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新株予約権とその主な用途

コーポレート・M&A

 新株予約権とはどのようなものでしょうか。実務上、どのような用途で活用されているのでしょうか。

 新株予約権とは、株式会社に対して行使することにより当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利をいいます(会社法2条21号)。
 実務上、新株予約権は、役員・従業員等へのインセンティブ報酬や退職慰労金制度の代わりとして利用されるケース、買収防衛策として利用されるケース、資金調達手段として利用されるケースなどがあります。さらに、業務提携やM&Aでの利用など、幅広い用途で活用されています。

解説

新株予約権とは

 新株予約権とは、株式会社に対して行使することにより当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利をいいます(会社法2条21号)。新株予約権者は、あらかじめ定められた期間(行使期間)内にあらかじめ定められた価額(権利行使価額)を会社に払い込むことにより、権利を行使した日に株主となります(会社法282条)。

 かつては、会社の役員・従業員に付与するストック・オプションや社債発行とともにする場合などに制限されていましたが、平成13年の商法改正により、役員・従業員等の限定なく誰にでも、また、株式や社債に付す必要なしに別個独立に権利そのものを発行することが一般的に許容されるようになりました。

 また、会社法において取得条項付新株予約権(会社法236条1項7号)や新株予約権無償割当て(会社法277条)などが整備されることにより、様々な用途で柔軟に活用することが可能となっています。

新株予約権の主な用途

 以下、新株予約権の主な用途について説明します。

①役員・従業員等へのストック・オプションとして

 新株予約権の付与対象者は、権利行使時の株価が高くなればなるほど、株式を安い対価で入手することができ、これが付与対象者の利益となるので、付与対象者に対して株価向上へのインセンティブを与えるものとなります。そこで、新株予約権は、役員・従業員等へのインセンティブ報酬として広く活用されています。また、退職慰労金制度の廃止に伴う代替として株式報酬型ストック・オプションを用いるケースが増えています。

 参照:「ストック・オプションの区別と、税制適格・非適格の別、損金算入の可否の関係

 さらに、報酬(労働や職務執行の対価)として新株予約権を付与するのではなく、算定された公正価値により新株予約権を時価発行し、付与対象者が発行会社に発行価格を払い込む「有償ストック・オプション」と呼ばれるスキームも、近年急速に増加しています。

②買収防衛策として

 買収防衛策としては、差別的行使条件(たとえば、「20パーセントを超える株式保有割合を有する株主以外の株主が行使できる」といったもの)を付した新株予約権を用いて、会社が敵対的買収者の保有する議決権を希釈化することにより、敵対的買収者による支配権の取得を防止するものが一般的です。

 具体的な類型としては、買収者が従うべきルールを会社があらかじめ定め、買収者がこれに反した場合にとる防衛策を公表しておき、買収者がこのルールを守らないときには防衛策としての新株予約権無償割当て(会社法277条)を行う方法(事前警告型買収防衛策)や、平時においてSPC(Special Purpose Company、特別目的会社)または信託銀行に対して差別的行使条件が付された新株予約権を無償または極めて低い価額で発行しておき、敵対的買収者の登場後にその時点の全ての株主に対してそれらの新株予約権を無償で分配するという方法(信託型ライツ・プラン)などがあります。

 参照:「新株予約権を用いた買収防衛策

③資金調達目的での利用

 資金調達の手段として新株予約権を用いる場合としては、上場会社が新株予約権無償割当て(会社法277条)の形で株主に割り当てるもの(ライツ・イシュー)のほか、あらかじめ新株予約権の行使条件を契約で定めたり、他の資金調達手段と組み合わせて第三者割当てを行うものなど(例として、エクイティ・コミットメントライン、新株予約権付ローン、行使価額修正条項付新株予約権(MSワラント)等)があります。特に、ライツ・イシューについては、平成21年の東京証券取引所の上場規程の改正等、近年制度整備が進められており、利用されるケースが増えつつあります。また、新株予約権付社債も、資金調達目的での新株予約権の活用例の一つといえます。

④業務提携やM&Aでの利用

 業務提携やM&Aの過程においては、株式の第三者割当増資を引き受けることにより対象会社に資本を提供し、経営支配権を取得する手法が見られますが、業務提携初期における資金負担を抑えつつ、業務提携の進捗状況や深度に応じて段階的に柔軟に資本を提供していく方法として、しばしば新株予約権の第三者割当てが利用されます。

まとめ

 以上のように、新株予約権は、会社法や上場規程等で制度整備が進められたこともあり、現在ではさまざまな用途で活用されています。また、「有償ストック・オプション」などの新たなスキームも出てきており、注目が集まっています。
 このように幅広い用途で活用されている新株予約権ですが、その導入に際しては発行会社、付与対象者、既存株主等への影響に配慮しつつ、用途ごとにメリット、デメリットを十分に検討するべきであるといえます。

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