不動産を信託した信託受益権とは

ファイナンス

 不動産を信託した信託受益権とは何でしょうか。

 信託受益権とは、信託に基づく受益を受ける権利・義務を総称したものです。
 信託される財産が不動産(土地および定着物の所有権、地上権、土地の賃借権等)および不動産の附従物や関連する動産(建物内に設置されるクーラー等の設置物等、これらを「不動産等」といいます)である信託を不動産信託といいます。
 不動産信託の信託受益権は、主に不動産の運用により得られた収益や処分代金から運用・処分等に要する費用を控除したものを受領する権利、運用・処分に関する指図が中心的なものです。

解説

不動産信託について

 不動産等を信託した場合、①不動産および附従物・関連動産の所有者は受託者(基本的には信託銀行)となり、②固定資産税は受託者が納税義務者となり、③不動産取得税は基本的に発生せず、④不動産の信託に伴う登記(受託者に対する権利の移転登記及び信託財産であることの登記)が行われます(不動産登記法98条、登録免許税法9条、租税特別措置法71条等)。
 信託受益権は、金融商品取引法において有価証券と定義されており(金融商品取引法2条14号、2条2項)、原則として、取引に対して(売主、買主、仲介者等に対して)金融商品取引法が適用されます。

不動産信託

信託受益権に対する担保権の設定

 不動産等の信託受益権を取得する資金を貸し付ける場合、信託受益権に対する質権を設定し、不動産に対する抵当権等は、信託の終了を条件として停止条件付きで設定するケースが基本です(受託者から当該設定に同意を取得することにより、信託終了時に第三者の権利に優先して貸付人の貸金を被担保債権とする抵当権等が設定されることが確保できます)。

信託受益権は活用されているか

 実物不動産以外の形態による不動産取引は増加しつづけており、特に信託受益権形態での取引は、法人間取引の過半を占めるとも言われています。
 活用されている理由としては現物不動産の売買と比べてコスト面でメリットがあることや集団投資スキーム(他社から金銭などの出資・拠出を集め、当該金銭を用いて何らかの事業・投資を行い、その事業から生じる収益等を出資・拠出者に分配する仕組みのことをいいます)を組成する場合にメリットがあることが挙げられます。
 一方で各種の規制などに伴い注意しなければならない点もあります。
 信託受益権も含めた実物不動産以外の投資スキームの種類、内容については「不動産への投資スキームにはどのような形態があるか」を、各スキームの注意点については「実物不動産以外の形態による不動産投資のメリット・デメリット」を参照ください。

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