抽選でAmazonギフト券が当たる! 2018年の企業法務を振り返るアンケート実施中

株主総会での取締役や監査役等の説明義務の範囲は

コーポレート・M&A

 取締役および監査役等の役員は、株主総会における株主からの質問に対して、どの範囲で、どの程度の回答・説明を行わなければならないのでしょうか。
 また、株主が、質問に対して回答する取締役を指名した場合、どのように対応すればよいでしょうか。要求どおり、指名された当該取締役が回答を行う必要があるのでしょうか。

 会社法上、取締役および監査役等は、株主が株主総会の目的事項の合理的な理解および判断をするために客観的に必要と認められる事項について、平均的な株主を基準として合理的な理解および判断を行いうる程度に説明を行う義務を負います。
 株主が特定の取締役等を指名して説明を求めたとしても、会社はこれに応じる義務はなく、当該質問に対して適切な説明をなしうる者を議長が指名し、その者が十分な回答を行えば足ります。

解説

株主総会での説明義務とは

 会社法上、取締役、会計参与、監査役および執行役(以下「取締役等」といいます)は、株主の質問に応じて説明をする義務説明義務)があります(会社法314条)。会議体の一般原則からすれば、株主が株主総会に出席してその目的事項について質問をすることができるのは当然であり、その当然の権利を取締役等の説明義務として裏側から明文化したものが会社法314条です。

 むしろ会社法314条は、以下に説明するとおり、取締役等が説明を拒絶することができる場合を明文化している点と、株主が事前に質問事項を通知することにより回答に調査を要するとの理由での説明拒絶ができなくなる点にその意義があります。  

説明を拒絶することができる場合

 取締役等は、株主からの質問に対して無限定に説明義務を負うものではなく、以下の場合には説明義務を負いません(会社法314条ただし書、会社法施行規則71条)。

  1. 説明を求められた事項が株主総会の目的事項に関しないものである場合
  2. その説明をすることにより株主の共同の利益を著しく害する場合
  3. 株主が説明を求めた事項について説明をするために調査が必要である場合(ただし、株主から相当期間前に事前質問がなされていた場合および調査が著しく容易である場合は除く)
  4. 説明を求められた事項について説明をすることにより会社その他の者(質問をした当該株主を除く)の権利を侵害することとなる場合
  5. 当該株主総会について実質的に同一の事項について繰り返し説明を求められた場合
  6. その他正当な理由がある場合

説明義務の範囲・程度

 取締役等の説明義務は、「特定の事項」(会社法314条)に関する質問について発生する義務であり、株主の発言が単なる意見表明であったり、発言の趣旨が不明確で質問の内容を理解できなかったり、一般的抽象的な質問であった場合には、説明義務は生じません。

 もっとも実際には、このような不明確な質問がなされた場合であってもただちに説明を拒否するのではなく、議長が株主の不明瞭な発言の真意を確認して「只今のご質問は、当社の○○に関して、○○の○○をお尋ねになる質問と理解いたしました」などと、株主の質問を特定した上で回答者を指名して質問に回答することが望ましいでしょう。

 取締役等は、株主が株主総会の目的事項の合理的な理解および判断をするために客観的に必要と認められる事項について説明義務を負うとされ、説明の程度は、質問を行った当該株主を基準とするのではなく、平均的な株主が決議事項について合理的な理解および判断を行いうる程度の説明を要するとされています(東京スタイル事件(東京地裁平成16年5月13日判決)。

回答義務者について

 取締役等の説明義務は、株主が会議の目的事項を合理的に判断できるようにするために認められているものです。したがって、 説明義務が尽くされたか否かの判断にあたっては、 説明の内容が株主にとって上記のような判断をなしうる程度に十分であったか否かが重要であり、「誰が回答をしたか」という点は本質的な事項ではありません

 そこで、ある株主が、特定の取締役等を指名して説明を求めたとしても、会社はこれに応じる義務はなく、当該質問に対して適切な説明をなしうる者を議長が指名し(議長自身や担当役員等、質問に応じて分担するのが適切でしょう)、その者が十分な回答を行えば足ります。

関連する実務Q&A

無料会員登録で
リサーチ業務を効率化

90秒で登録完了

無料で会員登録する