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事業再生ADRとはどのような手続きか

事業再生・倒産

 当社は数店舗の飲食店を経営しています。近年、売上が減少し借入金の返済が苦しくなっていたため、昨年、金融機関にリスケジュールをお願いしましたが、今年になって一部店舗の近くに競合店舗がオープンして売上がさらに減少してしまい、リスケジュール後の返済を続けることも正直苦しい状況です。メインバンクからは、事業再生ADRを利用してはどうかといわれているのですが、事業再生ADRとはどのような手続なのでしょうか。可能なのであれば、債務の一部免除を受けたいと思っています。

 事業再生ADRとは、法的整理手続ではないものの、一定の法令に基づき制度化された、企業の事業再生のための「準則型私的整理手続」の一つです。
 法的整理手続に準じた透明性、公平性、信頼性が認められる点や、一定の税務上のメリットがある点、事業再生計画の成立には対象債権者全員の同意が必要な点などに特徴があります。

解説

事業再生ADR手続とは

ADRとは

 ADR(Alternative Dispute Resolution)とは、裁判外紛争解決手続のことで、訴訟手続によらない紛争解決方法を広く指すものです。

事業再生ADR手続とは

 事業再生ADR手続は、法的手続(会社更生、民事再生等)によらない企業の事業再生のための私的整理手続のうち、裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(以下、ADR法といいます)や、産業競争力強化法等の根拠法令に基づき制度化された「準則型私的整理手続」の一つです。
 事業再生ADR手続は、ADR法および産業競争力強化法に基づく法務大臣の認証および経産相の認定を受けた「特定認証紛争解決事業者」である事業再生実務家協会(通称「JATP」)という100%民間の団体が、債務者企業と債権者間の合意、すなわち「和解」のために、斡旋者的に関与して行われます。

準則型私的整理手続の種類

 準則型私的整理手続としては、他に中小企業再生支援協議会による再生支援スキーム、REVIC(地域経済活性化支援機構)による再生支援スキーム、私的整理ガイドライン、特定調停等があります。

準則型私的整理手続の種類
  • 事業再生ADR手続
  • 中小企業再生支援協議会による再生支援スキーム
  • REVIC(地域経済活性化支援機構)による再生支援スキーム
  • 私的整理ガイドライン
  • 特定調停 等

事業再生ADR手続の流れと特徴・メリット

 事業再生ADR手続は、JATPの手続の主宰のもと、事業再生に通じた弁護士、公認会計士から選任された「手続実施者」が公正中立な立場から関与して進められます。

事業再生ADR手続の流れ

 具体的には、事業再生ADRの利用を申請した債務者企業(対象債務者といいます)が策定した「事業再生計画案」(経営が困難になった原因や事業の再構築のための方策、弁済計画等が記載されます)について、その適法性、合理性等に関する手続実施者の調査を受けるとともに、対象とされた債権者(対象債権者といいます)との間で合計3回の債権者会議及び期日間の面談等を通じて協議を行い、対象債権者全員一致の同意により事業再生計画を成立させることを目指します。

事業再生ADR手続の特徴とメリット

 事業再生ADR手続の特徴とメリットは、おおむね概要以下のとおりです(詳細については、JATPのホームページ等をご参照ください)。

参考:事業再生実務家協会(JATP)

対象・メリット等 内容
対象債務者 事業を行うものであれば制限はない。
なお、実際には比較的大規模な中小企業および大企業による利用が多いようです。
対象債権者 金融債権者(金融機関、保証協会、ノンバンク、サービサー等)。
原則として商取引債権者は含まない。
主宰者 事業再生実務家協会(JATP)
メリット
  1. 利害関係のない中立かつ公正な立場にあるJATPが主宰する点で、法的整理手続に準じた透明性、公平性、信頼性が認められる。
  2. 迅速性(標準的なスケジュールは3か月程度を目標とされています)
  3. 一時停止による資金流出の防止
  4. 手続の公表義務がない(法的整理手続と異なります)
  5. 原則として商取引債権は対象債権に含まれないため、取引先に迷惑をかけず、事業の毀損も可及的に回避しうる(法的整理手続と異なります)
  6. 税制措置(対象債務者、対象債権者のいずれにとってもメリットがあります)

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