マネロン・テロ資金供与対策に係る方針・手続・計画等の策定・実施・検証・見直し(PDCA)

ファイナンス

 マネロン・テロ資金供与対策において、方針・手続・計画等の策定・実施・検証・見直しはどのように位置づければよいでしょうか。

 金融機関等において、実効的なマネロン・テロ資金供与リスク管理態勢を確立し、有効に機能させるためには、マネロン・テロ資金供与対策の方針・手続・計画等を整備し、全社的に共有を図ることが必要です。
 金融機関等は、自らの規模・特性等を踏まえながら、リスクの特定・評価・低減という一連の対応を明確に位置付ける必要があります。
 また、金融機関等においては、こうした方針・手続・計画等の実効性を検証し、不断に見直しを行っていくことが求められます。

解説

マネロン・テロ資金供与対策に係る方針・手続・計画等の策定・実施・検証・見直し(PDCA)の意義(AML/CFTガイドラインIII-1)

 金融機関等において、実効的なマネロン・テロ資金供与リスク管理態勢を確立し、有効に機能させるためには、マネロン・テロ資金供与対策の方針・手続・計画等を整備し、全社的に共有を図ることが必要です。

 こうした方針・手続・計画等は、金融機関等におけるリスクに見合った対応の実効性を確保するためのものであり、これらの方針・手続・計画等の中で、自らの規模・特性等を踏まえながら、リスクの特定・評価・低減という一連の対応を明確に位置付ける必要があります。
 また、金融機関等においては、こうした方針・手続・計画等の実効性を検証し、不断に見直しを行っていくことが求められます。

 リスクの特定・評価・低減の各プロセスの実効性を検証するためには、マネロン・テロ資金供与対策に係る担当役員や主管部門における定期的な監視のほか、内部監査部門における各部門・営業店等へのマネロン・テロ資金供与対策の浸透状況の確認等を行うことが重要となります。
 こうした検証の結果、各プロセスにおける措置や管理態勢に更なる改善の余地がないか改めて検討し、必要に応じリスクの特定・評価・低減のための方針・手続・計画等や管理態勢等につき、改善を図っていくことが求められます。

対応が求められる事項

 マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン(以下、「AML/CFTガイドライン」)においては、マネロン・テロ資金供与対策に係る方針・手続・計画等の策定・実施・検証・見直し(PDCA)に関して、以下の事項が「対応が求められる事項」とされています。

  1. 自らの業務分野・営業地域やマネロン・テロ資金供与に関する動向等を踏まえたリスクを勘案し、マネロン・テロ資金供与対策に係る方針・手続・計画等を策定し、顧客の受入れに関する方針、顧客管理、記録保存等の具体的な手法等について、全社的に整合的な形で、これを適用すること(AML/CFT対策に係る方針・手続・計画等の策定
  2. リスクの特定・評価・低減のための方針・手続・計画等が実効的なものとなっているか、各部門・営業店等への監視等も踏まえつつ、不断に検証を行うこと(AML/CFT対策に係る方針・手続・計画等の実行性の不断の検証
  3. リスク低減措置を講じてもなお残存するリスクを評価し、リスク低減措置の改善や管理部門による更なる措置の実施の必要性につき、検討すること(残存リスクの評価・リスク低減措置の改善・更なる措置の必要性の検討
  4. 管理部門及び内部監査部門において、例えば、内部情報、内部通報、職員からの質疑等の情報も踏まえて、リスク管理態勢の実効性の検証を行うこと(管理部門・内部監査部門によるリスク管理態勢の実効性の検証
  5. 前記実効性の検証の結果、更なる改善の余地が認められる場合には、リスクの特定・評価・低減のための手法自体も含めた方針・手続・計画等や管理態勢等についても必要に応じ見直しを行うこと(方針・手続・計画等や管理態勢等の必要に応じた見直し

 上記①の「マネロン・テロ資金供与対策に係る方針・手続・計画等」は、FATF勧告における「マネロン・テロ資金供与対策プログラム」と基本的には同様のものであり、上記の趣旨を踏まえたものであれば、必ずしも「計画」について独立の文書を作成する必要はなく、「方針・手続」と併せて整備することも許容されるものと考えています。

 上記④における「管理部門及び内部監査部門におけるリスク管理態勢の実効性の検証」とは、たとえば、疑わしい取引の届出状況を分析し、届出の多い取引類型に係る既存の手続の実効性を検証するなど、様々な事項が考えられます。なお、マネロン・テロ資金供与リスク管理態勢に関する実効性の検証についての第2の防衛線と第3の防衛線の詳細な役割分担については、各金融機関等の組織構造等に応じて、様々な選択肢があり得ます。

 参照:経営管理における「三つの防衛線」

対応が期待される事項

 AML/CFTガイドラインでは、マネロン・テロ資金供与対策に係る方針・手続・計画等の策定・実施・検証・見直し(PDCA)に関して、以下の事項が「対応が期待される事項」とされています。

  1. マネロン・テロ資金供与対策を実施するために、自らの規模・特性・業容等を踏まえ、必要に応じ、所管する専担部室を設置すること
  2. 同様に、必要に応じ、外部専門家等によるレビューを受けること

 上記①の専担部署は、基本的には第2の防衛線である管理部門(コンプライアンス部門、リスク管理部門等)に設置することが考えられます。

 上記②の「外部専門家等」とは、マネロン・テロ資金供与対策に係る専門的知見を有する者であれば、弁護士やコンサルタントも該当しますが、必ずしもこれらに限られるという趣旨ではありません。外部専門家等による「レビューの対象」としては、たとえば、マネロン・テロ資金供与対策に係る方針・手続・計画等の策定・実施・検証・見直し(PDCA)について助言を受けることや、国際的なマネロン・テロ資金供与対策に係る水準とのギャップ及び金融機関等における課題についてレビューを受けることが考えられますが、これらに限定されるものではありません。  

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