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訴訟の開始から終了までの大まかな流れと期間

訴訟・争訟

 当社は、当社が納入した製品に関連して、従前よりある顧客からクレームを受けていたのですが、先日とうとう、訴訟を提起されてしまいました。当社の社長は、この訴訟が解決に至るまでにどの程度の期間がかかるのかを非常に気にしています。実は、当社は最近、同業他社と合併の協議を開始したところであり、仮に協議がスムーズに進めば、3~4か月後には合併契約締結までこぎつけることができるかもしれないところ、この訴訟の存在が相手先企業からネガティブに捉えられることを社長は懸念しているようです。
 一般的に、訴訟の開始から終了までには、どの程度の期間がかかるものなのでしょうか。

 事件の性質にもよりますが、第一審の訴訟手続(判決言渡期日まで)に要する期間は1年前後となることが多く、上訴がなされる場合などさらに長期化する可能性もあります。

解説

はじめに

 まずはじめに、一般的な訴訟手続の流れを説明すると、以下のとおりです。
 原告から訴えが提起されると、裁判所は、第1回口頭弁論期日を指定し、被告を呼び出します。第1回口頭弁論期日においては、原告が訴状を陳述するとともに、被告が答弁書を陳述(被告欠席の場合は、擬制陳述)します。
 第1回口頭弁論期日以降は、おおむね1か月ごとに、口頭弁論期日ないし弁論準備期日が指定され、各期日において、原告および被告が交互にその主張を記載した準備書面を作成・提出・陳述します。
 その後、争点が整理された段階で、尋問の実施の要否が検討されます。原告または被告、あるいはその双方が尋問の実施を申し出て、裁判所もその必要性を認めたときは、証拠調期日が指定され、尋問が実施されます。
 証拠調期日に尋問が実施された後は、その期日か次の期日において弁論が終結され、判決言渡期日が指定されますが、判決までの間に和解期日が何度か開かれることもあります。
 上記が第一審の訴訟手続の大まかな流れですが、判決が言い渡された後、判決内容に不服のある当事者が上訴した場合には、上級審における訴訟手続が継続することになります。

【訴訟手続の流れのイメージ】

訴訟手続の流れ

法務省ホームページを参考に編集部作成

第一審の訴訟手続の流れ

第1回口頭弁論期日

 原告が裁判所に訴状を提出して訴えを提起すると、その事件の審理を担当することになった裁判所の係属部において、訴状の必要的記載事項(民事訴訟法133条2項)が記載されているか等の審査(訴状審査。民事訴訟法137条)を行います。訴状審査の結果、訴状に不備がないと認める場合、裁判所は、原告(通常は代理人弁護士)と連絡を取り、原告が裁判所に出頭できる日を確認して、その日を第1回口頭弁論期日として指定します(民事訴訟法139条)。なお、第1回口頭弁論期日は、特別の事由がある場合を除き、訴えが提起された日から30日以内の日に指定しなければならないとされています(民事訴訟規則60条2項)。そして、裁判所は、被告に訴状副本を送達する際に、これに付帯する形で呼出状を送付し、被告を第1回口頭弁論期日に呼び出します

 第1回口頭弁論期日は法廷で開かれ、そこではまず、原告が訴状を陳述します。なお、訴状その他の当事者の主張書面については、単に裁判所や相手方に提出するだけでなく、期日において当事者がその記載内容を陳述する必要があります(もちろん、一言一句すべて読み上げるというわけではなく、たとえば裁判所から「訴状陳述ということで宜しいですね」と促され、「陳述します」と答えるといったことが行われます)。

 そして、被告が第1回口頭弁論期日に出頭しているときは、あらかじめ提出している答弁書を被告が陳述することになります。もっとも、第1回口頭弁論期日においては、被告が欠席しても提出済の答弁書が陳述されたものとみなされるため(陳述擬制。民事訴訟法158条)、第1回口頭弁論期日を被告が欠席することも実務上はままあります。

続行期日(証拠調期日まで)

 第1回口頭弁論期日の終わりには次回期日が指定され、その後はおおむね1か月ごとに期日が開催されて、原告および被告が交互に主張・反論を行う(裏付けとなる証拠の提出も行う)ことになります。これらの期日は、続行期日と呼ばれます。

 続行期日は、公開の法廷で行われる口頭弁論期日として指定される場合と、(裁判官の執務スペースに程近い)弁論準備室にて非公開の手続として行われる弁論準備手続期日(民事訴訟法168条)として指定される場合とが、実務上はほとんどであると思われます。なお、どちらの手続が用いられるかについては、裁判官の好みによるところも大きく、使い分けについての明確なルールがあるわけではありません。

 続行期日において、原被告間の主張等のやり取りがなされること(事件の性質にもよりますが、2~3回は主張等の往復があるのが一般的です)で、①原被告の主張する事実につき、原被告間で争いのある事実は何か、②争いのある事実のうち、裁判所が証拠によって認定する必要がある事実は何か、③証拠による認定が必要な事実のうち、証人ないし当事者本人の尋問による立証が必要となる事実は何か、といったことが整理されてきます。このような争点整理を経て、訴訟は、尋問の実施の要否を検討する段階に入っていくことになります。

証拠調期日

 当事者の主張および(文書等の)客観的証拠による立証がおおむね終わり、争点が整理された後、当事者において、証人ないし当事者本人の尋問の実施を希望する場合は、証拠申出書を提出して、尋問の実施を求めることになります。証拠申出書には、証人等の氏名および住所、尋問の見込み時間、その証人等を当事者が同行するのか裁判所による呼出を求めるのか、証明すべき事実、その事実と証人等との関係、尋問事項等を記載します。また、同行の証人等については、その供述内容を記載した陳述書が作成され、証拠申出書とともに提出されるのが一般的です。裁判所は、争点整理の結果、証拠申出書および陳述書の記載内容等を踏まえ、尋問の実施の必要性を認める場合には、その証人等の尋問の採用を決定します。なお、裁判所は、その裁量によって尋問の採否を決定することができますので、たとえ当事者が申し出ても、裁判所が不要と考える証人等の尋問は実施されません(民事訴訟法181条1項)

 裁判所により証人ないし当事者本人の尋問が採用されると、その証人等の尋問が実施されることになりますが、かかる尋問を行う期日のことを、一般に証拠調期日といいます。実務では、裁判所は、訴訟経済の観点から、複数の証人等の尋問を実施する場合にも、できるだけ一期日でそのすべてを完了させようとすることが大半です。なお、尋問は、その証人等の尋問の実施を申請した当事者による主尋問、相手方による反対尋問の順で行われ(場合によっては、再主尋問、再反対尋問等も行われ)ますが、最後に裁判所が補充尋問を行うこともあります。複数の証人等の尋問の順序や、各証人等に対する主尋問・反対尋問の時間などは、あらかじめ当事者および裁判所の協議により決定されます。

証拠調期日以降の期日

 裁判所は、証拠調期日において予定された証人等の尋問がすべて終了した時点で、当事者の主張・立証が尽くされたものとして弁論を終結することもありますが、当事者に対し、尋問の結果を踏まえた最終的な主張を記載した最終準備書面を提出するよう指示し、証拠調期日の次の期日で、当事者に最終準備書面を陳述させたうえで弁論を終結することもあります。弁論終結後は、判決言渡期日が指定されることになります(なお、判決言渡期日は、原則として弁論終結の日から2か月以内に指定しなければならないとされています。民事訴訟法251条1項)。

 また、裁判所は、上記の弁論終結よりも前、あるいは、弁論終結後で判決言渡期日の前に、和解期日を指定して、当事者に対する和解の勧試を行うことが多くあります(民事訴訟法89条は、「裁判所は、訴訟がいかなる程度にあるかを問わず、和解を試み・・・ることができる」と定めていますが、実務上は、上記の段階で和解の勧試が行われることが最も多いものと思われます。ただし、尋問実施の直前に和解の勧試が行われることもあります)。この時点に至っては、基本的に当事者の主張・立証は尽きており、裁判所は判決を書こうと思えば書ける(心証が固まっている)状況にあるのが通常ですので、この時点で裁判所から和解案が示された場合、その和解案には裁判所の心証が反映されているということになります。したがって、仮に裁判所和解案が一方の当事者に不利な内容であったとしても、和解を拒絶すれば結局はその当事者に不利な内容の判決が出される可能性も高く、そのため裁判所和解案への諾否は慎重に検討すべきことになります。

訴訟手続に要する期間

 上記の第一審の訴訟手続に要する期間は、事件の性質(当事者の数、事実関係の複雑さ、法的論点の多様性や新規性等)にもよりますが、1年前後となることが多いように思われます。たとえば、裁判所に訴状が提出された約1か月後に第1回口頭弁論期日が指定され、引き続いて当事者間の主張のやり取りが半年程度続き、その後、当事者が尋問の申出をして裁判所がこれを採用し、証拠調期日において尋問が実施されるまでに2か月、その1か月後の期日で最終準備書面が提出されて弁論が終結、2か月後に判決言渡し、といったスケジュールが想定されます。もっとも、当事者間に実質的に争いがないような事件(たとえば、貸金請求訴訟で、被告が弁済をしないのは単に資力がないだけという事件)は、2~3か月で判決に至ることもありますし、そうでなくとも、尋問による立証を要する事実がないような事件(法律解釈のみが争点となる事件等)は、半年程度で判決となることもあるでしょう。

 他方で、上記はあくまでも第一審の訴訟手続に要する期間について記載したものです。第一審の判決内容に不服のある当事者は控訴をすることができ、この場合、控訴審における審理には、第一審ほどではないにせよ一定の期間がかかることになります。さらに、控訴審判決に対しては、上告が可能です。上告審は「法律審」(基本的に法律解釈のみを行い、事実認定を行わない)であり、期日が一度も開催されることなく上告が却下されることも多いのですが、その却下判決が出されるまでに1年以上の期間を要するということもままあり、その間、訴訟の結論は確定しないということになります。

 このように、訴訟が終了するまでにはかなりの長期間を要することがあり、この間、社内における訴訟対応の事務コストや、(特にタイムチャージ方式の場合の)弁護士報酬等もかさんでいくことになります。そのため、訴訟において和解を検討するにあたっては、早期解決による上記コストの回避という観点も重要であるといえます。

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