マネロン・テロ資金供与対策のための職員の確保・育成等

ファイナンス

 マネー・ローンダリング、テロ資金供与対策を実行する職員はどのように確保・育成すればよいでしょうか。

 マネロン・テロ資金供与リスク管理態勢の実効性は、各営業店を含む様々な部門の職員がその役割に応じた専門性・適合性等を有し、経営陣が定めた方針・手続・計画等を的確に実行することで確保されます。
 金融機関等においては、こうした専門性・適合性等を有する職員を必要な役割に応じ確保・育成しながら、適切かつ継続的な研修や関係する資格取得等を行うことにより、組織全体として、マネロン・テロ資金供与対策に係る理解を深め、専門性・適合性等を維持・向上させていくことが求められます。

解説

目次

  1. 犯罪収益移転防止法において求められる対応
  2. 対応が求められる事項
  3. 対応が期待される事項

マネロン・テロ資金供与対策のための職員の確保・育成の意義(AML/CFTガイドラインIII-5)

 マネロン・テロ資金供与リスク管理態勢の実効性は、各営業店を含む様々な部門の職員がその役割に応じた専門性・適合性等を有し、経営陣が定めた方針・手続・計画等を的確に実行することで確保されるものです。
 金融機関等においては、こうした専門性・適合性等を有する職員を必要な役割に応じ確保・育成しながら、適切かつ継続的な研修等(関係する資格取得を含む)を行うことにより、組織全体として、マネロン・テロ資金供与対策に係る理解を深め、専門性・適合性等を維持・向上させていくことが求められます。

 「関係する資格」とは、外部団体が付与する資格のほか、社内で取得が慫慂されている社内資格等も含まれ得るものと考えます。また、通信講座やe-learningなどの方法による研鑽も含まれます。
 職員の「適合性」については、担当業務の内容に応じて、個別具体的に判断されますが、分析能力や注意深く抽出する能力等も含み得るものと考えられます。

犯罪収益移転防止法において求められる対応

 犯罪収益移転防止法においては、金融事業者等を含む特定事業者に対して、「取引時確認等を的確に行うための措置」(犯収法11条)として、①使用人に対する教育訓練の実施(同条1号)および②取引時確認等の措置の的確な実施のために必要な能力を有する者を特定業務に従事する職員として採用するために必要な措置を講ずること(同条4号、犯収法施行規則32条1項6号)が求められています。

 これらの義務は、犯罪収益移転防止法上の努力義務ですが、監督指針の改正により、態勢整備として義務化されました。

対応が求められる事項

 マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン(以下、「AML/CFTガイドライン」)では、マネロン・テロ資金供与対策のための職員の確保・育成等について以下の事項が「対応が求められる事項」とされています。

  1. マネロン・テロ資金供与対策に関わる職員について、その役割に応じて必要とされる知識、専門性のほか、研修等を経た上で取引時確認等の措置を的確に行うことができる適合性等について、継続的に確認すること(関連職員の知識・専門性・適合性の継続的な確認
  2. 取引時確認等を含む顧客管理の具体的方法について、職員が、その役割に応じて的確に理解することができるよう、分かりやすい資料等を用いて周知徹底を図るほか、適切かつ継続的な研修等を行うこと(適切かつ継続的な研修
  3. 当該研修等の内容が、自らの直面するリスクに適合し、必要に応じ最新の法規制、内外の当局等の情報を踏まえたものであり、また、職員等への徹底の観点から改善の余地がないか分析・検討すること(研修内容の改善の余地の分析・検討
  4. 研修等の効果について、研修等内容の遵守状況の検証や職員等に対するフォローアップ等の方法により、確認すること(研修の効果の検証
  5. 全社的な疑わしい取引の届出状況や、管理部門に寄せられる質問内容・気づき等を営業部門に還元するほか、営業部門内においてもこうした情報を各職員に的確に周知するなど、営業部門におけるリスク認識を深めること(営業部門におけるリスク認識の新化

 関連職員の知識・専門性・適合性の確認をする方法(上記①)については、たとえば研修の受講状況やその理解度、上司による面談等を通じて確認することが考えられます。

対応が期待される事項

 AML/CFTガイドラインでは、マネロン・テロ資金供与対策のための職員の確保・育成等について以下の事項が「対応が期待される事項」とされています。

  1. 海外拠点等を有する金融機関等グループにおいて、各海外拠点等のリスク評価の担当者に対して、単にリスク評価の手法についての資料等を作成・配布するのみならず、リスク評価の重要性や正確な実施方法に係る研修等を当該拠点等の特殊性等を踏まえて実施し、その研修等の内容についても定期的に見直すこと(海外拠点等の特殊性を踏まえた研修・見直し
  2. 海外拠点等を有し、海外業務が重要な地位を占める金融機関等グループにおいて、マネロン・テロ資金供与対策に関わる職員が、マネロン・テロ資金供与に係る国際的な動向について、有効な研修等や関係する資格取得に努めるよう態勢整備を行うこと(国際的な動向への有効な研修・関係資格取得

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