未来投資戦略 2017 - Society 5.0 の実現に向けた改革 - 「稼ぐ力」の強化(コーポレートガバナンス改革)

ファイナンス

※本記事は、三菱UFJ信託銀行が発行している「証券代行ニュース No.141」の「特集」の内容を転載したものです。

未来投資戦略 2017 - Society 5.0 の実現に向けた改革 -

 6月9日、「未来投資戦略 2017 - Society 5.0 の実現に向けた改革 - 」が閣議決定されました。 これによると、アベノミクスの下で経済の好循環は着実に拡大しているものの、民間の動きはいまだ力強さを欠いており、これは「長期にわたる生産性の伸び悩み」、「新たな需要創出の欠如」に起因しているものと分析しています(長期停滞)。

 そして、この長期停滞を打破し、中長期的な成長を実現していく鍵は、近年急激に起きている第4次産業革命(IoT、ビッグデータ、人工知能(AI)、ロボット、シェアリングエコノミー等)のイノベーションを、あらゆる産業や社会生活に取り入れることで、「Society 5.0」を実現することにあるとしています。「Society 5.0」は、先端技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れ、「必要なモノ・サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供する」ことにより、様々な社会課題を解決する試みであるとしています。

 また、施策の1つとして、『「稼ぐ力」の強化(コーポレートガバナンス改革)』についても明示されていますので、今回の特集は、その内容をご紹介します。

【(目次)「未来投資戦略 2017 - Society 5.0 の実現に向けた改革 - 」ポイント】

課題1:企業と投資家の建設的な対話の促進

  • 機関投資家による実効的なスチュワードシップ活動が必ずしも行われていない。機関投資家による議決権行使結果の公表が不十分であり、議決権行使の透明性を懸念する指摘や、アセットオーナーによるスチュワードシップ活動等が十分に行われていないとの指摘が存在する。
  • 企業と投資家の対話の基盤となる開示については、対話に必要な情報が十分に開示されていないとの指摘や、複数媒体に開示がまたがっており、投資家にとって分かりにくいとの指摘、企業や投資家の行動が短期主義化している背景の一つに四半期開示があるのではないかといった指摘が存在する。対話の主要な場である株主総会も短期間に集中し、総会議案について十分な情報と時間的余裕をもって対話しがたい状況である。企業を取り巻く経営環境の変化への対応等についての情報提供の重要性も増大している。

【課題解決に向けた取組み】

  • 「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」(以下「フォローアップ会議」という)における議論・検討等を通じて、機関投資家によるガバナンス・利益相反管理の強化や議決権行使結果の公表の充実、アセットオーナーによる運用機関に対するモニタリング等、実効的なスチュワードシップ活動に向けた取組等を促していく。
  • 株主総会の招集通知添付書類の原則電子提供について、法制審議会に設置した部会において検討を行い、結論を得る。
  • ESG 要素も念頭に置いた中長期的な企業価値向上に資する開示を含む情報提供や対話、投資手法の普及・発展を図る。
  • 事業報告等と有価証券報告書の一体的開示については、引き続き、関係省庁等が共同し、異なる制度間で類似・関連する記載内容の共通化が可能な項目について必要な制度的な手当て、法令解釈や共通化の方法の明確化・周知等について検討を加速し、本年中に成案を得る
  • 金融審議会において、十分かつ公平な情報開示を確保するとともに、上場企業の経営戦略・ガバナンス情報等を含め、上場企業と投資家との建設的な対話等に資する情報開示の在り方について、幅広い関係者の意見を聞きながら総合的に検討し、成案を得たものから本年度中に順次取組を開始する
  • 四半期開示について、義務的開示の是非を検証しつつ、更なる重複開示の解消や効率化のための課題や方策等を検討し、来年春を目途に一定の結論を得る

課題2:経営システムの強化

  • コーポレートガバナンス改革が、コーポレートガバナンス・コード等への形式的な対応に留まっているとの指摘が存在する。
  • 取締役会において、将来の経営戦略についての十分な議論がなされていない、適切な社外取締役候補者を探すことに困難を来すことがある等の課題が存在する。また、経営陣候補者の指名や後継者育成について、公正性・客観性が十分確保されていない、業績連動報酬を含む経営陣への適切なインセンティブ付けが不十分といった指摘が存在する。
  • 退任社長・CEO が相談役・顧問として当該企業において一定の役割を果たす慣行が存在する。企業経営に不透明な影響を及ぼしている場合があり、適正なガバナンス機能を阻害しているのではないかとの懸念が存在する。

【課題解決に向けた取組み】

  • フォローアップ会議における議論・検討等を通じて、上場企業における客観性・適時性・透明性ある形でのCEOの選解任や、必要な資質・多様性を備えた取締役会の構成、戦略等を重視した取締役会の運営、これらに対する適切な評価などの取組の強化を促していく。
  • コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針」(CGSガイドライン)(平成29年3月31日経済産業省策定)の周知を進める。企業における指名・報酬委員会の活用状況、経営経験者の社外取締役についての活用状況、インセンティブ報酬に関する導入・開示の状況等を本年度中に分析・公表する
  • 退任した社長・CEOが就任する相談役、顧問等について、氏名、役職・地位、業務内容等を開示する制度を株式会社東京証券取引所において本年夏頃を目途に創設し、来年初頭を目途に実施する

課題3:事業再編の円滑化

  • 企業において、大胆な経営判断が必ずしも十分になされておらず、変革よりも現状維持に力点がおかれている。その結果、収益性が低い事業を抱え込み続けており、事業ポートフォリオの機動的な見直しや、経営資源を成長性・収益性の見込める事業に振り向けていくための取組が進んでいない。

【課題解決に向けた取組み】

  • 事業ポートフォリオの迅速な転換など大胆な事業再編を促進するための方策について関係制度の検討を行い、来年度を目途に制度的対応を講ずる。
問い合わせ先

三菱UFJ信託銀行
法人コンサルティング部 会社法務コンサルティング室
03-6250-4354
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