著作権侵害をされた場合の民事・刑事における対応策

知的財産権・エンタメ

 当社のコピー商品を転売している業者が、販売用のウェブサイトに当社のウェブサイトで掲載している写真やイラスト、説明文などのコンテンツを大量に流用していることを確認しました。コピー商品については対応策を進めていますが、ウェブサイトについてはどのような対応をとったらよいでしょうか。

 流用されているコンテンツの使用の差止めおよびデータの廃棄、損害賠償、そして信用回復措置として掲載していたコンテンツが無断で流用したものである旨を告知してもらうことが考えられます。また、併せて刑事告訴することも考えられます。

解説

著作権・著作者人格権侵害者に対するペナルティ

 本件では流用されたコンテンツは著作物に該当するでしょうから、これをウェブサイトに流用したことは複製権、公衆送信権の侵害になります。

 参照:


 著作権侵害を行った者に対するペナルティには以下のものがあります。

  1. 民事上のペナルティ
    1. 侵害行為の差止請求(著作権法112条1項)
    2. 損害賠償(民法709条)
    3. 名誉回復措置(著作権法115条
  2. 刑事上のペナルティ
    1. 著作権侵害について(著作権法119条1項)
      10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはその併科
    2. 著作者人格権侵害について(著作権法119条2項1号)
      5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金またはその併科

 著作権・著作者人格権を侵害された者としては、侵害者が適切にこれらのペナルティを受けるように行動していくことになります。

 参照:「著作権を侵害した場合、どのような罰則があるか

民事上のペナルティ

侵害行為の差止請求

 著作権が侵害されようとしている、あるいは現在侵害されているという場合、まずやらなければならないのは侵害行為の差止(予防、停止)です。ですから、まずは内容証明郵便等の通知により、それでも対応してもらえなければ裁判手続きを通じて差止を要求していくことになります。

 また、差止請求の際には、差止に必要な措置として、

  • 侵害の行為を組成した物
  • 侵害の行為によって作成された物
  • 侵害の行為に供された機械もしくは器具

の廃棄などを請求することができます。本件では流用したコンテンツのデジタルデータの削除も要求することができるでしょう。

損害賠償

 損害賠償として請求する金額については、著作権法114条に推定規定などがありますので、これも活用しながら確定することになります。侵害行為が継続している間は金額が徐々に増えていくことになります。ですから差止(侵害の停止)を請求する場合には実際に侵害行為が停止されたのを確認してから請求金額を確定することになります。

 もっとも、これらの規定に基づく損害額を算定する資料がないことも多いので、請求する前提として使用期間などの情報の開示を請求することになります。先方が開示をしてこない場合、訴訟を提起すれば裁判所が資料の開示を命じることができることになっています(著作権法114条の3第1項)。

 なお、本件ではウェブサイトでの使用さえ停止してもらえば目的は達成できますし、ウェブサイトでの無断利用自体による損害としてはさほど多くの額が請求できるとも思えません。その意味では、少なくとも差止請求に速やかに対応した相手に対しては損害賠償請求までは要求しなくてもいいかもしれません。

名誉回復措置

 著作権法115条は、著作者は著作者人格権を侵害した者に対して「著作者・・・であることを確保し、又は訂正その他著作者・・・の名誉若しくは声望を回復するために適当な措置を請求することができる」としています。

 これは著作権ではなく著作者人格権を侵害された場合にのみ適用がある規定ですが、この規定に基づいて訂正記事、謝罪広告などを要求することになります。

 参照:「著作権の基本(2)二次利用する際に注意すべき点

 本件では、氏名表示権という著作者人格権が侵害されているでしょうし、コンテンツが流用されたことで販売されているのがコピー商品なのに正規品であるかのような誤解を与えた可能性があります。ですから、コピー商品を販売していたにもかかわらずウェブサイト上でコンテンツを流用していた旨を告知するよう要求することが可能と考えられます。

 なお、2-2の損害賠償や2-3の名誉回復措置についても、2-1の侵害行為の差止請求と同様に、内容証明郵便等による通知により要求し、応じない場合は裁判手続きを通じて要求することになります。

刑事上のペナルティ

 著作権侵害、著作者人格権侵害については刑事罰がありますので、これらの規定に基づいて適正に処罰されるよう警察や検察に対して刑事告訴をすることも考えられます。

 刑事告訴をする警察や検察は、自分の最寄りのところでもよいですし、相手の所在地がわかっている場合は相手の最寄りのところでもよいでしょう。刑事告訴については必ず受理されるというわけではありませんし、受理されてもただちに刑事手続きが始まるとは限りません。ですから、民事上のペナルティを要求する手続きを進めながら、刑事告訴をするかどうか、またいつするのかを判断するとよいと思います。

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