介護休業を開始するときの手続

人事労務

 介護休業を開始する際の手続について教えてください。

 介護休業を開始する際の手続は、大きく、①労働者からの申出、②事業主からの通知による確認、に分けられます。それぞれの内容や方法について法令上の定めがありますので、事業主としては、遺漏がないよう、書式を整備しておく等の事前準備をしておくことが望ましいでしょう。

解説

目次

  1. 労働者による申出
  2. 事業主による通知

労働者による申出

 労働者は、介護休業を開始するためには、まず、事業主に対して以下の事項を明らかにした介護休業の申出をする必要があります(育児・介護休業法11条1項、育児・介護休業法施行規則23条1項)。「対象家族」については「配偶者の祖父母を介護するための休業は認めないといけないか」を参照ください。

  1. 申出年月日
  2. 申出者(労働者)氏名
  3. 介護する対象家族の氏名および申出者との続柄
  4. 対象家族が要介護状態である旨
  5. 休業開始予定日および終了予定日
  6. ③の対象家族についてすでに介護休業を取得したことがある場合、その日数

 上記④(対象家族が要介護状態である旨)については、平成28年8月2日付け職発0802第1号・雇児発0802第3号「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の施行について」(最終改正平成29年9月29日雇均発0929第3号)(以下「施行通達」といいます)において、対象家族が2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態である旨を記載すれば足りるものとされています(施行通達 第3の3(3))。

 また、上記⑥(③の対象家族について既に介護休業を取得したことがある場合、その日数)は、介護休業には「対象家族1人につき合計93日まで」という日数制限があること(育児・介護休業法11条2項2号)との関係で申出の内容とされています(施行通達 第3の3(3))。

 申出の方法は、書面、ファックス、電子メール等での通信のいずれかですが、ファックス、電子メール等での通信による申出方法は、事業主が適当と認める場合に限り、許されます(育児・介護休業法施行規則23条2項が準用する7条2項)。書面での申出は、直接書面を手渡すことでも、郵送でも、構いません。なお、電子メール等での通信による申出については、労働者及び事業主が送信した情報を出力して書面を作成できるものに限る、とされています(育児・介護休業法施行規則23条2項が準用する7条2項3号)。

 申出の具体的な様式は法令上設定されていません。事業主は、労働者の便宜のため(また、事業主側の処理の便宜のためにも)、書式を提供し、ファックス、電子メール等での申出を認める場合はその旨を社内規則等で明らかにしておくことが望ましいでしょう。なお、厚生労働省が、介護休業申出書の参考様式を公表しています。

 参照:厚生労働省「育児・介護休業等に関する規則の規定例

 事業主は、上記③(介護する対象家族と申出者との続柄)と④(対象家族が要介護状態である旨)の事実を証明することができる書類の提出を求めることができます(育児・介護休業法施行規則23条3項)。

 上記③(介護する対象家族と申出者との続柄)を証明する書類としては住民票記載事項証明書、④(対象家族が要介護状態である旨)を証明する書類としては専門家(医師、保健師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士など)の証明書があげられます(施行通達 第3の3(5))。証明書類については、介護休業申出をする労働者に過大な負担をかけることがないよう、柔軟な対応が事業主に求められています(同上)。

事業主による通知

 申出を受けた事業主は、申出の有無などについての紛争を避けるため、以下の事項を速やかに労働者に通知しなければなりません(育児・介護休業法施行規則23条2項が準用する7条4項)。「速やかに」とは、申出時点からおおむね1週間以内の意味であり、かつ、申出日から休業開始予定日までが1週間より短い場合には、休業開始予定日までにという意味であるとされています(施行通達 第3の3(4))。

  1. 申出を受けた旨
  2. 休業開始予定日および終了予定日
  3. 申出を拒む場合には、その旨および理由

 通知の方法は、書面、ファックス、電子メールのいずれかですが、ファックス、電子メールでの通知は、労働者が希望する場合に限り、許されます(育児・介護休業法施行規則23条2項が準用する7条5項)。なお、電子メールでの通知は、労働者が電子メールの記録を出力することで書面を作成することができるものに限られます(同上)。すなわち、プリンターに接続して書面を作成することが可能であれば、電子メールの機能をもつ携帯電話でも構わないことになりますが、受信直後に内容が消えてしまうようなチャットは適当ではないとされています(施行通達 第2の5(14)参照)。

 労働者が休業開始予定日の2週間前までに申出をしなかった場合、事業主は、申出日から2週間の範囲内で介護休業開始予定日を指定することができます(育児・介護休業法12条3項)。たとえば労働者による介護休業の申出日が10月2日、休業開始予定日が10月9日だった場合、事業主が介護休業開始予定日として指定できるのは10月9日から10月16日の期間のいずれかの日となります。
 事業主が上記②の休業開始予定日についてこの指定を行う場合には、その指定する日を休業開始予定日として通知することとなります(育児・介護休業法施行規則23条2項が準用する7条4項2号)。

 この指定を行う場合には、上記の「速やかに」という通知期限にかかわらず、申出日の翌日から起算して3日を経過する日までに行う必要があります(上記の例では10月5日まで)。ただし、3日以内に申出のあった休業開始予定日が来てしまうという場合には、申出のあった休業開始予定日までに指定を行う必要があります。(育児・介護休業法施行規則26条)。事業主による休業開始日の指定制度については、「介護休業を取得できる期間」を参照ください。

平成28年8月2日付け職発0802第1号・雇児発0802第3号「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の施行について」(最終改正平成29年9月29日雇均発0929第3号)

出典:平成28年8月2日付け職発0802第1号・雇児発0802第3号「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の施行について」(最終改正平成29年9月29日雇均発0929第3号)

 なお、介護休業の申出を拒むことができるケースは、育児・介護休業法上申出の権利がない労働者からの申出や、労使協定により申出を制限された労働者からの申出があった場合など限定されています(育児・介護休業法12条が準用する6条1項)。経営困難、繁忙などの理由では申出を拒むことはできませんので、ご留意ください。

 通知の具体的な様式は法令上設定されていません。事業主は、処理の便宜のため、書式を準備しておくことが望ましいでしょう。厚生労働省が、参考様式を公表しています。

 参照:厚生労働省「育児・介護休業等に関する規則の規定例

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