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受取配当の益金不算入

税務

 法人税法における受取配当の取扱いについて教えてください。

 株式等保有割合に応じて受取配当の全部または一部が益金不算入とされます。ただ、資本剰余金の減少を伴う剰余金の配当はみなし配当として扱われるので注意が必要です。

解説

受取配当の益金不算入

 内国法人が受け取った剰余金の配当等の一部または全部は所得の金額の計算上、益金の額に算入されません(法人税法23条1項)。これは、法人を介して事業を行った場合に相対的に税負担が重くなることを回避するための措置です。

 すなわち、配当の原資となる利益に対しては法人税が課されています。その配当について、これを行った法人で損金の額に算入せず、これを受け取った法人で益金の額に算入するということになると、法人を介さない場合と比較して、相対的に税負担が重くなります。そこで、配当を受け取った側で、その一部または全部について益金の額に算入しないことによって、法人を介して事業を行った場合とそうでない場合との税負担の均衡を図っているわけです。

益金不算入の対象

 法人税法23条1項によって益金不算入となるのは、以下の取引です。

  1. 剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配(法人税法23条1項1号)
  2. 投資信託、投資法人から受け取る金銭の分配(法人税法23条1項2号)
  3. 資産の流動化に関する法律における特定目的会社の金銭の分配(法人税法23条1項3号)

 ここでいう「剰余金の配当」は、いわゆる借用概念とされ、会社法上の「剰余金の配当」と同義と解されています。ただ、法人税法23条1項1号は、剰余金の配当のすべてではなくて、利益剰余金を原資とする配当に適用を限定しています(法人税法23条1項1号かっこ書)。資本剰余金を原資とする剰余金の配当は、「みなし配当」として、法人税法23条1項とは異なる規律に服します(法人税法24条1項4号)。

 問題は、法人税法23条1項の適用対象とされている「剰余金の分配」の意義です。同項が、借用概念である「剰余金の配当」、「利益の配当」(持分会社において剰余金の配当に相当するもの。会社法621条1項参照)と並列的に掲げられていることからすると、「剰余金の分配」も、借用概念であって、協同組合等の剰余金の分配等を意味するものと解すべきようにも思えます。

 ただ、法人税法22条5項の解釈としてではありますが、法人税基本通達は、「剰余金の分配」とは、「剰余金の配当」以外の、株主等に対しその出資たる地位に基づいて供与した一切の経済的利益を含むとの解釈が採用されています(法人税基本通達1−5−4。そのため、資本等取引となり、損金不算入となります)。そうすると、法人税法23条1項1号においても、実質的な判断をする余地がありそうです(ただ、課税当局が所定の経済的利益をわざわざ剰余金の分配と認定して益金不算入とすることは考えにくいかもしれません。)。

 また、「剰余金の配当」の判定をどの単位で行うかという問題もあります。たとえば、同一の株主総会で、利益剰余金を原資とする剰余金の配当に係る議案と、資本剰余金を原資とする剰余金の配当に係る議案をそれぞれ承認可決した場合に、両者を一括して資本剰余金の減少を伴う配当として法人税法24条を適用すべきでしょうか。それとも、議案ごとに区別して、前者については法人税法23条、後者については法人税法24条をそれぞれ適用すべきでしょうか。この点については、配当の効力発生日が同一だったという事案で、一括して法人税法24条の規定を適用すべきとした裁決があります(国税不服審判所平成24年8月15日裁決)。

益金不算入割合

 受取配当のうち、益金不算入の対象となる割合は、以下のとおり当事者間の資本関係によって異なります(負債利子控除の計算方法は法人税法施行令22条参照)。

株式等の区分 株式等保有割合 益金不算入割合 負債利子控除
完全子法人株式等 100% 全額 なし
関連法人株式等 3分の1超 全額 あり
その他の株式等 5%超3分の1以下 50% なし
非支配目的株式等 5%以下 20% なし

 株式等保有割合に応じて益金不算入割合が異なるのは、企業グループ内の配当は実質的に同一企業の内部取引であるから、前述した趣旨が妥当するのに対して、持株比率も少なく一種の投資物件に過ぎない場合には、前述の趣旨が妥当せず、むしろ他の投資物件との均衡を図るべきとの考え方に基づいています。

 注意が必要なのは、完全子法人株式等および関連法人株式等の株式等保有割合は、その配当等の計算期間を通じて充足する必要があるというところです。計算期間とは、直近の配当等の額の支払に係る基準日の翌日から今回の配当等の額の支払いに係る基準日までの期間をいいます(法人税法施行令22条の3第2項、155条の10第2項)。これに対して、非支配目的株式等の株式等保有割合は、今回の配当等の額の支払に係る基準日で判定を行います。

 問題は、会社法上は比較的自由に基準日を設定できるということです。たとえば、株式等保有割合が3分の1超となった直後に、基準日を設定して臨時株主総会を開催して剰余金の配当を行えば(会社法124条参照)、当該配当後は形式的には関連法人株式等に該当することになります。ただ、恣意的に基準日を定めた場合には、認められない可能性があると思われます。

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