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マネロン・テロ資金供与対策について求められる経営陣の関与・理解

ファイナンス

 マネー・ローンダリング、テロ資金供与対策において、経営陣はどのような役割を担えばよいでしょうか。

 マネロン・テロ資金供与リスク管理態勢の構築にあたっては、マネロン・テロ資金供与リスクが経営上重大なリスクになり得るとの理解の下、関連部門等に対応を委ねるのではなく、経営陣が主体的かつ積極的にAML/CFT対策に関与することが不可欠です。
 経営陣がリスクを適切に理解したうえでマネロン・テロ資金供与対策に対する意識を高め、トップダウンによって組織横断的に対応の高度化を推進し、経営陣として明確な姿勢・方針を打ち出すことは、営業部門を含めた全役職員に対しマネロン・テロ資金供与対策に対する意識を浸透させるうえで非常に重要となります。

解説

経営陣の関与・理解が求められる理由(AML/CFTガイドラインI-2(2)、III-2)

マネロン・テロ資金供与リスク管理態勢の構築における経営陣の役割

 「経営陣」とは、代表権を有する役員のほか、AML/CFT対策に責任を有する役員や関係する営業部門・監査部門に責任を有する役員を含み得る概念です。
 マネロン・テロ資金供与リスク管理態勢の構築にあたっては、マネロン・テロ資金供与リスクが経営上重大なリスクになり得るとの理解の下、関連部門等に対応を委ねるのではなく、経営陣が主体的かつ積極的にAML/CFT対策に関与することが不可欠です。

 金融機関等のマネロン・テロ資金供与リスクは、自らの経営戦略等を踏まえた業務運営により増減するものであり、その評価は、経営戦略全体の中でのリスク許容度、資源配分方針の検証・見直し等の一環として、考慮・検討されるべきものです。
 また、マネロン・テロ資金供与対策の機能不全は、巨額の制裁金や取引の解消といった過去の事例に見られるとおり、レピュテーションの低下も含めた経営上の問題に直結するものです。

 米国上院の報告書において、我が国の地方銀行のマネー・ローンダリング対策が問題視されて、海外の銀行から海外送金に関するコルレス契約が解除されるという事態が発生しました(その後、当該地方銀行においてはマネロン・テロ資金供与防止対策が格段に強化されました)。また、米国のニューヨーク州の金融当局が、わが国のメガバンクを含む海外の大手金融機関に対して、イラン、スーダン、ミャンマーその他の資金凍結国に送金したことを理由に巨額の制裁金を課しています。

 さらに、経営陣がこうしたリスクを適切に理解したうえでマネロン・テロ資金供与対策に対する意識を高め、トップダウンによって組織横断的に対応の高度化を推進し、経営陣として明確な姿勢・方針を打ち出すことは、営業部門を含めた全役職員に対しマネロン・テロ資金供与対策に対する意識を浸透させるうえで非常に重要となります。
 こうしたことを踏まえ、金融機関等の経営陣においては、自らのマネロン・テロ資金供与対策に主体的かつ積極的に関与し、対応の高度化を推進していく必要があります。

「経営陣による関与」の例

 「経営陣による関与」の態様としては、たとえば以下の事項などが含まれます。

  • フォワード・ルッキングなギャップ分析の実施
  • 関連部門が複数に跨る組織横断的な対応
  • マネロン・テロ資金供与対策に係る担当役員が、リスク評価の過程や、自らの組織内で定例的に開催するAML委員会・コンプライアンス委員会等に関与すること
  • マネロン・テロ資金供与リスクが経営上の重大なリスクになりかねないことを的確に認識し、取締役会等において、マネロン・テロ資金供与対策を経営戦略等における重要な課題の一つとして位置付けること
  • 戦略的な人材確保・教育・資源配分等を実施すること

 また、AML/CFT対策に関する取組みを全役職員に浸透させるには、業績評価においてAML/CFT対策を勘案するなど、AML/CFT対策に関する経営陣の積極的な姿勢やメッセージを示すことも重要です。
 さらには、経営陣がマネロン・テロ資金供与リスクを適切に理解したうえでマネロン・テロ資金供与対策に関する意識を高め、トップダウンによって組織横断的に対応の高度化を推進していくことも重要です。また、マネロン・テロ資金供与リスク管理態勢の強化や方針等に関する説明責任も、一義的には経営陣がその責務を担っています。

対応が求められる事項

 AML/CFTガイドラインにおける、マネロン・テロ資金供与対策について求められる経営陣の関与・理解に関しては、以下の事項が「対応が求められる事項」とされています。

  1. マネロン・テロ資金供与対策を経営戦略等における重要な課題の一つとして位置付けること(重要な経営課題としての位置付け
  2. 役員の中から、マネロン・テロ資金供与対策に係る責任を担う者を任命し、職務を全うするに足る必要な権限等を付与すること(マネロン・テロ資金供与対策に係る担当役員の選任
  3. 当該役員に対し、必要な情報が適時・適切に提供され、当該役員が金融機関等におけるマネロン・テロ資金供与対策について内外に説明できる態勢を構築すること(マネロン・テロ資金供与対策に係る担当役員への情報提供
  4. マネロン・テロ資金供与対策の重要性を踏まえた上で、所管部門への専門性を有する人材の配置及び必要な予算の配分等、適切な資源配分を行うこと(人材・予算等の適切な資源配分
  5. マネロン・テロ資金供与対策に関わる役員・部門間での連携の枠組みを構築すること(AML/CFT担当役員・部門間での連携枠組みの構築
  6. 経営陣が、職員へのマネロン・テロ資金供与対策に関する研修等につき、自ら参加するなど、積極的に関与すること(研修等への参加

 上記②・③の「マネロン・テロ資金供与対策に係る担当役員」とは、「マネロン・テロ資金供与対策に係る責任者」として任命される者であり、たとえば、会社法上の取締役や、内部管理統括責任者等が含まれるものと考えますが、各金融機関等においては、その規模や組織構造等に応じて、マネロン・テロ資金供与対策に係る責任を果たすことができる者を任命し、職務を全うするに足る必要な権限等を付与することが求められます。

 「マネロン・テロ資金供与対策に係る担当役員」に任命される役員は複数であっても構いません。また、「内外に説明できる態勢の整備」(上記③)については、当該役員自身が英語等の外国語で説明できる態勢を整備することまでは必須ではありません(職員等が言語については補佐してよい)。
 上記④の「専門性を有する人材」のレベルについては、特定の資格・認証等の取得を前提とするものではなく、各金融機関等の特性や当該職員の担当業務の内容等に応じて、個別具体的に判断されることになります。

対応が期待される事項

 AML/CFTガイドラインにおける、マネロン・テロ資金供与対策について求められる経営陣の関与・理解に関しては、以下の事項が「対応が期待される事項」とされています。

 役職員の人事・報酬制度等において、マネロン・テロ資金供与対策の遵守・取組み状況等を適切に勘案すること(役職員の人事・報酬制度等への勘案

 ここにいう対象となる役職員の範囲は、各金融機関等の規模や特性、役職員の数、各々の業務におけるマネロン・テロ資金供与対策への関与の程度等によって異なってくるものと考えられます。

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