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訂正審判とは

知的財産権・エンタメ

 訂正審判について教えてください。

 訂正審判とは、特許登録後に、特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面を訂正することを目的とする審判をいいます。実務的な利用態様としては、特許権の被疑侵害者から特許無効の主張を受けることが予想される場合に、特許権者が無効理由の治癒を目的として用いることが多いといえます。

解説

訂正審判の概要

 訂正審判とは、特許登録後に、特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面を訂正することを目的とする審判をいいます(特許法126条1項)。実務的には、特許無効の主張を受け、または、特許無効の主張が予期される場合に、特許権者によって無効理由を治癒する目的で利用されることが多い手続です。

訂正審判の概要

出典:特許庁審判部「審判制度の概要と運用」(平成30年度)

 訂正審判は、特許登録後に特許の内容を変更するものであり、審査段階における補正と比較して、第三者の権利義務への影響も大きいため、補正よりも厳格な要件のもとで審理がなされます。訂正が認められるための要件については、「特許法における訂正とその手続」を参照ください。

訂正審判の審理の流れについて

出典:特許庁審判部「審判制度の概要と運用」(平成30年度)

訂正審判の請求

請求人適格

 訂正審判を請求できるのは、特許権者です(特許法126条1項)。特許権が共有にかかる場合には、共有者全員が共同して審判請求をする必要があります(特許法132条3項)。

請求期間

 訂正審判は、特許権が存続している間はもちろん、消滅後であっても請求することができます(特許法126条8項)。特許権者は、特許権消滅後であっても過去の侵害行為に対して損害賠償を求めることができますが、その際、特許無効の主張を受ける可能性があります。これに対抗するため、特許権消滅後であっても、特許を訂正する利益が残されているのです。

 また、訂正審判は、原則としていつでも請求することができますが、特許異議申立てや特許無効審判の係属中は、それらに対する審決・決定取消訴訟係属中も含め、訂正審判を請求することができません(特許法126条2項)。そのかわりに、特許異議申立てや特許無効審判の審理の中で、訂正の請求という手続によって訂正機会が与えられています(特許法134条の2、120条の5第2項)。特許異議申立てにおける訂正の請求については「特許異議の申立てとは」、特許無効審判における訂正の請求については「特許無効審判の審理と審決」を参照ください。

訂正審判を請求することがdきる時期

出典:特許庁審判部「審判制度の概要と運用」(平成30年度)

 この点、かつては、訂正審判の請求時期に制限はなかったのですが、特許無効審判係属中に訂正審判が請求されることで特許無効審判の手続が中断したり、また、訂正によって特許の内容が変わるため、特許無効審判をやり直したりすることが必要になり、審理の遅滞が生じていました。そこで、まず、平成5年の法改正により、特許庁に特許異議申立て・特許無効審判が係属している間は、訂正審判を請求できないようにする制度が導入されました。

 しかし、特許無効審判の審理が審決取消訴訟に移行した後も同様の問題が生じ、特許庁と裁判所との間で事件が行ったり来たりする「キャッチボール現象」と呼ばれる問題が生じました。そこで、平成15年の法改正により、審決取消訴訟係属後は、例外として90日間に限って訂正審判を請求できることとし、かつ、訂正審判の請求をし、またはしようとするときは、裁判所は、速やかに特許無効審判の審理を特許庁に差戻すことができるようにしました。なお、平成15年改正によって特許異議申立てはいったん廃止されたため、この時の改正では特許無効審判のみが対象となっています。

 さらに、平成23年改正では、特許無効審判係属後、その確定まで、訂正審判の請求が一切できないこととなりました。そのかわり、特許庁が無効審決をしようとするときは、特許権者に対して審決の予告がなされ(特許法164条の2)、それを見た特許権者が、訂正の請求をすることができるという制度が導入されました。

 その後、平成26年改正によって特許異議申立制度が復活したのに伴い、特許異議申立ての審理の中にも訂正の請求の手続が設けられ、現在の制度となっています。

専用実施権者・通常実施権者等との関係

 専用実施権や質権が設定され、または通常実施権(職務発明による法定通常実施権を含む)が許諾された特許権について訂正審判を請求するときは、特許権者はこれらの者の承諾を得る必要があります(特許法127条)。これらの者は、訂正によって特許権の内容が変わることについて利害を有しているからです。

訂正審判の審理審決と不服申立て

 訂正審判の審理は、3名または5名の審判官からなる合議体で行われ、原則として書面による審理で進められます(特許法136条1項、145条2項)。

 訂正を認める審決がなされたときは、出願時に遡って訂正後の状態で出願がなされ、特許査定がなされたものとみなされます(特許法128条)。このことや、訂正が認められるためにはいわゆる独立特許要件が要求されていること(詳細は「特許法における訂正とその手続」を参照ください)に鑑みると、訂正審判は、再度の特許審査としての性質を有しているといえます。

 訂正審判の請求が成り立たないとの審決がなされたときは、特許権者は、その審決の取消しを求めて取消訴訟を提起することができます(特許法178条1項)。

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