景品表示法の規制を受ける「不当表示の主体」とは

競争法・独占禁止法

 当社は、インターネット上のショッピングモールを運営しています。複数の出店事業者が当社のショッピングモールに出店して多数の商品を販売していますが、これらの会員事業者が当社ショッピングモール上で販売する商品が不当表示に該当する場合、当社が景品表示法上の措置を受ける可能性がありますか。

 ショッピングモールの運営事業者等の広告媒体事業者は、「自己の供給する商品又は役務」についての表示を行う者ではありませんので、景品表示法上の規制を受ける主体には該当しないというのが原則です。ただし、商品等の販売を共同して行い、共同で広告を行っているなどの場合には、例外的に表示主体に該当する可能性がありますので注意が必要です。

解説

はじめに

 実際の取引では、商品やサービスの広告等の表示には、さまざまな事業者が関与していることがあります。設問のショッピングモールの運営事業者も、自社のウェブサイト上に出店事業主の商品やサービスの広告を掲載することになりますから、その意味では広告表示に関与していることになります。

 では、広告等の表示に関与する事業者のうち、どの範囲の事業者が、景品表示法上の規制を受けることになるのでしょうか。

景品表示法上の規制を受ける不当表示の主体とは

 景品表示法は平成26年11月に改正されましたが、改正後の5条は、事業者がその供給する商品や役務の取引について、一般消費者に対して、不当に顧客を誘因し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある表示(不当表示)を禁止し、これを規制しています。 つまり、この規制の対象となる不当表示の主体は、①自己の供給する商品又は役務についての②表示を行った事業者ということです。いずれの点も満たす必要があります。

不当表示の主体
  1. 自己の供給する商品又は役務について
  2. 表示を行った事業者

「自己の供給する商品又は役務」について

 「自己の供給する商品又は役務」は、つまり、商品のメーカー、卸、小売店など、自らの商品又はサービスを供給する者が不当な表示を行った場合に、景品表示法5条の規制対象となるということです。 逆にいうと、広告代理店やメディア媒体などの広告媒体事業者等は、他社からの委託を受けてテレビCMや折り込みチラシ等の広告表示の制作に関与することがありますが、それはあくまで他社の供給する商品又はサービスについての表示に関与しているだけであり、原則として、景品表示法5条の規制対象とはなりません(※ただし、別途、健康増進法や薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律。かつての薬事法)といった他の法令上の規制を受ける可能性はありますので、ご注意ください)。

 もっとも、広告媒体事業者であっても、商品又はサービスを一般消費者に提供している他の事業者と共同して商品又はサービスを提供していると認められる場合には、景品表示法の適用を受けます(「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」(平成26年11月14日内閣府告示第276号。以下「管理上の措置についての指針」といいます)第二の1参照)ので、留意が必要です。

管理上の措置についての指針より抜粋
例えば、当該事業者が、商品又は役務を一般消費者に供給している他の事業者と共同して商品又は役務を一般消費者に供給していると認められる場合は、景品表示法の適用を受ける

「表示を行った事業者」について

 「表示を行った事業者」とは、表示内容の決定に関与した事業者をいいます。そして、「表示内容の決定に関与した事業者」とは、(i)「自ら若しくは他の者と共同して積極的に表示の内容を決定した事業者」のみならず、(ii)「他の者の表示内容に関する説明に基づきその内容を定めた事業者」や(iii)「他の事業者にその決定を委ねた事業者」も含まれるとされています(ベイクルーズ事件東京高裁平成20年5月23日判決)。
 たとえば、小売業者が、製品の仕入先から、その製品が「イタリア製」であるとの説明を受けて、自己の商品に「イタリア製」と表示して消費者に販売した場合、上記(ii)の類型として不当表示の主体となります。

ショッピングモールサイトの運営事業者について

 それでは、インターネット上でショッピングモールサイトを運営している事業者の場合はどうでしょうか。この場合、表示の主体といえるのかが問題となります。

 通常、このようなショッピングモールサイトでは、運営事業者が管理するモールのウェブサイト上に、会員事業者が出店販売する商品の広告を掲載することが想定されます。このように、サイトの運営事業者が、会員事業者(つまり「他社」)の商品についての広告表示を行うのみであれば、仮に、その広告の表示内容について関与していたとしても、「自己の供給する商品又は役務について」とはいえず、景品表示法の規制を受ける不当表示の主体とはならないのが原則です。

 しかし、サイト運営事業者が、出店事業者と共同キャンペーンを行うなど、商品等の販売を共同して行い、共同で広告を行っている場合などには、出店事業者のみならずサイト運営事業者も、景品表方法の規制を受ける不当表示の主体となり得ますので、注意が必要です。

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