SNSによる情報発信は「報道のための利用」に当てはまるのか

知的財産権・エンタメ

 部品を搭載したA社の機械が海外で優れた製品として表彰されることとなりました。当社にとっても名誉なことですので、当社の公式SNSで表彰されたことと共にA社のウェブサイト上の製品の写真を掲載しようと思うのですが、構わないでしょうか。

 製品が表彰された旨を伝達するという意味では、時事の事件の報道(著作権法41条)として利用することが許されるという余地はありますが、やや微妙ですので、念のためA社から許諾を得ておくほうがよいと思います。

解説

時事の事件の報道のための利用

 著作権法41条は、写真、映画、放送その他の方法によって時事の事件を報道する場合には、以下の著作物を利用することができるとしています。

  1. 当該事件を構成する著作物
  2. 当該事件の過程において見られ、または聞かれる著作物

 ①の「当該事件を構成する著作物」とは、報道する事件の対象が著作物である場合をいいます。たとえば絵画の盗難事件について報道する場合に、被害品である絵画の写真を紹介する場合などです。

 ②の「当該事件の過程において見られ、または聞かれる著作物」とは、美術館における事故について報道する場合に、事故現場に展示されている彫刻作品が写った映像を紹介したり、デモ行進について報道する際に、デモの参加者が歌っている歌謡曲が収録された映像を紹介する場合などです。

 このような場合、報道のために著作物を複製し、また当該事件の報道に伴って利用することができます。ただ、その場合も「報道の目的上正当な範囲内」でなければならないとされています。ですから、必要以上に大きく撮影したり、また必要以上に長時間にわたって利用したりすることは許されないということになります。

利用できる著作物とは

 本件では、A社の製品が表彰されたという事実を報道するためにA社製品の写真を複製して利用しようというのですから、まさに著作権法41条が定めている場合にあたるのではないか、と思われます。

 ただ、ここで報道の対象となっているのはA社製品です。A社のウェブサイトに掲載されている写真は、写真の著作物として著作権が成立しています。

 参照:
・「ネット上の写真やデータ・グラフは著作物にあたるのか
・「社内報で写真を掲載する際に注意が必要な著作権

 ですから、被写体となっているA社製品の報道のために、写真の著作物としてのA社製品の写真を複製することが許されるのかは微妙だといえます。

著作権法41条の「利用できる著作物」

報道目的で利用できるのは誰か

 また、著作権法41条は、少なくとも制定された当時は雑誌、新聞、テレビ、ラジオなどの報道機関・マスメディアによる利用を想定していた規定です。インターネットの普及に伴い、いわゆる報道機関に限らず各企業、さらには個人までもが、ブログやSNSなどを利用して様々な情報発信、事実についての発信を行うようになりました。

 たとえば冒頭で例として紹介した美術館における事故についても、たまたま居合わせた個人がスマートフォン等で事故直後の様子を写真や動画として撮影し、SNSや動画投稿サイトなどに投稿することは今日では日常的に行われています。このような利用についても著作権法41条の対象となるのではないかという気がします。設例の会社の公式SNSでの利用も同様です。

 ただ、他方で「時事の事件を報道」という条文の文言からすると、このような個人や報道機関以外の利用まで含めてよいのかは躊躇があるところです。残念ながらまだ著作権法41条に関する裁判例が多くはないこともあり、現時点ではこの点はまだ微妙だといわざるを得ません。

 ですから、設例の場合にもA社の許諾を得たうえで利用するほうがよいと思われます。

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