立体商標登録ができる場合とは

知的財産権・エンタメ

 商品形態も商標として登録できる、立体商標登録という制度があると聞きました。どのような場合に立体商標登録ができるのでしょうか。

 商品形態自体に自他商品識別力があり、かつ、商品が当然に備える立体的形状のみからなる商標ではない場合に、立体商標登録が可能です。商標権の保護期間は10年間ですが、特許権や意匠権と違って何度でも更新ができるため、期間の限定なく保護を受けることができます。

解説

立体商標とは

 「商標」とは、人の知覚によって認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状もしくは色彩またはこれらの結合、音その他政令で定めるものであって、1)業として商品を生産し、証明し、または譲渡する者がその商品について使用をするもの、あるいは、2)業として役務を提供し、または証明する者がその役務について使用をするものをいいます(商標法2条1項)。代表的な商標は、社名のロゴや商品名などの平面商標です。

 商標は、営業主体が誰なのか、または、当該商品・役務が誰の商品・役務なのかを示す機能(自他商品識別機能)、同一の商標の付された商品・役務には同一の質があると期待させる機能(品質保証機能)および商標自体が一定のイメージを有し、需要者に買いたいと思わせる機能(広告機能)を有しています。

 立体商標は、立体的な形状(商品、商品の包装、営業を提供する建物等)についても商標として認めるものであり、平成8年商標法改正(平成8年法律第68号、平成9年4月1日施行)で導入されたものです。

立体商標登録の要件

 平面商標であれば、他人の商標と異なる商標で、類似の商標登録がない場合、多くの場合、自他商品識別機能があるとして、商標登録が認められます。

 これに対し、立体商標は、登録されると、他人がその形態を使用できなくなるため、平面商標よりも登録のハードルは高くなっています。具体的には、①商品形態自体に自他商品識別力があり、かつ、②商品が当然に備える立体的形状のみからなる商標ではない場合にのみ、登録が認められます(商標法3条1項3号・2項、4条1項18号)。

商品形態自体に自他商品識別力があるとは

 まず、①商品形態自体に自他商品識別力があるというためには、商品そのものを見て、誰の商品か思い浮かぶようなものである必要があります。商品に社名や商品ブランド名を記載していて、その社名や商品ブランド名を見て、誰の商品かわかる(その記載がないとわからない)という場合には、自他商品識別力を有するのはその社名や商品ブランド名の部分であり、商品形態自体には自他商品識別力がないことになります。

商品が当然に備える立体的形状のみからなる商標ではないとは

 次に、②商品が当然に備える立体的形状のみからなる商標ではないという点に関し、特許庁の審査においては、この「当然に備える立体的形状」とは、商品の性質から通常備える立体的形状または商品の機能を確保するために不可欠な立体的形状をいうものとして、代替可能な立体的形状があるかどうかが判断されます。代替可能な立体的形状がない場合は、立体商標登録は認められないことになります。

 国外においても立体商標は認められていますが、平成28年11月に欧州司法裁判所がルービックキューブの立体商標は無効と判断するなど、保護されるハードルは低くないようです。

立体商標の具体例

 商品形態について立体商標登録が認められた例として、以下のものがあります。

 また、商品形態以外に立体商標登録が認められた例として、以下のものがあります。

保護の内容

 立体商標登録がなされると、商標権者は、指定商品または指定役務について登録商標の使用をする権利を専有できることになります(商標法25条)。

 保護期間は10年ですが(商標法19条)、何度でも更新ができます(商標法20条)。そのため、保護期間が原則20年の特許権や意匠権、オリジナル商品の発売から3年間のみ保護される商品形態模倣(不正競争防止法2条1項3号)に比べ、長期間にわたり商品形態を保護できることになります。

 他者が指定商品または指定役務について、登録された立体商標を使用した場合、差止めと損害賠償を請求することができます。

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