社内報で写真を掲載する際に注意が必要な著作権

知的財産権・エンタメ

 社内報をビジュアル的に楽しいものにするために写真を多く掲載しています。会社イベントの様子を社員が撮影した写真を使うほか、写真の投稿コーナーもあります。社員がプライベートで撮影した写真の他に、社員の家族が撮影した写真も投稿することができます。社内報は、原則として社員にだけ配布されるものですが、気を付けるべきことはあるでしょうか。

 風景や料理といった「著作物ではないもの」を撮影した写真であっても、写真それ自体が撮影者の著作物として保護されるので注意してください。社員が撮影した写真でも、業務と関係なく撮影された写真の場合は社員個人が著作者になります。被写体が絵画や彫刻などの著作物であれば、その被写体の著作権も問題になる可能性があります。人物写真の場合は、被写体の肖像権が問題になる場合があるので注意しましょう。

解説

写真の著作権

 風景や料理といった「著作物ではないもの」を撮影した写真であっても、写真それ自体が著作物として保護の対象となります。
 もっとも、著作物とは①思想または感情を、②創作的に、③表現したものであって、④文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの、と定義されていますので、写真であっても、これらの要件を満たさなければ著作物としては保護されません。

 参照:「ネット上の写真やデータ・グラフは著作物にあたるのか

 写真著作物における創作性は、裁判上、被写体と、撮影時刻、露光、陰影のつけ方、レンズの選択、シャッター速度の設定、現像の手法等における技術上の工夫の双方にあるとされています。写真家が撮った芸術的な作品はもちろん、素人が風景を撮ったような写真でも、被写体の選択や、構図の工夫といった、被写体に関する創作的な工夫に加え、露出や光量、レンズの選択といった技術上の工夫の上に撮影されている場合が多いので、カメラマンではない一般の社員やその家族が撮影した写真であっても、著作権で保護されていると考えておくべきです。

 印刷物の社内報に掲載する場合は著作物の複製になり、社内報をイントラネットに掲載する場合は公衆送信にあたる場合も多いと思われます。また掲載にあたってトリミング等の加工を加えると著作物の翻案となるので、社員やその家族がプライベートで撮影した写真を提供してもらう場合は、用途や編集の可能性についても通知をしておく方が良いでしょう。

社員が撮影した写真の著作者は誰か

 写真の著作者は、原則として写真を撮影した人です。例外として、社員が撮影した写真が職務著作著作権法15条)にあたる場合は、社員ではなく会社(法人)が著作者になるので、写真の利用について社員の同意を得る必要はありません。ただし、職務著作が成立するためには、他の要件に加えて、社員が、会社の職務上その写真を撮影したことが必要です。

 参照:「退職した社員が作成した資料を使っても著作権の問題はないか

 たとえば、広報担当の社員が業務として会社のイベントを撮影した場合であれば、その写真の著作者は原則として会社になるでしょう。他方、社員が撮影した写真であっても業務と無関係に撮影した写真については、著作者は社員個人であって社員が著作権を持つことになります。事後的にその写真を社内報で使用したとしても、そのことによって写真が職務著作になる訳ではありません。

被写体が著作物の場合

 彫刻や絵画のような著作物が被写体になっている写真の場合は、写真を利用するにあたっては、多くの場合、写真の著作権者に加えて被写体の著作権者からも許諾を得る必要があります。著作物を写真撮影すると、その著作物を複製したことになるからです。
 ただし、著作物が写っているからと言って、常に許諾を得る必要があるわけではなく、著作権法上、いくつかの権利制限規定が適用される可能性があります。

(1)建造物・屋外に設置されている美術の利用(著作権法46条

 屋外に展示されている美術作品であれば、著作権者に無断で撮影をして、社内報に掲載しても原則として問題はありません。なお、屋外に設置されている美術品や建造物についても、「もっぱら販売目的で撮影、またはそれを販売すること」は制限規定の対象外ですので注意してください。

(2)写りこみ (付随対象著作物)(著作権法30条の2

 絵画や彫刻をメインに撮影したものではなく、絵画や写真が写りこんでいるに過ぎない写真であれば、被写体の著作権者の許諾を得ないでも使える可能性があります。

 「写り込み」の要件として、①分離困難、②軽微性(絵画が写真の主役ではない)、③著作権者の利益を不当に害しないこと、が求められています。一度これらの要件を満たして創作された著作物(写真)については、写り込んだ絵画等の著作権者の利益を不当に害しなければその後も利用できるので、社内報に掲載しても問題はありません

 著作権で保護されている絵画や彫刻をメインの被写体として撮影した写真については、「写り込み」の規定は適用されないので、(1)の例外にあたらない限り著作権者の許諾を得る必要があります。

 参照:「動画の背景に写り込んだ彫刻作品や建物に著作権はあるか

著作物が被写体になっている写真の場合の許諾の有無

写真の著作権侵害

 投稿写真を募集する時は「オリジナルの作品であること」を応募条件にする場合が多いでしょう。しかし、社員自身、または社員の家族が自分で撮影していれば大丈夫とは限りません。既存の写真を参考にして、同じ被写体を選び、さらに陰影のつけ方やそのほかの映像効果も参考写真をまねて撮影した場合は、参考写真の著作権を侵害する可能性があります(すいか写真事件・東京地裁平成11年12月15日判決・判タ1018号247頁等、東京高判平成13年6月21日判決・判タ1087号247頁等)。

 自分または家族本人が撮影した写真であることの他に、既存の写真をマネしたものではないことを条件として明記しておく方法も良いでしょう。

肖像権

 イベント参加者や通行人などの顔が写真に写っている場合は、肖像権が問題になる可能性があります。
 最も肖像権侵害のリスクが低いのは、人物を特定できない方法で撮影することですが、その他に、アップにしても個人を特定できるほど顔や洋服の特徴を鮮明に表示していない人物の大きさ・解像度であれば、肖像権侵害となるリスクは低いと思われます。
 仮に写真を見て人物を特定できる場合には、顔にぼかしを入れたり、解像度をあえて粗くしたりするなど加工して、個人の特定ができないようにしましょう。

 参照:「著作権フリーの素材をカタログに使う場合の注意点

コンテンツの更新情報、法改正、重要判例をもう見逃さない!メールマガジン配信中!無料会員登録はこちらから
  • facebook
  • Twitter

関連する特集