複製に関する権利です。新聞記事などは基本的に著作物にあたり、著作権が成立していますので、紙面をコピーする、スキャナーで読み取る、あるいは記事本文をコピー・ペーストして転載するなどの行為は複製権の侵害となります。なお、例えば「今朝の〇〇新聞が~という事件について紹介していた」というように、記事本文をそのまま使うのではなく、その概要を簡潔に記載するような場合は、著作物としての新聞記事の複製とは評価されないでしょう。

上演権・演奏権とは

 上演権・演奏権とは、著作物の演奏・上演に関する権利です。「公に」演奏・上演する行為が対象となっています。
 「公に」とは、不特定または多数に対して上演・演奏する場合がこれに該当するとされています。つまり、特定かつ少数に対する上演・演奏の場合は「公に」には該当しないわけです。

「公に」とは

上映権とは

 上映権とは、著作物を映写幕その他のものに上映する権利です。スクリーンなどに投影することのみならず、ディスプレーなどに表示することも含まれますので、プレゼンテーションなどでPCなどに取り込んだ新聞記事を表示させることも上映権の侵害となります。  上映権も「公に」上映する行為が対象となりますから、特定の部署のメンバー4名で画面を見るような場合は上映権の侵害になりません。もっとも、多数か少数かの区別は微妙で,裁判例などでもケース・バイ・ケースとされています。さすがに4名なら少数だと言えるでしょうが、何人までなら少数で、「公に」にはあたらず、上映権侵害にならないのかははっきりしない問題です。

公衆送信権・公の伝達権とは

 公衆送信とは、放送・有線放送とネット配信などを含んだ概念です。新聞記事をウェブサイトなどにアップすると公衆送信権侵害となります。なお、社内のサーバーの共有フォルダーに新聞記事を保存して社員が各々のPCからアクセスをして読むことは公衆送信には該当しません。ただし、各社員のPCの画面上に表示させることは上映となりますので上映権の侵害となる可能性があります。また、各社員が各自の端末に保存して読む場合は複製権の侵害となります。なお、実際にアクセスがなく配信されなくても、サーバーにアップロードした時点で公衆送信をしたものとして扱われます。

公衆送信権・複製権・上映権の侵害

 公の伝達権は、公衆送信されている著作物を受信装置を使って公に伝達することについての権利です。プレゼンテーションなどでインターネットに接続したPCに表示されるウェブサイトの新聞記事を映し出すのは(上映ではなく)公の伝達権の対象です。つまり、複製(保存)したものを表示するのが上映、保存せずにそのまま表示するのが公の伝達権という区別になります。上映と同様、こちらも「公に」伝達する場合だけが対象です。

上映権と公の伝達権の区別

口述権とは

 口述権は、公に口述をする権利です。プレゼンテーションなどで新聞記事をそのまま朗読すると口述権の侵害となってしまいます。

展示権とは

 展示権は、美術作品と未発行の写真の原作品を公に展示する権利です。新聞に載っている写真などは原作品ではなく複製物なので、これを展示しても展示権の侵害にはなりません。

頒布権、譲渡権、貸与権とは

 頒布権譲渡権貸与権は、著作物の譲渡・貸与に関する権利です。頒布権映画の著作物の複製物の譲渡貸与譲渡権貸与権映画以外の著作物の複製物の譲渡・貸与に関する権利です(譲渡権は原作品についても権利が認められています)。ただし、映画音楽のように映画以外の著作物でも映画に複製されている著作物については、映画の著作物に対するも頒布権が認められます。
 新聞記事を資料にコピペして配布することはコピペすることが複製権の侵害となることに加えて、譲渡権・貸与権も侵害することになります。

頒布権・譲渡権・貸与権

 なお、著作権(狭義)に含まれる残りの翻訳・翻案権等と二次的著作物の利用権、また著作者人格権については「著作権の基本(2) 二次利用する際に注意すべき点」で解説しています。

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