強調表示で景品表示法違反とならないために注意することは

競争法・独占禁止法

 当社は、衣料品・雑貨の販売を行っていますが、店舗改装のため、店内の商品をセールで処分したいと考えています。そこで、「改装前売り尽くし半額セール」と書かれた折り込みチラシを近隣に配布する予定です。店内商品には一部半額セール対象外のものもありますが、半額セール対象外品は全商品の1割程度なので、チラシでは特に触れない予定ですが、問題があるでしょうか。

 一般消費者は、上記チラシの「改装前売り尽くし半額セール」という表示から、全商品が半額で販売されると認識するものと考えられます。しかし、実際には、1割程度の商品は半額で販売されないということであり、販売価格は一般消費者の商品選択にあたって重要な考慮要素ですので、チラシにおいて一部セール対象外品があることを適切に表示しないと、「有利誤認表示」として問題になると考えられます。

解説

有利誤認表示

 景表法が禁止する不当表示の類型に有利誤認表示があります。事業者は、自己の供給する商品等の価格その他の取引条件について、実際のものまたは競業他社が供給する商品等よりも著しく有利であると一般消費者に誤認される表示を行ってはならないとされています(景品表示法5条1項2号)。例えば、実際の販売価格と異なる(よりも安い)価格を記載して広告するような場合が典型例です。

強調表示と打消し表示

強調表示

 強調表示とは、自己の販売する商品等について、一般消費者に訴求するために、断定的表現または目立つ表現を使って、品質等の内容や価格等の取引条件を強調した表示をいうとされます。

打消し表示

 しかし、強調表示だけでは実際の商品等の内容や取引条件が一般消費者に正確に伝わらない場合もあるため、事業者は、一般消費者が強調表示からは通常は予期できない事項(例えば、例外条件、制約条件、追加的な費用を要する旨、特定の原材料が使用されているかのような表示をしているが実際には含まれていない旨等)であって、一般消費者が商品等を選択するにあたって重要な考慮要素となるものについては、別の表示(打消し表示)を行うことが必要となります(公正取引委員会事務総局「見にくい表示に関する実態調査報告書-打消し表示の在り方を中心に-」6頁。以下「報告書」といいます)。

一般消費者に誤認される表示

 一般消費者に誤認される表示といえるかどうかは、表示上の特定の文章、図表、写真等のみから一般消費者が受ける印象・認識により判断されるのではなく、表示全体から一般消費者が受ける印象・認識により判断されます。したがって、表示されたメリット事項の内容がそれだけを見れば真実であるとしても、事業者が一般消費者にとってデメリットとなる事項を適切に表示しないことにより、一般消費者に誤認される場合には、不当表示となるおそれがあると考えられます(真渕博編著「景品表示法(第4版)」57頁および58頁)。

設例の場合はどうなるか

 例えば、設例のように、「改装前売り尽くし半額セール」と書かれた折り込みチラシを配布した場合、チラシにおいて「改装前売り尽くし半額セール」という表示は一般に強調して記載されることになりますので、強調表示にあたると考えられます。 設例の場合であれば、表示を見た一般消費者は、この店舗の全商品が半額で販売されると認識すると考えられ、半額セール対象外品の存在は通常は予期できないと考えられます。
 しかし、実際には、店舗内商品について1割程度の半額セール対象外品があるというこということであり、価格は言うまでもなく一般消費者が商品等を選択するにあたって重要な考慮要素ですので、半額セール対象外品の存在について適切な打消し表示を行わなければ、実際の販売価格と異なる(よりも安い)価格を記載したとして、有利誤認表示にあたるおそれがあります。

適切な打消し表示の方法

 強調表示とあわせて打消し表示を行っても、打消し表示が強調表示と離れた場所に記載されていたり、強調表示に比べて著しく小さい字で記載されていたり、打消し表示が不明瞭な場合には、商品等の内容や取引条件が一般消費者に正確に理解されないおそれがあり、当該商品等に関する表示が景表法に違反するおそれがあります。
 報告書によれば、打消し表示を行うにあたっては、打消し表示の配置箇所(強調表示に近接した箇所に併記することが望ましい)、強調表示と打消し表示の文字の大きさのバランス、打消し表示の文字の大きさ(目安として8ポイント以上)、その他文字間余白・行間余白や背景の色(打消し表示と対照的な色の組み合わせにすることが必要)に留意すべきであるとされています。

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