著作権の基本(2)二次利用する際に注意すべき点

知的財産権・エンタメ

 デザイナーに依頼をして作成した当社製品のマスコットキャラクターがSNS等で人気となりましたので、そのマスコットキャラクターが登場するアニメーションを使った動画の製作を企画しています。今後この動画をイベントで上映したり、Youtubeにアップしたり、製品のCMに使ったりすることを検討中です。マスコットキャラクターのデザインの著作権はイラストレーターさんにありますが、どのような点に注意したらよいでしょう。

 まず動画を製作することについて、マスコットキャラクターの著作権者であるデザイナーから翻案権に基づく許可を得る必要があります。また、マスコットキャラクターが登場する動画については、マスコットキャラクターを創作したデザイナーの著作権(二次的著作物の利用権)が及びます。したがって、動画の利用に際しては、デザイナーから利用態様に対応する著作権に基づく許諾を得る必要があります。

解説

翻訳・翻案権等とは

 著作者は著作物について、翻訳や編曲、もしくは変形、あるいは脚色、映画化し、その他翻案する権利を有しています。これを翻訳・翻案権等と称しています。整理すると以下のとおりです。なお、以下では便宜上これらをまとめて「翻案」「翻案権」と表記します。

  • 翻訳
  • 編曲
  • 変形
  • 脚色、映画化、その他翻案

 なお、著作物について一見すると翻案に当たると思われる行為をしても、それが思想感情の創作的表現と言えない場合には著作権法上の翻案とは評価しないというのが判例上確立された解釈です。ですから、この場合は単なる複製となります。例えば市販の翻訳ソフトを使って英文を日本語に翻訳したとしても、その翻訳行為は翻訳をした人の思想感情の創作的表現とは言えませんので、著作権法上は翻案(翻訳)ではなく複製となります。

 マスコットキャラクターを使って動画を製作する行為は、思想感情の創作的表現と言えるでしょうから、「翻案」ということになります。ですから、マスコットキャラクターの著作権者から翻案権についての許諾を得る必要があるわけです。

二次的著作物とは

二次的著作物における著作者の権利

 他人の著作物を翻案することで創作された著作物二次的著作物といいます。例えば、J・K・ローリング原作の「ハリー・ポッター」を松岡佑子さんが翻訳したものは翻訳による二次的著作物ですし、映画作品は映画化による二次的著作物ということになります。マスコットキャラクターが登場する動画も二次的著作物ということになります。
 二次的著作物も思想感情の創作的表現といえる翻案行為により創作された著作物ですから、翻案した人に著作権が成立します。ハリー・ポッターの日本語訳については松岡佑子さんが、映画については映画を製作した人が、それぞれ著作権を有しているわけです。マスコットキャラクターが登場する動画についても、その動画の製作者に著作権が成立します。

二次的著作物の利用権

 二次的著作物の元になった著作物を二次的著作物の原著作物といいます。ハリー・ポッターの映画や日本語訳を二次的著作物とすると、J・K・ローリングの原作はこれらの二次的著作物の原著作物ということになります。マスコットキャラクターが登場する動画についても、当該動画を二次的著作物とすれば、マスコットキャラクターはその原著作物というわけです。

 この二次的著作物の原著作者は、もちろん原著作物に対して著作権を有していますが、二次的著作物についても、二次的著作物の著作者と同じ権利を有する、と定められています。図にすると以下のとおりです。

二次的著作物の原著作者は、もちろん原著作物に対して著作権を有していますが、二次的著作物についても、二次的著作物の著作者と同じ権利を有する

 マスコットキャラクターの例に置き換えると、Aがイラストレーター、Bがアニメの製作者ということになります。
 マスコットキャラクターが登場する動画について、B(動画製作者)は著作権を有しています。動画を複製するなら複製権、イベントで上映するなら上映権、Youtubeにアップしたり放送したりするなら公衆送信権ということになります。そして、A(イラストレーター)もこれと全く同じ権利を有しているわけです。ですから、動画を使う際にはイラストレーターから利用態様に応じた許諾を得る必要があります。

著作者人格権について

 なお、二次的著作物の原著作者が二次的著作物と同じ権利を有するとされているのは著作権(狭義)だけです。著作権(広義)と著作権(狭義)については「著作権の基本(1)広義と狭義の著作権とは?」を参照してください。
 ただ、著作者人格権のうち、公表権と氏名表示権については、二次的著作物の原著作物の著作者が二次的著作物に対しても有するとされています。これを整理すると以下のとおりです。

著作者人格権のうち、公表権と氏名表示権については、二次的著作物の原著作物の著作者が二次的著作物に対しても有する

 ですから、マスコットキャラクターが登場する動画は、A(イラストレーター)に無断で公表することはできませんし、原則としてクレジットなどの形でその氏名・変名を表示しなければなりません。

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