銀行法上の電子決済等代行業に該当するケース

ファイナンス

 銀行法の平成29年改正により新設された電子決済等代行業の制度が開始されたと聞きました。電子決済等代行業が新設されたことにより当社の業務に何らかの影響があるかを知りたいため、電子決済等代行業にはどのようなケースが該当するのか、実務上の例を教えてください。

 預金口座に関する決済指図等の伝達などの取扱いを含むサービスや業務については、制度上は広く電子決済等代行業に該当する可能性があります。そのため、実務上は、以下の例の内容も踏まえつつ、一度、電子決済等代行業に該当するかどうかを検討しておくことが有益です。

解説

電子決済等代行業制度の法令上の類型については「銀行法上の電子決済等代行業の定義」、電子決済等代行業を営むにあたってのルールについては「電子決済等代行業者に課される規制の概要」をご参照ください。

 どのようなケースが電子決済等代行業に該当するのかに関し、銀行法改正に関するパブリックコメント(金融庁「「銀行法施行令等の一部を改正する政令等(案)」に対するパブリックコメントの結果等について」(2018年5月30日))(以下「パブコメ」といいます)において様々な考え方が示されていますので、その内容も踏まえ、一例を紹介します。

典型例として該当するケース

 まず、ネットバンキング等のサービスに関して、オンラインで決済指図や指図の内容を伝達する形で実施される即時の銀行振込等を実行するサービスは更新型(改正銀行法2条17項1号)の電子決済等代行業に該当します。また、当然のことながら、いわゆる家計簿アプリ等の預金口座の情報を参照できるサービスについても、参照型(改正銀行法2条17項2号)の電子決済等代行業に該当します。更新型と参照型の違いについては、「銀行法上の電子決済等代行業の定義」をご参照ください。

 さらに、預金口座と連携した決済手段であるペイジー(Pay-easy)については、「「情報リンク方式」においては、預金者からの指図(委託)により、当社は、ネットワーク(電子情報処理組織)を介して、銀行に対する指図の内容の伝達が発生すると思料しており、当社が行う預金者からの指図の受領及び銀行への伝達は、電子決済等代行業に該当すると理解している」との内容を含む照会に対し、「貴見のとおりと考えられます」との回答が示されており(パブコメ18番)、情報リンク方式のペイジーを利用するケースも更新型の電子決済等代行業に該当することが示唆されています。

 以上のようなサービスの電子決済等代行業該当性については、論点の認識が相当程度進んでいるものと思われますが、今後、新たなサービスを検討する際にも、以上のようなサービスを含む場合には電子決済等代行業の論点を忘れずに検討することが重要でしょう。

該当性について個別検討が必要なケース

 電子決済等代行業については、改正法の定義に該当する場合であっても、一部のケースについて登録を要しないこと(適用除外)とされています

定期支払・自己宛送金・公金

 まず、「預金者による特定の者に対する定期的な支払を目的として行う行為」は適用除外とされています(改正銀行法施行規則1条の3の3第1号)。これは、口座振替などの定期的な支払を適用除外とする趣旨の規定と考えられます。
 この点については、たとえば、あらかじめ支払時期やサイクルが特定されていれば、月次だけではなく、年次や日次も可能であることが示されているなど(パブコメ40番・41番)、比較的広いケースに当てはまる適用除外となる可能性があります。そのため、関連するサービスや業務等が想定される事業者にとっては、この適用除外が検討の一つのポイントとなるものと思われます。

 また、預金者が他行に開設する自己名義口座への送金など(パブコメ56番)を想定して、「預金者による当該預金者に対する送金を目的として行う行為」(改正銀行法施行規則1条の3の3第2号)が適用除外とされているほか、税金などの公金の支払や地方公共団体が運営する公立学校や地方競馬の賭金の支払など(パブコメ59番・60番)を想定した適用除外も設けられています(改正銀行法施行規則1条の3の3第3号)。

売買等に付随する行為

 さらに、「預金者による商品の売買契約又は役務の提供に係る契約の相手方に対するこれらの契約に係る債務の履行のみを目的として、当該相手方又は当該契約の締結の媒介…を業とする者(以下この号において「相手方等」という。)が当該契約に基づく取引に付随して行う行為であって、当該行為に先立って、法第二条第十七項第一号の銀行と当該相手方等との間で当該履行に用いる方法に係る契約を締結しているもの」も適用除外とされています(改正銀行法施行規則1条の3の3第4号)。

 この適用除外の対象としては、売買契約等に係る債務の履行のみを目的とする取引に付随して行う行為が除外されることになりますので、たとえば、商品の売買契約や役務提供契約などを締結した事業者が、その売買代金やサービス代金を受領するために指図の伝達等を実施する場合が適用除外となるものと解されます。このような考え方を考慮した場合、かかる適用除外は、オンラインショッピングモール運営事業者も含め(パブコメ84番参照)、ECサイトの展開などにおいて電子決済等代行業の登録を要しないことになる帰結を導きますので、実務上非常に重要な適用除外と評価できます。

 また、「貸金業者への返済、保険料支払、証券会社・先物取引業者・仮想通貨交換業者、電子マネーへの入金、非営利団体への寄付、日本中央競馬会への代金支払い」も、この適用除外の対象となるものとされていますので(パブコメ69番)、金融サービスにおける各種の支払においても重要な検討のポイントとなります。

実務の対応で求められる視点

 以上のとおり、様々な類型の適用除外が規定されていますので、電子決済等代行業に該当しそうなケースにおいても、登録を要するかどうかを最終的に確定させるためには、上記の適用除外を踏まえた検討を行うことも必要です。

 なお、その他にも、たとえば、「顧客の委託を受けて他行に開設した子会社の預金口座や支店の預金口座の残高を確認する行為を営業として行う場合(参照系CMS)」は、「法第2条第17項第2号に規定される電子決済等代行業」であるものとされ、「親会社である顧客の委託を受けて子会社が他行に開設した預金口座の残高を顧客が自行に開設した口座に送金するよう他行に指図する行為を営業として行う場合(更新系CMS)」などについても、「一般論としては、ご指摘の場合は、電子決済等代行業に該当するものと考えられます」といった回答が示されています(以上につき、パブコメ6番参照)。
 これらの考え方を踏まえると、電子決済等代行業への該当性を必ずしも意識していないサービスや業務等についても論点となる可能性がありますので、預金口座に関連する業務等については、幅広く該当性を検討する視点も重要です。

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