外国籍ファンドの国内販売にあたり必要な法的注意点

ファイナンス

 外国籍ファンドとは何ですか。外国籍ファンドを国内販売するにあたり、法的にはどのような点に注意する必要がありますか。それは外国籍ファンドの種類によって異なりますか。

 外国籍ファンドとは、外国法を準拠法として外国で組成または設立されるファンドをいいます。外国籍ファンドを国内販売するためには、金融商品取引法上の開示規制や業規制を遵守する必要があります。また、ファンドの種類により別途、投資信託及び投資法人に関する法律(投信法)上の届出が必要となります。外国籍ファンドの国内販売にあたり適用される金融規制は、外国籍ファンドの種類により大きく異なりますので注意が必要です。

解説

外国籍ファンドとは

外国籍ファンドとは

 外国籍ファンドとは、外国法を準拠法として外国で組成または設立されるファンド(ファンドの意味については、【連載】ファイナンス法の基礎「第3回 ストラクチャード・ファイナンス / アセット・ファイナンスとは?」参照)をいいます。

外国籍ファンドの種類

 外国籍ファンドは、国内ファンド同様、会社(法人)型信託型組合型(参照:【連載】ファイナンス法の基礎「第3回 ストラクチャード・ファイナンス / アセット・ファイナンスとは?」)に分類されます。なお、会社(法人)型と対比する意味で、信託型と組合型を総称して契約型といいます。
 外国籍ファンドは、国内ファンドのどの種類(会社型、信託型、組合型の分類とその具体的種類)に「類する」かにより、さらに種類がわかれます。本稿では代表的な種類として以下の3つを取り上げます。

(1)会社型:外国投資法人

 外国投資法人とは、外国の法令に準拠して設立された法人たる社団または権利能力のない社団で、(国内ファンドである)投資法人(参照:【連載】ファイナンス法の基礎「第4回 アセット・マネジメントとは?」)が発行する投資証券新投資口予約権証券または投資法人債券類する証券を発行するものをいいます(投信法2条25項)。
 外国投資法人の代表例としては、ケイマン諸島の免税会社(Exempted Company)やルクセンブルクの(UCITS:Undertakings for Collective Investment in Transferable Securities1のうち)SICAV(Societe d'investissement a Capital Variable)などがあげられます。

(2)信託型:外国投資信託

 外国投資信託とは、外国において外国の法令に基づいて設定された信託(参照:【連載】ファイナンス法の基礎「第3回 ストラクチャード・ファイナンス / アセット・ファイナンスとは?」)で、投資信託(参照:【連載】ファイナンス法の基礎「第4回 アセット・マネジメントとは?」)に類するものをいいます(投信法2条24項)。
 外国投資信託の代表例としては、ケイマン諸島のユニット・トラスト(Unit Trust)やルクセンブルクの(UCITSのうち)FCP(Fonds Commun de Placement)などがあげられます。

(3)組合型:外国集団投資スキーム持分

 外国集団投資スキーム持分とは、外国の法令に基づく権利であって、(狭義の)集団投資スキーム持分(参照:【連載】ファイナンス法の基礎「第3回 ストラクチャード・ファイナンス / アセット・ファイナンスとは?」)に類するもの (金融商品取引法2条2項6号)をいいます。
 外国集団投資スキーム持分の代表例としては、リミテッド・パートナーシップがあげられます。リミテッド・パートナーシップとは、GP(General Partner;無限責任を負う代わりに業務執行権を有するパートナー)とLP(Limited Partner;有限責任しか負わない代わりに業務執行権を有しないパートナー)を構成員として組成されるパートナーシップをいいます(無限責任と有限責任については、【連載】ファイナンス法の基礎「第2回 コーポレート・ファイナンスとは?」参照)。

外国籍ファンドの国内販売上の注意点

規制の全体像

 外国籍ファンドの国内販売にあたっては、一般論として、以下のような金融規制が問題となります(参照:【連載】ファイナンス法の基礎「第5回 金融規制法」、「第4回 アセット・マネジメントとは?」)。

(1)金融商品取引法上の業規制

(i) 金融商品取引法上の登録(ライセンス)要否と種類
(ii) 行為規制

 本稿では、国内販売会社に関する上記(i)のみを取り上げます。登録の要否と種類は、販売される外国籍ファンドの有価証券該当性とその種類(参照:「金融商品取引法における発行開示規制とは」)により異なります。

(2)金融商品取引法上の開示規制

 本稿では、発行開示規制のうち私募による場合(参照:「金融商品取引法における発行開示規制とは」)のみを取り上げます。

(3)投信法上の届出義務

 外国投信法人または外国投資信託(以下総称して外国投信といいます)を国内販売する場合に適用されます。

国内販売会社による外国投信の国内販売

(1)金融商品取引法上の業規制

 外国投信の場合、①外国投資法人の発行する投資証券(株式)および投資法人債券(社債)、②外国投資信託の受益証券(受益権)のいずれも、第一項有価証券に該当します。よって、これらを国内販売するには第一種金融商品取引業の登録が必要となります。
 なお、外国籍ファンド自身外国投資信託を販売する場合、金融商品取引法上の自己募集に該当し、第二種金融商品取引業の登録が必要となります(外国投資法人の場合にはこの規制の適用はありません)。

(2)金融商品取引法上の開示規制

 外国投信を私募で国内販売する場合、(公募の場合に必要となる)有価証券届出書の提出義務や目論見書の交付義務は適用されませんが、私募要件として転売制限告知義務が課されます。転売制限と告知義務の具体的内容は、外国投信法人または外国投資信託のいずれか、少人数私募プロ私募のいずれかにより異なります。

 参照:「金融商品取引法における発行開示規制とは

(3)投信法上の届出義務

 外国投信を国内販売するにあたっては、あらかじめ投信法上の届出を行う必要があります(投信法58条1項、220条1項)。

国内販売会社による外国集団投資スキーム持分の国内販売

(1)金融商品取引法上の業規制

 外国集団投資スキーム持分は第二項有価証券に該当するため、これを国内販売するには第二種金融商品取引業の登録が必要となります。
 なお、外国籍ファンド自身が外国集団投資スキーム持分を販売する場合、金融商品取引法上の自己募集に該当し第二種金融商品取引業の登録が必要となりますが、その適用除外として適格機関投資家等特例業務があります(参照:【連載】ファイナンス法の基礎「第4回 アセット・マネジメントとは?」)。

(2)金融商品取引法上の開示規制

 外国集団投資スキーム持分は第二項有価証券に該当するため、①有価証券投資事業権利等についてのみ開示規制が課されており、また、②私募該当性は取得勧誘に応じて取得(所有)した者の数が基準となります(参照:「金融商品取引法における発行開示規制とは」)。

(3)投信法上の届出義務

 外国集団投資スキーム持分を国内販売する場合には、投信法上の届出義務は適用されません。

外国籍ファンドの国内販売と「勧誘」該当性

 以上のような外国籍ファンドの国内販売の多くは、外国籍ファンドの取得勧誘が行われる場合に適用されます(参照:「金融ライセンスの必要性と種類」)。


  1. EUの法律に従って設立・運用されている投資ファンド ↩︎

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