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中国における外資参入規制緩和の動向

国際取引・海外進出

 中国で会社を設立したいと考えているのですが、参入が制限または禁止されている分野もあると聞きました。最近、中国での外資規制が緩和された分野はありますか。

 中国では、外資による会社設立について、一律に事前の審査認可を要求する制度が廃止され、原則として届出で足りる制度に変更されています。他方で、当該届出制の例外として、「外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)」に規定された産業分野については、外資の参入に一定の条件が課されており、引き続き事前の審査認可が要求されたり、さらには、参入自体が禁止される分野も存在します。

 しかしながら、外資の参入が制限または禁止される産業分野は年々減少しており、2018年7月に施行された最新のネガティブリストでは、金融・サービスや自動車等の分野を中心に、外資への開放がさらに進んでいます。

解説

「外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)」とは

 中国では、外資企業の設立および変更については、従来の事前認可制度が廃止され、届出制となりました(参考:「中国における外資企業の設立・変更手続の簡易化の動向」)。その例外として、事前審査認可が必要となる、または、参入自体が全面的に禁止される産業分野を規定した目録が、「外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)」となります。

改正の経緯

 「外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)」は、従来は、外資の投資を奨励する分野を含め、外資による投資について産業分野ごとの取扱いを規定した基本カタログである「外商投資産業指導目録」の中において、外資の参入を制限する業種(制限類)および禁止する業種(禁止類)のリストとして定められていました。当該「外商投資産業指導目録」は、2017年6月28日に改正され、外資による投資の制限対象分野が大幅に削減されたばかりでした。

 「外商投資産業指導目録」の改正からちょうど1年後となる、2018年6月28日に、「外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)(2018年版)」(以下「2018年版ネガティブリスト」といいます)が公布され、同年7月28日から施行されています。こちらは、「外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)」を、「外商投資産業指導目録」とは別のリストとして独立させたものとなっています。

2018年版ネガティブリストで外資規制が緩和された産業分野

 2018年版ネガティブリストでは、外資の参入を制限または禁止する産業分野を、2017年の「外商投資産業指導目録」における計63項目から48項目に大幅に削減しており、特に、下表のとおり、銀行、証券、保険等の金融・サービス業や、自動車等の製造業を中心とする分野において、外資規制の緩和が進められています。なお、他方で、教育や報道・出版、映画・文化娯楽関係等、逆に制限が強化されている分野も存在する点には注意が必要です。

【2018年版ネガティブリストにおいて外資規制が緩和された主要な分野】

分野 業種 外資規制緩和の概要
金融分野 銀行
  • 中国資本の商業銀行に対する外資の出資比率制限の撤廃
  • 従来は単独投資の場合につき20%、複数での投資の場合につき25%を超えてはならないとされていた
保険
  • 生命保険会社に対する外資の出資比率制限の緩和
  • 従来の50%以下から51%以下に緩和
  • 2021年からは出資比率規制自体が撤廃される予定
証券等
  • 証券会社、証券投資基金管理会社および先物取引会社に対する外資の出資比率制限の緩和
  • 従来の中国側持分支配の条件から51%以下に緩和
  • 2021年からは出資比率規制自体が撤廃される予定
製造業 自動車
  • 従来は、①自動車完成車、専用自動車の製造について中国側の出資比率が50%を下回ってはならず、かつ、②原則として同一の外国企業が設立できる同類の自動車(乗用車類、商用車類)を製造する合弁会社は2社以下に制限されていた
  • ①外資の出資比率制限については、専用自動車および新エネルギー車についてはただちに、商用車については2020年に、乗用車については2022年に、それぞれ撤廃される予定
  • ②外国会社による同類の自動車(乗用車類、商用車類)を製造する合弁会社の設立数制限も2022年に撤廃される予定
船舶
  • 船舶の製造、設計および修理会社に対する外資の出資比率制限の撤廃
  • 従来は中国側の持分支配が要求されていた
その他 国際海上輸送
  • 国際海上輸送会社に対する外資の出資比率制限の撤廃
  • 従来は中国企業との合弁、合作に限定されていた

自由貿易試験区用のネガティブリストの適用

 なお、上海、天津、福建、広東等合計11か所の自由貿易試験区については、前記の全国版の2018年版ネガティブリストとは別途、全国版よりも一部緩和が進んだ内容の自由貿易試験区用のネガティブリストが適用されています。当該リストについても2018年版の新たなリスト(「自由貿易試験区外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)(2018年度版)」)が同年7月30日から施行されています。

中国政府による外資規制緩和政策

 中国政府は、2017年以来、再三にわたって外資規制のさらなる緩和の推進に関する通知を公布しています。直近では、2018年6月10日に、国務院が「外資の積極的かつ有効な利用による経済の高品質な発展の推進に係る若干措置に関する通知」を公布し、外資の市場参入規制の緩和や投資制度の整備等の外資導入の推進に向けた方針を打ち出しています。2018年のネガティブリストの改正も当該方針に基づくものと言えます。

 中国においては、外資導入の重点分野と位置付けられる金融・サービス業や自動車等の製造業等を中心に、各種の外資規制の緩和政策が次々と制定・実施されており、今後の動向が注目されます。なお、中国への外資による投資全般に関する新たな基本法である「外国投資法」について、2015年1月に草案が公表されていましたが、現在、2018年中の成立の可能性が高まっています(参考:「中国「外国投資法」制定の動向」)。

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