メタタグを使用する際の留意点
知的財産権・エンタメメタタグについての問題は何ですか?
メタタグについては、商標の問題があります。競業他社の商標をメタタグに入れること等が問題です。
解説
メタタグとは、ウェブサイトに関する情報を記述するものであり、人間は読めないものの、検索エンジンの順位決定に(少なくとも過去において)影響を及ぼしていた。例えばメタタグに「日本加除出版」と書いていれば、本文に「日本加除出版」と記載がなくても、検索エンジンは、当該サイトが日本加除出版に関するものだろう、として取り扱ってくれるという仕組みである。
ところで、商標法2条3項8号の「広告を内容とする情報」には、ウェブページ上のバナー広告や自己のウェブページの出所を示す広告などを含むと解されている。そこで、他人の商標権が及ぶキーワードを人間が読むような形でサイトの本文に記載し、それが類似の商品に関する商標的使用(広告法 1 119頁)であれば、商標権侵害を構成し得る(注解商標法・上 2 120頁)。
ところが、メタタグは、人間が通常読める形ではないことから、そのような記載が「広告を内容とする情報」か、そうだとして「商標的使用」(『広告法律相談125問』Q30参照)かが問題となる。
ここで、IKEAの商標を買物代行業者が利用したところ、当該利用にメタタグとしての利用も含まれていたという事案(東京地判平成27.1.29判時2249−86)で、東京地裁はインターネットの検索エンジンの検索結果において表示されるウェブページの説明は、ウェブサイトの概要等を示す広告であるということができるから、これが表示されるようにhtmlファイルにメタタグないしタイトルタグを記載することは、役務に関する広告を内容とする情報を電磁的方法により提供する行為に当たるとした上で、検索エンジンの検索結果において、当該商標が買物代行業者サイトの内容の説明文ないし概要やホームページタイトルとして表示され、これらが買物代行業者のウェブサイトにおける家具等の小売業務の出所等を表示し、インターネットユーザの目に触れることにより、顧客が買物代行業者のウェブ サイトにアクセスするよう誘引するのであるから、メタタグないしタイトルタグとしての使用は、商標的使用に当たるということができるとした(同旨大阪地判平成17.12.8 判時1934−109)。
この事案においては、検索エンジンの検索結果において当該メタタグが表示されたことがその特殊性といえる。よって、検索結果においてメタタグが表示されない場合にも同様に考えるべきであるかについては、議論がされている(注解商標法・上120−121頁)。この点は、別稿の検索連動型広告と同様に一律ではなく個別的な判断をすべきと思われる。

- 参考文献
- 広告法律相談125問
- 著者:松尾剛行
- 定価:本体 2,700円+税
- 出版社:日本加除出版
- 発売年月:2019年7月

桃尾・松尾・難波法律事務所