関連意匠制度とは

知的財産権・エンタメ

 当社は健康器具の開発を手がけるメーカーです。当社が新しく開発した健康器具は、全体のデザインに特徴がありますが、特に持ち手の部分に工夫をしています。当社がこの健康器具を発売してヒット商品になれば、他社が少しだけデザインを変えた製品を販売してくるのではないかと心配しています。意匠登録出願を行うにあたり、気をつけるべきことはありますか。

 新製品の全体の形状を意匠登録出願するほか、他社が思いつきそうな、少しだけ形を変えた関連デザインについても、関連意匠登録出願しておくことが考えられます。

解説

関連意匠制度とは

 関連意匠とは、自己の意匠登録出願に係る意匠または自己の登録意匠のうちから選択した一の意匠(本意匠)に類似する意匠をいいます(意匠法10条1項)。

 平成10年の意匠法改正前には、登録意匠に類似する意匠を登録しておくことで、類似範囲を明確にするという「類似意匠」の制度がありました。
 しかし、類似意匠には、独自の意匠権が認められていなかったため、類似意匠に似ているというだけでは意匠権侵害といえず、あくまでも本意匠に類似するといえる必要がありました。

 そこで、意匠権者の保護を図るため、平成10年の意匠法改正により、類似意匠制度に代えて、関連する意匠群を、関連意匠として登録できる関連意匠制度が設けられました。
 類似意匠と異なり、関連意匠には、独自の意匠権が認められます

関連意匠の内容

 関連意匠の登録の際には、本意匠と、これに類似する一連の意匠群を登録します。
 たとえば、身体鍛錬機具(座部が上下前後方向に規則的に動き、乗馬のような運動をすることによって足腰を鍛える機器)として、以下のような関連意匠の登録があります(本意匠:意匠登録第1118554号)。

身体鍛錬機具の関連意匠(本意匠:意匠登録第1118554号)

出典:左上から順に、意匠登録第1118554号、第1119071号、第1119072号、第1119073号、第1119074号、第1119075号、第1119076号

 特許庁から、どのような関連意匠が認められているのかをまとめた事例集も出されていますので、参考にしてください。

 参考:特許庁「部分意匠の関連意匠登録事例集について」(平成29年3月31日)

関連意匠のメリット

 上記のとおり、関連意匠は、法改正前の類似意匠と異なり、独自の意匠権が認められるため、関連意匠登録を行うと、関連意匠に類似するものにも権利行使が可能になるというメリットがあります。また、複数の関連意匠登録を行うことで、本意匠の類似の範囲が明確になり、侵害品への対応が行いやすくなります。さらに、本意匠のどこに特徴的部分があるのかについても、より明確にすることができます。

関連意匠の効力

 関連意匠は、本意匠の意匠権の設定の登録の日から20年をもって消滅します(意匠法21条2項)。関連意匠の登録が本意匠の登録より遅くなったとしても、期間は延長されません。
 他方で、関連意匠にも独立の意匠権が認められているため、本意匠が、放棄、登録料の未納、無効審決によって消滅したとしても、関連意匠は存続します。

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