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大企業が取り組むべき取引先・協力先中小企業の事業承継対策の出発点

コーポレート・M&A

 中小企業の事業承継の問題が一種のBCP(Business Continuity Plan)の問題として、大企業においてもサプライチェーンを点検し、検討・対策をしなければならないことは「中小企業経営者の高齢化に大企業はどう備えるか」によってわかりました。では、どこから手をつけたらよいのでしょうか。

 まずは自社のビジネスとどのような中小企業が取引関係を持っているかの調査から始め、それぞれにおいて直接的・間接的にどのような中小企業が関与しているかを、自社との取引先、さらにはその取引先の取引先、と追いかけて調査することが必要です。

解説

中小企業との取引状況の調査

 ビジネスにおいては、通常、自社よりも商流の川上である下請・調達先と、自社よりも川下である販路に中小企業が関与していることが多く見られます。それぞれにおいて直接的・間接的にどのような中小企業が関与しているかを、自社との取引先、さらにはその取引先の取引先と追いかけて調査することが必要でしょう。

 サプライチェーンの形態がピラミッド型であるかダイヤモンド型であるかサプライネットと言うべきものかはともかく、メーカーなどの親会社→Tier1→Tier2→Tier3と順を追っていくとある段階から急激に中小企業が登場すると思われます。すべての中小企業をメーカーやTier1、Tier2が調査することは困難でしょうから、中小企業が登場し始めるその1段階上のTierの企業に、その下位の中小企業の事業承継対策の必要性・状況を調査させ、それを統合していくことが1つの方法と言えます。

サプライチェーン

サプライチェーン

出典:経済産業省 厚生労働省 文部科学省「2011年版ものづくり白書」120頁より抜粋

取引先・協力先中小企業の事業承継に向けた準備状況の調査

 次に、一般的なBCP(Business Continuity Plan)において、自社の製品の原材料の調達先の生産拠点を確認するのと同様に、取引先・協力先中小企業の代表者の年齢や後継者の有無・属性など、当該中小企業における事業承継対策の必要性やその準備状況を調べることが必要です。
 ここでは、BCPにおいて部品等の代替性・特殊性を検討するのと同様に、事業承継対策の調査においても、その代替性・特殊性を考慮して行うことが効率的と思われます。また、サプライチェーンの形態が、同じ下請先等を共有するダイヤモンド型である場合には、業界団体を活用して行うと効率的かもしれません。

 なお、その調査ツールとして「事業承継自己診断票(相対用)」というものがあります。これは、中小企業の事業承継の進捗状況を確認するためのツールであり、事業承継という重要ですが機微に触れる問題について、11個の問を使って聞き取りをしやすくしたものです。

 元々、中小企業支援機関の利用を想定しているものですが、個々の中小企業が他の中小企業の事業承継の進捗を確認するにあたり、このような公的機関が作成したものがあれば状況確認のきっかけにはなると思われます。
 ただし、調査に際しては、優越的地位の濫用にならないようにするなどの注意が必要です。

販売先企業の事業承継対策

 以上の商流の川上に対して、川下である販路については商社などが何層にも入り、かつ、分岐することもありますし、自社の商品を購入して頂くお客さまでもありますので、その調査はより難しいことが予想されます。川上のような調査はできないかもしれませんが、商談の際にそれとなく聞き出すか、大口取引先であれば信用調査会社などを活用することもあり得るかもしれません。

おわりに

 前述のように、事業承継の問題は機微に触れる問題です。しかし、それぞれの企業にいつか必ず訪れるものです。性急な調査は反発を招くおそれもありますが、やらざるを得ない調査でもあります。それぞれのサプライチェーンでどの程度、どのように調査したらよいか、まずは検討を始められるとよいでしょう。

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